西加奈子「きりこについて」
本屋で見つけた時、表紙の黒猫の写真(イラストVerと写真Verの二重表紙になってる)を見て、即買いした。むかし家にいた子にとてもよく似ている。
本作は、ロジカルで明るい文体が心地よい。なにより、作者の猫へ造詣がとても深いことに驚かされる。わたしがこれまでに読んだ作家の中では群を抜いている。おそらく作者はこれまでに何度か転生して、猫を経験されてるんだと思う。
本作は、時間も空間もとびこえて、俯瞰的に表される人物描写がすばらしい。どうしても人は容れ物と中身の二極で判断してしまう。