『正チャンの冒険』の時代背景 (前編)
執筆 夏目房之介 (記事協力:マンバ)
『正チャンの冒険』は大正時代、当時最新のグラフ雑誌「アサヒグラフ」に1923(大正13)年1月から連載された連続コマ漫画である。
すでに岡本一平の弟子・宮尾しげをの子供向け忍術漫画が人気を得て、徐々に児童漫画ジャンルも成立しつつあった。しかし、正チャンをそれまでの漫画と比較すると、まず絵柄、次に絵と文字の形式においてかなりの変化がある。
連載当初、学生服のおっさんのような正チャンはお世辞にも可愛いとは言い難い。が、1923(大