猫山猫一

シンガーソングライター、三線奏者、カラーコーディネーター、ベーシックきのこマイスター、…

猫山猫一

シンガーソングライター、三線奏者、カラーコーディネーター、ベーシックきのこマイスター、アニメ作家。一時期海外勤務だったが今は帰国中。

最近の記事

西加奈子「きりこについて」

本屋で見つけた時、表紙の黒猫の写真(イラストVerと写真Verの二重表紙になってる)を見て、即買いした。むかし家にいた子にとてもよく似ている。 本作は、ロジカルで明るい文体が心地よい。なにより、作者の猫へ造詣がとても深いことに驚かされる。わたしがこれまでに読んだ作家の中では群を抜いている。おそらく作者はこれまでに何度か転生して、猫を経験されてるんだと思う。 本作は、時間も空間もとびこえて、俯瞰的に表される人物描写がすばらしい。どうしても人は容れ物と中身の二極で判断してしまう。

    • 文豪たちが書いた「猫」の名作短編集

      『文豪たちが書いた「猫」の名作短編集』読了。すばらしかった。 猫への愛情、畏れ、猫を通じた社会風刺や人情劇、十五人の文豪が描く世界に瞬く間に引き込まれた。あたりまえのことだが、作者ごとに文体はもとより、猫との向きあい方が異なるのが興味深い。 わたしは長い年月、猫と共に生きてきた。何を考えているか、どうしたいのかは一目見ればわかる。おなかがすいた時、甘えたい時、干渉されたくない時、つかずはなれず、ただそばにいたい時、旅立つ時…。いずれにせよ、人間以上に礼儀と尊敬の気持ちを持って

      • 青山美智子「木曜日にはココアを」

        すばらしかった。以前、「猫のお告げは樹の下で」で感動したので、こちらも読んでみた。パーソナルカラーと絡め、様々な人間模様、相関関係が描かれている。自分もどこかで誰かとつながっていて、お互いに高めあっている。そう思うと、生きる勇気が湧いてくる。 以下、ネタバレになるので、未読の方はご注意。 【参考・相関関係について】  マスター…マーブルカフェのオーナー -------------  ワタル…マーブルカフェの店員  マコ…英文のエアメール、えなの従姉、英会話スクールの先生

        • オトウフ「潮ダイアリーあだしごと9」

          すばらしかった。本作は、落語の演目になぞらえており、奥が深い。まんじゅうこわい、あくび指南、粗忽長屋、古今亭志ん生さんの小咄も入っている。ラストは著名なあの演目…。潮、なんていい子なんだ。泣きました(T_T)。

        西加奈子「きりこについて」

          知念実希人「時限病棟」

          すばらしかった。医療とリアル脱出ゲームを題材にしつつ、複雑な人間関係が描かれる。緻密に練られた謎が秀逸。謎解きなのに、読み終えた後の鬱屈感が半端ない(笑)。 今頃気づいた。本作の前に「仮面病棟」という作品があるんだった。また読んでみようと思う。

          知念実希人「時限病棟」

          有川浩「旅猫リポート」

          とても良かった。猫と旅といえば、THE YELLOW MONKEYの「楽園」を連想したが、あながち間違ってはいなかった。流れゆく情景とともに、サトルとナナの絆、かつてのクラスメートたち、伯母との交流が描かれる。やさしさと思いやりがたくさん詰まった作品。

          有川浩「旅猫リポート」

          山口路子「オードリー・ヘップバーンの言葉」

          言葉に説得力と重みがある。役者として、人としての信念。熟考した決意にはブレがない。山口氏の「ココ・シャネルの言葉」でも感じたが、本人の意志や生涯を的確に捉え、本質を伝えている点がすばらしい。他の作品もまた読んでみる。

          山口路子「オードリー・ヘップバーンの言葉」

          村田沙耶香「コンビニ人間」

          ガラスケースの中に閉じられた世界観、無機質でルールベースの行動原理。 常識に迎合するため普通を演じる姿が描かれる。 異端であることは必ずしも罪でなない。一寸の歯車にも五分の魂がある。

          村田沙耶香「コンビニ人間」

          齋藤孝「読書する人だけがたどり着ける場所」

          膨大な参考文献の数に感動。最近、移動中や待ち時間に読書する機会が増えたので、集中力と思考力の重要性、言葉の持つ力について、再確認できて良かった。

          齋藤孝「読書する人だけがたどり着ける場所」

          白倉由美「やっぱりおおきくなりません」

          完結。前回は主体が月哉だったが、今回は麻巳美になっていた。成長の過程を描くため、あえてそうしたのかもしれない。大人とは何か?時折、冷静さを欠いてしまう自分は、まだ未熟なんだと痛感した。

          白倉由美「やっぱりおおきくなりません」

          白倉由美「おおきくなりません」

          前向きになれる作品。帰省する電車の中で読んだ。 成長とは何か?変化する環境の中でそのことに気づく。 自分のこれまでを振り返り、共感することが多かった。 遠回りのようでいて、世界は着実に広がっているんだと思う。

          白倉由美「おおきくなりません」

          山口路子「ココ・シャネルの言葉」

          創り手として、信念を持って生き抜いたシャネルの足跡を、数々の名言とともに辿っている。モノづくりと表現に関わっている身としては、これほど勇気付けられる言葉はない。わたしも生き抜く。 2022年6月加筆: きゃりーぱみゅぱみゅさんのライブ「10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 CANDY WAVE」のMCの中で、本作を読んで人生観に感銘を受けた反面、おしゃれに関する価値観がご本人と真逆で驚いたという話を聞いた。シャネルの「シンプルが一番」という考え方

          山口路子「ココ・シャネルの言葉」

          三上康明「恋の話を、しようか」

          オトウフ先生の挿し絵イラストがかわいい。ほろ苦く、心地よいエンディング。自分自身、難しく考えすぎて迷っていた時期を思い出す。過去には戻れないが、未来に目を向けることはできる。あきらめない。

          三上康明「恋の話を、しようか」

          長野まゆみ「デカルコマニア」

          過去と未来が交錯する、メビウスリングのような時空を生きる一族の物語。緻密に計算された時間と系譜。独特な文体に慣れず、最初かなり戸惑ったが、読み進めるうちにスイッチが入り、一気に読み終えた。あとがきにもあるように、もう一度、読み直したくなる作品。

          長野まゆみ「デカルコマニア」

          磯光雄「電脳コイル」

          全13巻読了。面白かった。 旅行や出張の移動中に少しずつ読み進めて、一年かかった。 本作品が作られてから十年。めがねよりもスマホが普及した世界。SNS に依存している自分に気付く。本質を見極めねば。

          磯光雄「電脳コイル」

          阿川大樹「終電の神様」

          面白かった。品川駅の三省堂で偶然見つけてジャケ買いした。 登場する人物全てに感情移入、共感できた。 境遇も考え方も全く異なるが、おそらく、自分の中にある本質的な部分と共鳴するんだと思う。 すてきな作品と出会えて、本当に良かった。

          阿川大樹「終電の神様」