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my movie theatre_生きのびるために

最近はネトフリでわりと社会派という部類に入る映画を見ています。
今日紹介する映画もネットで検索して知って、
時間のある今だからこそ、ドキュメンタリー系のものを
見まくろうと画策しています。
おすすめの映画があればぜひ教えてください。

※ここから先はネタバレを含むので嫌な方はお戻りください。

「生きのびるために」は2019年に日本で公開された映画。
アイルランド、ルクセンブルク、カナダの合同制作です。
海外では「The Breadwinner」というタイトル。
日本語に訳すと「稼ぎ手」という意味になるみたい。
こちらもともとはデボラ・エリスの小説があってそれをアニメーション映画化したものです。

あらすじは、タリバン政権下の中、女性一人では外出することもできず、買い物に行っても、モノを売ってくれないような社会。主人公の女の子、パヴァーナは足の不自由な父親の商売を手伝っていたんだけど、ある日いわれのない罪でタリバンに拘束されてしまう。パヴァーナの家族は母親、姉、幼い弟のみ。だから大人の男を取られて生活できなくなってしまう。家族の生活を守るため、父親を取り返すために、パヴァーナは髪を切り、男のふりをして街に出ていく。

イスラム過激派組織タリバン政権では、女性が外に出歩くことだけで注目を集めるとして過激に家の中にいるように命じる。
1964年のアフガニスタン新憲法では、男女平等が明記されておいて、女性の国会議員もいた。けれど、1996年に女性の外出時に家族の同伴が義務付けられたの。近代になって差別が進んでいいる歴史にまず驚く。

タリバンにとって女性とは、子供を産むための道具であり、男性の性欲を満たすためのものであり、家事を行う奴隷のような存在。2001年にタリバン政権が崩壊してからはマシになったらしいけど、それでも女性の地位はなかなか上がらないの。

パヴァーナは女性蔑視が当たり前の社会で生活しているけれど、男装して女性よりも自由を手に入れ、言葉には出さないけど、この社会のひずみを感じているの。だって、外出も、買い物も、写真を、持っていることも、本を読むことも禁止されているんだよ。理由はすべて「女だから」。

パヴァーナの家族で少し疑問だったのが、姉が特に何もしないこと。体の不自由な母親の代わりに家事を手伝っているのかもしれないけど、水を汲みに行くのも、危険を冒して男装して街に行くのも全部妹のパヴァーナ。パヴァーナの年齢は11歳で、姉が何歳かはわかないけど、(結婚の話が出ていたから15、16歳くらい?)それにしても、あなたはなぜずっと家にいるのだろうか?と思ってしまった。年上を敬う的なことかもしれないけれど、11歳の子に無理をさせるなら自分も危険を冒すべきじゃない?と思ってしまった。物語の終盤で、姉が親戚と結婚して戦争が絶えない村を出ることになるから、もちろん何もしていないわけではないんだけどね。

パヴァーナは男装して商売をしているときにラザクという男と出会う。彼は父親を連行していった一人の知り合いで一度会ったことはあるんだけど、パヴァーナが男装をしていると知って話しかけてきたと思う。彼女に翻訳を頼のみ、その後何度か彼女を助け、最終的に父親を刑務所から連れ出す手助けしてくれた。彼の優しさにこの物語の救いがあると思っている。

この物語では男が絶対的優位。そしてタリバンに忠実な人間が権力を保持している。だから彼らは平気で暴力を振りかざすの。それでは足らずに、殺すこともする。自分が「気に食わない」ことがあれば、誰でも平気で殺してしまえるのがタリバンの世界。そこで男性にも関わらず、女性のパヴァーナに手を貸すラザクの存在は希望になっている。

最後にこんな言葉を贈ってこの物語は終わる。

「怒りではなく言葉を伝える 花は雷ではなく雨でそだつ」

アフガニスタンを含め、中東地域では紛争が絶えない。
それは彼らのせいではなく、それを外から眺める大国のせいだ。
だけど、その戦渦で苦しい思いをするのはいつだってパヴァーナのような人たち。だけど、彼女はその怒りを暴力ではなく、言葉にしてわたしたちに伝えようとしてくれている。だから、わたしたちは雷ではなく、雨を降らせる存在にならないといけない。

女性が殺されるのが当たり前の社会があることを忘れてはいけない。
だから女性が当たり前に生きられる社会を手に入れる必要がある。
パヴァーナの声が多くの人に届くように。
ネトフリ登録している人にはとってもおすすめです。

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