【松永暢史メルマガno.21】Carrom(キャロム)

 私が初めてキャロムを知ったのは、友人のイギリス人陶芸家の家であった。
 そもそも超ゲーム好きの私は一ぺんでこれにハマった。すぐに、六本木の玩具店にあったパキスタン製10数台を押さえ友人たちに買わせ、天才抽象画家と毎週のようにこれに興じた。画家の軽井沢の別荘で、着いた瞬間から24時間連続でプレイしたこともある。懐かしい想い出である。
 このゲームは90×90�のボードの上で、ストライカーと呼ばれるやや大きい円盤を指で弾いて、赤白黒の19個のコインを四隅の直径5センチの穴に落として勝敗を競うものである。
 私は初めて麻雀より面白いとも言えるゲームに出逢った。ちょうど、テレビゲームが出始めて、直観的に「これはまずい!」と思って、いつも胸に刻み込む、戸塚宏氏の「だったら代案を出して下さい」という言葉にしたがって、これを広めることを決意する。とは言うものの、当時の日本では手に入れるすべがない。しかも輸入するとド高くて、おまけに湿度の関係で反ってしまうのである。
 私は自己制作することにした。資金はなんと娘の貯金である。
 しかしそれは思いのほか困難な仕事だった。

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