候補者名よりも国名を連呼することについて

なぜか「メディア」は「強調」して見せないが、トランプ氏が打たれた時、一度かがみ込んだのちに、おそらく犯人が射殺されたのを確認すると、氏はシークレットサービスの中から立ち上がり、「Fight!」と拳を突き上げた。青空を背景に星条旗をバックにしたこれはすでに有名なシーンであるが、私がここで喚起したいのは、そこで聴衆からは一斉に、「USA!USA!」の連呼が起こっていることである。
なぜ、大統領選活動の最中に出す声は「USA!」なのか?そしてなぜ、「Trump!」ではないのか?
それは当たり前のことなのかもしれないが、我が国ではこうした場合に、スポーツの応援以外に、「ニッポン!ニッポン!」とは決してならない。しかしそれは心の中であることが多く、声に出しては叫ぶ人は少ないだろう。もしも、天皇陛下が撃たれた直後に無事が確認されたら、「天皇陛下万歳!」になることもなさそうであるが、「ニッポン!ニッポン!」のコールが起こるとは思われない。
なぜ「USA!USA!」なのか。
思うに少なくともアメリカ一般国民は、自国のことに「誇り」を持っている。
アメリカは良い国だ。世界の中心だ。そして世界のために戦っている。
世界最大の繁栄、世界最大の軍事力、世界最高の科学技術力、世界最高の文化発信地。強いアメリカ。
こうしたことに「誇り」を持っているのであろうが、実はこの「誇り」に翳りが見えているので、かえってトランプ氏が期待されて支持されているのか。
トランプ氏に何ができるというのか。「世界秩序の維持」のための余計な支出は差し止め、支配者層に税を課し、アメリカ人の一般家庭の生活水準を上げるというのであろうか。
これは、資本主義社会が究極「弱肉強食」であることを「捨象」しているかのような考えである。
しかし、「ポピュリスト」にはそれが可能である。
「ポピュリズム」は究極、我が国におけるのと同様に、「わかっていない人々」の「共感」を何となく得ることによって成り立つものである。
民主主義社会を作って成長してきた自国の強さーそれが誇りであった。しかし実は結果的に格差社会問題と多民族化問題に直面する。
これは「誰か」が企図してしたることなのか。
それはわからない。
大衆はいつも思う。なぜ満足のいく収入が得られないのか?
なぜ自分のやりたい生活に金がかかりすぎるのか?
違うのである。それは「洗脳」されていることに気がつくだけの感性や聡明さがないからなのである。
それは、すでにそこに、「それ」を吸い上げている人たちがいるからである。
「植民地」の前は動物の「家畜」。植民地時代以降は「奴隷」。
そして、一応「民主主義的」ではあっても、現代社会にあっては、多くの人は、気がつけば超「上」の人たちのための「労働者」。
その人たちが、「USA!USA!」と叫ぶ「アイデンティティ」。これはすでに大きく「洗脳」されている。We私たちではなくて、国家USAが最重要課題だと半ば宗教的に思い込まされている。その「国家」がやり続けてきた「世界人類蹂躙」は滅却して。
「ふざけるな!」と言いたい。
「暗殺」や「不法投獄」をやりそうなのの代表は、ロシアと中国。そしてCIA。
西欧では「暗殺」は起こらない。それはそのことが歴史的に「損」であることを経験的に知るからではないのか。
「暗殺」は野蛮である。民主主義とは相容れない。マフィアやヤクザの世界の話である。
「共存」より「権益」。
その判断による暗殺や軍事行動、他民族支配。
かつてインド全土が長らくイギリスの植民地支配化にあったという事実を、それがどういうことかと実感認識できる若者は少数になっている。
国家も国際情勢も関係ない。
しかし、そこに、歴史的に見て、やってはならない、民族国家的に恥ずべきことが存在するのである。
自分という限りなく小さいながら「意志」を持つ人間が、自分が生きたいように生きるために「智慧」を発動することに何の問題もないのだ。
それを後回しにするのはなぜなのか?
もう「冗談」以外にこんなことは書くことはできない。

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