見出し画像

債券投資を勧めない理由

債券投資は一般的に低リスク・低リターンな投資であるとされており、「損はしたくない!」という方にとっては魅力的な商品であるとされています。
そこで投資初心者向けの金融商品だと言う人が多い気がします。
しかし、僕は債券投資は(特に投資初心者には)お勧めしません。
その理由を三選、紹介します。
(※一応言っておくと、僕もポートフォリオの一部として債券は持っていますが、大部分は現物株です)


流動性がない

社債や国債などを購入する場合、基本的に中途解約が難しいです。購入した社債に売買市場があれば売却することができる可能性がありますが、多くの場合には存在しません。
もし売却できる市場があったとしても流動性が低い場合が多く、高いスリッページ(実質的な手数料)が発生し結果的に損をしてしまいます。
国債などは証券会社(や発行国)が買い取ってくれることもありますが、やはり手数料が発生しますので損してしまいます。
「満期になるまで絶対に売らない!」という覚悟があるのであればいいのですが、急な支出というのはどうしても発生してしまうものです。そういった場合に流動性の高く売却しやすい株式などと比べると、債券の流動性の低さは仇となるでしょう。

デフォルトリスク

債券は投資先の企業や国(自国通貨建てでない国債の場合)が破綻してしまえば、価値はほぼゼロになります(破産処理の結果少し戻ってくることはありますが、大損です)。
企業の平均的な寿命(創業から倒産までの年数)は20年くらいであるとされており、特に満期が長い債券では償還を迎える前に倒産してしまう確率を考えなくてはなりません。
もちろん大手の上場企業などでは倒産リスクは低いですが、倒産リスクが低い分利回りも悪くなってしまいますし、最近はインターネットの発達のおかげ(せい?)で市場環境の変化が激しい世の中であり、5年後とか10年後もちゃんとその企業が収益を出せてるかどうかは怪しいものです。
債券の利回りはせいぜい年間数%程度であり、そのような小さな利回りに対して倒産による全損リスクを考えると割に合うかは微妙なところです。

金利上昇リスク

債券価格は一般的に、金利が上昇すると下がってしまいます。とくに満期の長い債券は激しく下落します。おおむね市場金利が1%あがると、償還期限が10年のものであれば10%も下落してしまいます。債券であっても、市場金利が激しく動けば株みたいに大きく損をしてしまうこともあるわけです。株の場合には配当以外にもキャピタルゲインも狙えるわけですからアップサイドがかなりありますが、債券の場合にはアップサイドはほとんどないのに金利が上昇して損をしてしまうのでは割に合いません。
逆に金利が下がれば債券価格も上昇しますが、それだけボラティリティが高いのであれば株でもいいのではないでしょうか?
債券を直接保有し、満期まで持つという確固たる決意があれば償還前の債券価格の時価変化は気にならないかもしれません。しかし債券ファンドなどを購入する場合には金利の変化によりダイレクトに投資パフォーマンスに影響してしまいます。
もちろん金利の下落による債券価格の上昇を見越して債券ファンドを購入する、という可能性もありますが、金利が下落すれば一般的には企業がデットファイナンスをしやすくなり設備投資や人的投資により収益が上がることを見込んだり、金利下落にあわせて配当利回りが下がるように株価も調整(上昇)する可能性が高いです。債券投資をキャピタルゲイン目的で購入するくらいであれば株の方がよっぽど優秀です。

まとめ

株などの流動性の高い金融商品であればいつでも売却して他の投資や急な出費に回すことができますが、社債などでは満期まで待たないと資金は返ってこず「やっぱりやめておけばよかった」と思ったとしても資金は長期間ロックされてしまいます。債券ファンドであればいつでも売却できますが、金利変化をダイレクトに受けてしまいます。
また高い金利につられて格付けの低いハイイールド債を買ってしまうと、デフォルトにより全損する可能性もあります。
さらに低リスクだと思っていたのに、金利が上昇して大きな損を出してしまうこともあります。
そういったことを考えると、債券投資は慎重な投資判断(長期間の資金ロックに耐えられるか、デフォルトリスクと利回りのバランスは適切か、金利上昇などのリスクはないか、など)が求められる、比較的上級者向けの投資なのではないかと思っています。
もっとも簡単な投資などない(そんなものがあればみんなやってる)わけで、「だったら投資初心者は何を買えばいい?」と聞かれたらちょっと考えてしまいますが、投資初心者が「債券投資は初心者向けですよ!」という記事を鵜呑みにして投資してしまったら失敗する可能性が高いと思っています。

ですので、まずはあらゆる投資を経験してみて投資経験を積み、中級者レベルまでなれるように頑張るのが必要かなと思います。社債を買ってしまうと「やっぱりやーめたっ!」ということができませんので投資経験を積むことができません。流動性の高い金融商品でともかく練習しまくり、時には損を出しつつも自分にあった投資手法を発見するのがいいのではないかと思います。
株式や不動産、ゴールド、仮想通貨など様々なアセットクラスに分散して購入するのは投資の鉄則です。債券投資だけに全振りするのではなく適切なアセットアロケーションを設計し、ご自身のリスク許容度の範囲内で投資を行いましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?