椎乃味醂『デュレエ』所感・覚書
初音ミクは、「非実在」である。
「電子の歌姫」という代名詞は、その点において彼女を象徴している。彼女は0と1の連続でしかない。
であるにもかかわらず、我々は彼女に「実在感」を感じてしまう。我々は明確に、彼女に触れているし、彼女を使って曲を書けるし、限りなく「実在」に漸近した存在である。しかし彼女は「非実在」である。
我々は我々の意思を持って彼女に触れて、彼女を操作しているのは明確であるのに、彼女が非実在であるのも同様に明確である。
「実在と非実在のゆらぎ」は、2000年以降