青い尻を隠す小娘による旅情

帰省には大抵、普通電車を乗り継ぎ、乗り継ぎ、行くので特急電車に乗ったのが本当に久しぶりだ。

普通電車は揺れるし人との距離がとれないので、故郷に着く頃にはくたびれてしまうのだけど、特急電車はいい。人との距離はとれるし、何より速いから普通電車より揺れない。

普通電車のことは好きだ。あらゆる駅に停まるし、そこの景色はどんな田舎でも案外新鮮なものの1つや2つは見つけられるもの。降りてみたくもなる。帰りの電車の心配さえなければきっとふらふらと降りている。知らない、降りたことない駅に電車が停まるの。夢が膨らむ。いつか私は失踪する、その夢が膨らむ。

特急電車はとっても楽ちん。ご飯も食べられるし、こころがゆっくり出来る。けれどやはり楽なことには情緒はないのだ。速すぎる。目的があるなら特急電車がいい。楽だもの。でも乗り換えを嫌って、特急電車にしか乗らない人間は多分本質的に私と相容れないのだとも思う。


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