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クラスに指示を出す|外国語の教え方

Back to basics! 
クラス授業を想定して、そこでの指示の出し方について考えてみます。
日本語教師なりたてだった頃の私に贈る記事です。


全員の注意を引く


全員があなたを見て聞いているか確認します。教室内での自分の立ち位置を気にしましょう。黒板に何かを書きながら指示を出すと生徒はあまり注意を向けてくれません。

不要な言葉・説明を省く


「今やってほしいことは…」のような冗長な表現は無駄なノイズとなります。また、見てわかることを説明してしまうと逆に混乱を招いてしまうので避けましょう。

指示は段階的に

ワークシートの問題を解いて、ペアで答え合わせをするタスクをするとします。「(今から配る)ワークシートの問題を解いて、終わったらペアで答え合わせしてください」という指示だと、ワークシートが終わった後何をしたらいいか迷う生徒が出てきます。1つのタスクにつき1つの指示を出しましょう。
<指示1>「ワークシートの問題を解いてください」→問題を解く
<指示2>「ペアで答え合わせをしてください」→ペアで答え合わせをする

言ってきかせるよりやって見せる

長々とした説明よりも、実演やジェスチャーの方が効果的です。

ワークシートは指示の後に配布する

ワークシートがある場合は、指示の後に配布しましょう。先にワークシートを配ると、生徒は指示を聞かずに読み始めることがよくあります。

理解確認のための質問(ICQ: Instruction Checking Question)をする

指示を出した後に、生徒にいくつか簡単な質問をして、指示を理解しているか確認しましょう。

例:
<指示>
「ワークシートにはけいこさんの昨日の日記が書いてあります。けいこさんが昨日食べたものの名前にハイライトをしてください。わからない単語があったら単語に○をつけてください。あとでみんなでわからない単語を確認します」
<質問>
「(この後配る)ワークシートもらったら何をしますか?」
「わからない単語があったらすぐに調べますか?」

☆「わかりましたか?」は有効?


子どもなら、先生の説明が早く終わってほしいあまり「わかった!」と答えるかもしれません。成人の学習者であっても、ここでわからないと答えたら能力が低いと評価されるかもしれないという(全くそんなわけないんですが)葛藤から「わかりました」と答えるかもしれません。または、本当に理解したと思って「わかった」と答えたとしても、それは学習者自身が理解したと思っているだけで、実はそうではないこともあります。
理解の確認をするために次のような質問をするといいです。

例:例文「けいこさんが台所にある夕飯のおかずをつまみ食いしています」

 <質問>・けいこさんはどこにいますか?-台所
     ・けいこさんは今何か食べていますか?-はい
     ・この文は過去形ですか?現在進行形ですか?-現在進行形

私の話

私はタイで幼稚園から高校までの一貫校で日本語教師をしていたことがあります。

この学校は3つのコースがありました。

  • インターナショナルコース

    • 週4コマ/1クラス3~4人/校内言語タイ語:英語 = 0.5 : 9.5

  • バイリンガルコース

    • 週3コマ/1クラス20人/校内言語タイ語:英語 = 5 : 5

  • セミバイリンガルコース

    • 週1コマ/1クラス50人/校内言語タイ語:英語 = 9.5 : 0.5

学校のカリキュラム上、全コース同じ進度で授業をしなければなりませんでした。進度をそろえるのも大変でしたが、セミバイリンガルコースの小学4年生50人を集中させるのも一苦労でした。1分間くらいなら集中して指示が聞けたので、その間にいかに端的で明確な指示を出すかに賭けていました。このコースを教えることによって、教師として得られたスキルはかなり大きいです。みんな好奇心旺盛で元気いっぱいな子ばかり。私のタイ語もここの生徒のおかげで上達しました。今回はここで学んだことを中心に記事にしました。

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