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絵本紹介⑤「まりとゆったん」

この絵本紹介シリーズでは、VIVITA BOOKS 2020でつくられた絵本10作品がどのようにして作られたのをご紹介していきます。
やわらかなタッチと色合いがやさしい印象の「まりとゆったん」。子ども作家のりかと大学生編集者のたかはしさんは、いったいどのような旅を経て絵本をつくっていったのでしょう?

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はじめまして!VIVITA BOOKS大学生編集者のたかはしです。
わたしがペアを組んだのは、小学5年生のりかちゃん。

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はじめましてのペア発表会では、お互いに少し緊張をしながら、よろしくお願いしますとあいさつをしました。

そこから、月に2.3回打ち合わせをし、絵本のストーリーをつくっていきました。

T&Mの作者のももかちゃんとりかちゃんが仲良しで、ふたりでいることが多くその時はとても楽しそう!
作中に出てくるまりとゆったんは、まるでりかちゃんとももかちゃんのよう。

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ももかちゃんと遊んでテンションが上がると、りかちゃんのひらめきがとっても冴えて、次々にかわいくてユニークなアイディアがでてきます。

言葉にしてくれたものをそれはどんな感じ?と絵に描いてもらうと、その絵がとってもかわいい!

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はじめの構想の時点であった、空を飛びたいという気持ちを大切にして、どうやって空を飛ぶのか?空の上にはなにがあるのか?というところを、りかちゃんのアイディアと絵でより膨らませていきました。

そうして、ふわふわと出来上がったストーリーの矛盾点やパッとみただけでは理解が難しい点などを編集者の西山さんにご指摘いただき、それをまた、りかちゃんと話し合うということを繰り返して、だんだんと台割りが出来上がってきました。

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その台割りをもとに、原画を描いていきます。

りかちゃんに、ラフな下書きを描いた用紙を見開き5ページ分を渡して、1週間後にそれを受け取り、また見開き5ページ分を描いてもらうというなかなかのハードスケジュールでした。。

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VIVISTOPでの1時間〜2時間ほどの作業時間で、できるところまで原画を描き、残りは宿題スタイルで基本はおうちで作業してもらっていたので、作業風景が分からず、つらくないか心配していたのですが、
出来上がった原画に、下書きには描いていないりかちゃんの工夫が所々あり、大変ながらも楽しんで描いてくれているのが伝わってきて、嬉しくなりました!

たとえば、「もくもく もくもく ぽっぽー」と雲の上を電車が飛んでいくシーンが何回も出てくるところは、毎回すこしずつ雲の描き方が違っていたり、スワン銀行が見えるシーンの列車の煙がスワン銀行の形になっていたりします!

ほかにも、描くのが難しいシーンは一緒に付き添ってアドバイスをしながら、がんばって描いてもらい、全部のページに思入れがあって愛おしくてたまらない。。。

いよいよ、原画を全て受け取るとあとはわたしの頑張りどころです。

基本的にわたしはりかちゃんのかわいい絵の背景を担当したのですが、りかちゃんの素朴な優しい絵のタッチの邪魔をしないようにと色選びを慎重に行いました。

りかちゃんもお気に入りと言ってくれた最後の夜空の色も真っ黒に青とグレーを混ぜたようなとろんとした色味にしたり、空も真っ青よりは黄色が少し入った爽やかだけど優しい色にしたりと、りかちゃんの絵の持つ雰囲気を大切に壊さないように意識しました。

その後、データを送って印刷をしてもらい、色味をチェックする色校を2回へて、やっと絵本が完成です!

色校チェックでは、なかなか思い通りの色が出ず、試行錯誤していくなかで、めきめきとphotoshopスキルが上がりました(笑)

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ついにVIVISTOPに届き、ももかちゃんペアと一緒に完成した絵本をはじめて見ました。

テンションが上がりまくる、ももかちゃんとりかちゃん。

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そんなふたりを見て笑いながらも、なんだか、はじめて出会ってから今までのことを思い出して、もう終わっちゃったんだなと、寂しくなりました。

本当にどのシーンの、どのキャラクターの、どの表情にも、りかちゃんの優しい性格と、かわいいユーモアが現れているようで、全部かわいくって抱きしめたくなる、大切な大切な一冊です。

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