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膵炎の診断...

どこの病院でも「膵炎」の患者さんは少なからずいるはずです。

「お腹が痛そう」とか「嘔吐」とか「下痢」とか...
様々な消化器症状を主訴として来院され、膵炎疑いとして治療を開始することが多いのではないでしょうか?


ちょうど先日、某検査会社の検査部に勤めていた経歴のある方からお話を聞く機会があったので本日は膵炎の診断について少しお話しようかと思います。


診断するには?

膵炎と診断するためにはもちろん検査が必須です!
では何を検査するかというと...
血液検査ではCBC、生化学検査、血液ガス検査等の一般的な検査に加え膵炎の特異的な検査を行います。

一般的な血液検査では膵炎の場合にWBC↑、BUN↑、肝酵素↑、GLU↑、K↓、アシドーシスなどが認められます。

しかし、これらが認められたからと言って「これは膵炎だ!!」なんていうことはできません(汗)
この検査を行った上で”特異的な検査”をする必要があるのです!!

それが以下の検査です↓↓↓↓

・血清アミラーゼ
・リパーゼ
・トリプシン様免疫反応活性(TLI)
・膵特異的リパーゼ免疫反応活性(PLI)


血清アミラーゼとリパーゼ

リパーゼは特に院内でも生化学検査で簡単にでき、実際疑わしい患者さんに検査を行っている病院さんも多いのではないでしょうか?

しかし、これらはあくまでも膵炎診断の補助としての検査であり「リパーゼ高いから膵炎だ!!」とも言えないのです(汗)
実はこの2種類の検査、感度と特異性が50%ほどしかないのです!
さらに腎臓への血流量(腎還流量)が低下していると膵炎でなくても上昇してしますのです(◎_◎;)

トリプシン様免疫反応活性(TLI)

この検査は犬の膵外分泌不全の診断には高い特異性があるのですが、膵炎の場合は初期に上昇するもののすぐに数値が低下してしまうため、現在では膵炎の診断に使われることは無くなっています。

膵特異性リパーゼ免疫反応活性(PLI)

この検査は膵臓に特異的であり感度も非常に高いのです!!
感度でいうと82%程、特異性では90%以上とされているのです(`・ω・´)
そのため現段階では、血液検査で最も有用な検査方法とされています。

しかし、この検査も100%という訳ではありません。
臨床徴候やその他の検査の結果を踏まえて判断する必要があります。

このPLIの検査は基本的には外注です。
外注で高値を示せば膵炎が示唆されますが中程度の場合は再検査が必要となることがあります。

そしてIDEXXさんが出している院内検査キットでもPLIを測定することができます!
ただし基本的にこの検査キットは「膵炎を除外」するためのものなんだそうです(゚д゚)!
このキットの正しい見方は「陽性=膵炎かもしれない」であり、「陰性=膵炎ではない!」というこだそうです。

つまり検査キットで陰性が出れば膵炎を除外して治療を行うことができ、陽性であれば外注で詳しく検査する必要がある
ということなのです!!

その他の検査

膵炎検査のゴールドスタンダードは病理組織学的検査です。
つまり膵臓から細胞を採取し病理検査へ外注し...ってなかなかできないですよね(汗)

そのため超音波検査や血液検査、レントゲン検査を使い他の疾患を除外しながら膵炎の可能性を探っていくというのが最も多い検査の方法なのではないかと思います。


つまり今回は何が言いたいかというと...

膵炎の確定診断ってむずかしいんだよ💦

ということです(笑)


それでは!


See you next time!!( ˘ω˘ )

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