冷凍庫

かつて僕が出ることのできなかったはずの冷凍庫は
いつしか朽ち果てていて
いつの間にゴミ捨て場へ?
自分の足で歩いてきたの?

そんなわけがない
僕が自分で捨てに来たんだ

重くて潰されそうになりながら
必死で引きずって歩いたんだ
汗も涙も地面がぬかるむほど零して
ようやくここに突き落としたんだ

扉をこじ開ければぬるい空気漂う
もう何も入っていない
たくさん凍っていた想いはもう欠片もない
溶けて消えてしまうことを
腐ってしまうことをあんなに恐れていたのに

出せなかった
僕もおんなじ温度でいたかった
ほんとうはいたかった
外に出たときあんまりあたたかくて
それがまた痛くて
酷く嬉しかった

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