48年12月24日に巣鴨拘置所から釈放された三人の男たちについて

1948年の12月23日午前0時に東條ら7人のA級戦犯者の絞首刑が執行された。その約30時間後の24日朝、まるでクリスマスの恩赦の如くに、三人の男が巣鴨拘置所から釈放された。このA級戦犯容疑者だった三人とは、後々の船舶振興会・日本財団の会長として政界の黒幕的役割を果たす笹川良一(49歳)と、後々の日本民主党、自民党結党資金を提供し、これまた右翼のフィクサーとも呼ばれる児玉誉士夫(37歳)と、この8年後に首相の座に着く岸信介(52歳)である。
東大法学部を主席級で卒業する抜きん出た知力を持ち、東条内閣の商工省大臣として満州で敏腕を振るい、後の人脈形成の礎を築いた、長州尊王愛国主義者である岸が、この自身の絶望的状況下で熟慮し、知恵を絞ったたことは、未曾有の敗戦下の困窮状況からこの国を独立した状態に再興するにはいったいどうすればよいかということだったに違いない。
すでに46年には、天皇主権を取り上げた日本国憲法が交付されていた。そして日本が撤収した直後の大陸では、毛沢東中国共産党がコミンテルンソ連共産党を凌ぐ勢いで拡大していた。
49年には蒋介石国民党を台湾に追い出して中華人民共和国が成立し、50年に朝鮮戦争が勃発し、51年にサンフランシスコ平和条約と同時に日米安全保障条約が結ばれた。
そこへCIAがこの三人のところへやって来て、「では拡大し続ける共産主義に反対する団体を作らんとするから協力してください」と言ったら、彼らにそれを断る術はなかったことだろう。
なぜなら彼らはどういうわけか、アメリカに一度「命」を救われているのであるから。そして、その資金援助のもとに、自分達の活動を保障されているのであるから。
このように、弱い立場に陥った「著名人」「政治家」は、皆CIAからの「打診」を受けると思われる。
そこには、後に児玉から結党資金を受ける鳩山一郎のように、フリーメイソン的アクセスもあったことだろう。
これまたCIA協力者とも言われるが、岸や児玉と敵対した、自称「本物の右翼」田中清玄は、学生運動に理解を示して資金を渡したりした直後の63年、暴力団組員に狙撃されて一命を取り留めた。関係ないが、現早大総長の田中愛治氏は93年に他界した清玄氏の次男である。
蹴っ飛ばすと、田中角栄や小沢一郎のようになる?
究極は資金と身の保全だ。
多くの仲間が亡くなった中、生き残った命は惜しくはなくとも、自分の活動の継続には両者が必要である。
「アメリカに有利な発言と協力をすることを約束せよ。そうすれば、身の保全とリッチな生活を保障してやるから勝手にやるがよい。でも、もしそうでなければ・・・・・」
自らの「ピンチ」において、一度これを引き受けて「資金」を受けると、もうその後それを覆すことはできない。
児玉誉士夫が死ぬ前にCIAの「エージェント」であったことを認めたのは、実に興味深いことである。
笹川は米紙とのインタビューで、「世界一お金持ちのファシスト」と答えている。
そして岸と三人で「勝共連合」。
話は分かり易すぎる。
これらはやがて米国の公文書公開で明らかになることである。
しかし今も、新世代のCIAの「エージェント」(=代理人)と思われる言論人。それは、確たる証拠は見られぬものの、至る所で目に入ってくる感じがする。
ある言論人が何かについて発言しないこと、つまり口にしないことーそれを「積分」すると、そのことの「らしさ」が浮かび上がってくる。
沖縄辺野古基地の反対運動を批判的に見る目を植え付ける役割。
これはどう考えても個人の利得感情を超えた「仕事」の疑いがある。
これをすると「高評価」で金がもらえるからなのか。
それとも、これをすると、「命が助かる」からなのか。
それは誰にも特定できないが、その「事実」をやらされている人間を嗤うことはできる。
新しい言語使用で社会先端部に「進出」する人たち。
しかし、そこには単に言語に優れるだけではなく、同時にその言語力によって構築された自身の「哲学」の表明も必要になってくるはずである。
もしそうでなければ、「支配者」として、単に民衆を「愚民」と見なして「収益の対象」として行動しているだけのことになる。
別にそれでも良いと思っているのかもしれないが、また「愚民」扱いされた人の多くはそれに気づかないのかもしれないが、それでは民衆救済を目的とする宗教団体より「低位」の存在であるということになってしまう。
ある日本人に資金と身の安全の保障を与え、その代わりにアメリカに有利なように発言・活動する方向性に制御させること。
そんなことは「CIA」には簡単にできることだろう。
「怪しい人」は実にたくさんいる気がする。
「怪しい政治家」も実に多いと思われる。
選挙で勝つためには、怪しい宗教団体の協力をも受けようとする。
それはどういうわけか?
政権を維持するためには、反共以外に考えの異なる宗教政党とも手を組む。
それはどういうわけか?
そして相変わらず現状経済対策中心で、未来のことを考えずに愚民化教育政策を維持する。
それはどうしてか?
だがお隣大陸で「共産主義」中国は繁栄拡大。一帯一路政策で、かつての日本の大アジア構想を実現しようとしている。
いくら中国の悪口を言っても、これを止めることも、日本を良くすることもできない。
ともあれ、これを見て、かつての三人の男たちはどう思うことだろうか。
なんと口にすることだろうか。
それは誰にもわからない。
児玉は84年に、岸は87年に、笹川は95年に他界している。
以上当然の如く、このブログは「冗談」で書かれている。

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