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絵本紹介⑥「千代ちゃんと400年に一度の流れ星」

この絵本紹介シリーズでは、VIVITA BOOKS 2020でつくられた絵本10作品がどのようにして作られたのをご紹介していきます。
心やさしい妖怪たちと出会える、「千代ちゃんと400年に一度の流れ星」。子ども作家のりこと大学生編集者のよこいさんは、いったいどのような旅を経て絵本をつくっていったのでしょう?

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こんにちは!大学生編集者のよこいです。

この度、「千代ちゃんと400年に一度の流れ星」という絵本を子ども作家のリッキーと一緒につくりました。

ここでは、4つのトピックで絵本制作の裏側を紹介していきたいと思います。

1. リッキーとアイディアの原点

子ども作家リッキー(むなかたりこちゃん)は絵を描くことが大好きで、特にiPadで絵を描くことが上手です。打ち合わせの途中でリッキーのアートワークを見せてくれるのですが、それがグラフィック的で色使いをとてもこだわっているようでした。

そんなリッキーは去年、VIVITA BOOKS編集部のささがわさんと一緒に「コンとふしぎなともだち」を制作しています。

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今年はどんな絵本ができるかな…まずは顔合わせで2人の好きな絵本を紹介。
私はレオレオニを、リッキーはバムとケロシリーズを持ってきて、どんなところが好きか紹介しあいました。

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そしてそして、今年のリッキーはさらにパワーアップして、ipadをますます使いこなし、できた絵本にはたくさんの個性豊かなキャラクターが登場してきます。

まず、この絵本の原点は、リッキーのキャラクターシートにあります。

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ぬれると1時間の気絶、ジャックオーランタンに憧れている、などおもしろいアイディアがたくさん詰まっています。


このちょうきちをもとに、2人でお話を膨らませてみることにしました。

2. たくさんのアイディアをどうやってまとめる・・・?

それおもしろい!いいねいいね〜といっていくうちに、たくさんのキャラクター、ストーリーの展開が出てきました。

しかしここで問題発生です。

お話を組み立てていくと、、、いつの間にか3部作くらいになっていました。

アイディアがたくさんあって一つ一つ面白いのですが、まとめるのが困難に。
そこで、絶対にこれは絵本に入れたいという、譲れない要素をすり合わせていきました。

台割りへ進む前に、主人公の感情をシーンごとに考えてみたり、4コマ漫画を作ってみたり、小さい紙芝居を作ったり、地図を作って世界観を作り込んでみたり、、
アイディアが一番わかりやすく伝わる方法を試行錯誤します。

そうやってキャラクターの設定を作り込んでいくと不思議とまとまったお話ができてきました。

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山にはいくつかの地方があり、それぞれ名前がついていて、そこでは木が違う色になっています。絵本ではちよちゃんが進んでいくうちに背景の色が変わっていきます。

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紙芝居形式にすると、構成を組み換えたり場面ごとにテンポを確かめることができます。
さて、お話がシンプルにまとまったのはいいものの、リッキーの手によって生まれた個性豊かなキャラクターたちも、せっかくだから全員登場させたいな…という思いがあり。笑

そこでヒントになったのは顔合わせの時の、バムとケロの絵本です。
ストーリーには関係のない絵の背景に隠れているキャラクターを、ページをめくるごとに見つけて2人で楽しんでいたのを思い出しました。

私たちの絵本もそんなふうにキャラクターたちを登場させ、読む人に発見してもらいながら、より絵本を楽しんでもらうことにしました。


3.絵づくり

最初の方に話し合った、絵本にこれは絶対に入れたいという要素に夜景があったのもあり、リッキーの腕前が発揮された夜空のシーン。
基本的にキャラクターはリッキーが、背景をよこいが担当したのですが、このシーンはリッキーが背景も描いています。

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星空見開きいっぱいのページに文字はなく、キャラクターたちの喜びを自由に想像してもらいます。

そしてリッキーはたくさん表情を研究していたので、登場する個性豊かなキャラクターたちも絵本のみどころだと思います。
作風は、可愛すぎず、リアルすぎず、愛らしい、ちょうどいいところにいつももってきてくるので、毎回さすがだな〜と思っていました。

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もうお気づきかもしれませんが、キャラクターたちは妖怪たち。
妖怪といってもみんな心優しい妖怪です。
お話の雰囲気に合わせて背景は主に千代紙やちりめん生地を切り貼りし、和風っぽくしています。

印刷した紙も和紙っぽく、指になじむ優しい肌触りの紙を2人で選びました。


4. 仕事の早さ

次回の打ち合わせまでにこれを描いてきて欲しいとリッキーにお願いすると、次の日くらいにはもうデータを送ってきてくれます。
おかげで私も編集に時間をかけることができ、だいぶ助けられました。

リッキーは千代ちゃんの服のカラーパターンをいくつか作って比較してみたり、
ラフスケッチから幾何学図形に当てはめていくといった制作プロセスをしていました。

納得いくまでテストをする姿勢、私も見習わないと…!と思いながら隣で見ていました。

最後に…

リッキーらしい、読んだ後にほっこりする絵本ができたと思います。

打ち合わせのたびに絵がどんどん成長していったので、これからの成長をぜひ見守りたいですね…

そうだ、完成した絵本には、まだまだ見つけて欲しいポイントがたくさんありますので、

ぜひ手にとって探してみてくださいね。

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