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MEV Research Houseを終えて

English version here

8/20~8/27にMEVに関するリサーチハウスを渋谷で行いました。前回のハウスと比較すると規模が大きくなり、約10人が固定で宿泊し、残りの5人は流動的に宿泊いただけました。また24日にプライベートイベントと、25、26日にはMEV TOKYOというイベントを主催しました。全体として、濃い面々にご参加いただき、朝方までホワイトボードの下で議論を続けるような、熱量と好奇心が溶け合った心地の良い空間となりました。

本投稿では、今後同じようにリサーチハウスを企画したい方、残念ながら参加できなかった方に向けて、その振り返りと学びを整理しています。


振り返り

今年の6月頃にYukiから「ETH Tokyo期間にTitania Researchの人たちが何をするか気になる」などのメッセージをいただき、リサーチハウスとイベントを主催することにしました。ハウスとイベントを行うためにはスポンサーやハウスメイト、スピーカーが必要となるため、色々な方面にお声がけする必要がありました。

私たちはイーサリアムの問題解決を捉えた教育・議論の空間を提供することを目指していたため、目標に沿った形で各候補者にお声がけしました。具体的には以下を解消することです。当時のメモをそのまま転用します。

  • 日本の人材(学生、技術者、研究者)向け: イーサリアムに関連する研究・開発分野を持っているが、イーサリアムの研究者・開発者及びその情報との接点が少ないため、MEV業界や課題感が伝わりづらい。

  • 日本外の人材(学生、技術者、研究者)向け: 東京にはイーサリアムに関連する技術者・研究者が多く滞在しているが、こちらも接点が少なく、MEVについて議論する機会(英語対応)が少ない。

時は流れ、ハウスが始まり、全体的にイーサリアムのコアとなるEthereum FoundationAestus RelayShtuka ResearchPBS FoundationSorella LabsMycelNethermindなどから人が集まり、共に夜を過ごしました(他にも様々な方に参加いただきました)。

ハウスでは基本的に朝方までホワイトボードの下で議論を続けるような環境であり、またそれを全員が肯定的に捉えるような空間でした。リサーチハウスとしての役割を全うできたと思います。様々なバックグラウンドを持つ研究者や開発者が、夜な夜な議論を行っている姿を見ると、ハウスの価値を実感できます。

24日にはプライベートイベントを開き、20~30人ほどの方々にご参加いただけました。セッションではNethermindからLinさんがPreconfirmationについて、MycelからYosuiさんがChain Abstractionについて、Titania ResearchからTeiがブロックスペースの売り方について、Shtuka ResearchからAataがPhysical Unclonable Functionsについて登壇しました。

全体的に良質な議論が発生しており、熱量と好奇心が溶け合った心地の良い空間でした。参加者は満足していたように感じています。

25日にはMEV TOKYOの1日目を開催し、NethermindからTomaszEthereum FoundationからBarnabéEclipseからTerryに登壇していただきました。TeeやMultiple Concurrent Block Proposers、Solana's Fee Mechanismについてが主な内容です。

26日にはMEV TOKYOの2日目を開催し、Sorella LabsからYuki API3からUgurPropellerHeadsからMarkusに登壇していただきました。App-specific SequencingやOracle Auctions、Mechanism Design in the MEV Supply Chainが主な内容です。

両日ともに、運営として細かいミスはありながらも、濃ゆいオーディエンスに囲まれ、充実しておりました。

反省と学び

学び

さて、全体的に今回のリサーチハウスは成功したと言えると思います。多様な人たちとの議論を通じて、良質な情報と機会を共有することができました。では、今回のリサーチハウスの何が成功要因だったのでしょうか。

実は今回のリサーチハウスは2回目で、半年前にも小規模なハウスを実施しておりました。以前のnoteでは、その際の反省と学びを記載していますが、前回のハウスは到底成功したとはいえない状況でした。前回と今回のハウスの差分を観察することで、今後私たちと同様にハウスを開きたい方のお役に立てるかもしれません。

まず大きく異なるのが、巻き込める人の量が増加した傾向にあることです。以前のハウスは赤羽の外れの小さな地で実施しており、Titaniaメンバーのみが宿泊をしているような状況でした。そのコストのほとんどもメンバーのポケットマネーで補う状況でした。

今回はスポンサーが集まり、立地の良い場所に大規模なハウスを借り、私たち以外にあるイーサリアムのコアな人たちが宿泊や参加の傾向に誘導され、ハウス内が多様性に富み、議論が促進しています。

前回よりも私が特別にスポンサー集めを頑張ったなどの要因ではなく、そこには前ハウスの影響が大きく絡んでいます。前ハウスでは私の力不足で法人スポンサーを得ることができませんでした(個人スポンサーをしていただいた九十九さんには大変感謝しています)。

しかし、無理にでもハウスを開いた影響として、EF Grantの取得、FBAの実装、Titania Researchをインスパイアした別ハウスや組織の出現、コミュニティへの認知、信頼を蓄積することができました。

その甲斐もあり、今回のハウスで助けてくれる人が増えたのだと思います。私のひとつの視点として、小さなことを積み上げていく重要性を再認識しました。これは大きな学びです。

反省

反省点としては、イベントの企画・執行に(主に私なのですが)計画性が欠如していたことです。ケータリングが上手くいかなかったり、予定にないイベントを突発的に企画したり、ハウス期間中のトピックスを決め損ねたりなど、計画性が欠如していることによる良くない影響を感じました。計画性のある人をひとりイベントの企画・執行に入れるのが良いと感じています。

スポンサーの皆様、ありがとうございました!

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最後になりますが、MEV TOKYOに共感して、あるいは私を信じて応援してくれた方々、ありがとうございました!スポンサーのおかげで素晴らしい空間を作ることができました。また同様にイベント会場を貸してくださったCentrumの方々、スピーカーとして登壇してくれた方々のおかげで深いインサイトをいただけました。総じて、ありがとうございました!

vita

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