forget me not
「君は何のために生きているのかな?」
暗い静かな川べりで放たれた漠然とした問いは、普段なら茶化してやり過ごすような、ごくつまらないその問いは、夏の甘やかな夜風に混じると奇妙なほど自然に響いてきた。
「人間は何かのために生きているわけじゃない。たぶん、それは考える順序が逆なんだ。生きているがために何かをするしかない。そして俺たち人間の場合は、することが無闇に多彩なだけだよ。」
「ふーん…まぁそうだね。合っていると思うよ。“私たちは”そうなんだろうね…。でも“君は”どうなの