見出し画像

Radiomics超入門:画像特徴(Image Feature)の概要

本解説では、IBSIで指定されている定量的な画像特徴(image feature)について説明します。

概要

ここで取り上げられている特徴は、[Aerts2014]および[Hatt2016]によって提案された特徴セットに基づくものであり、それ自体、主に従来の研究から派生したものとなっています。

たくさんの画像特徴を計算できることは、画像バイオマーカーを探索する上で重要なことに変わりはありませんが、これらの一つ一つを正確に算出できることが前提になります。計算結果の再現性の確認のために公開された臨床的なデータセットやファントムによる基準値が必要です。これらの基準値については、IBSIが公開しているデジタルファントム、胸部CTデータセットを用いて、複数の先駆者たちが、計算結果の精度検証を行い、公開してくれています。基準値は、各特徴で検証されており、その結果をまとめた基準値表には、データセットごとに、許容誤差の範囲とともに、確実に再現できた値が記載されています。併せて、基準値の妥当性に関するコンセンサスも記載されています。コンセンサスには、同じ値を出すことができたチームの数に応じて、4つのレベルがあります。

  • 弱い(<3 一致)

  • 中程度(3 から 5 一致)

  • 強い(6 から 9 一致)

  • 非常に強い(≧10 一致)

基準値に関するコンセンサスが弱い場合、または多数のチームによって再現できない場合は、標準化されていない特徴とみなされたことを意味しています。コンセンサスの低い特徴は、現在のところ信頼できる基準値を持たないため、非推奨となっています。

画像特徴はいくつかのファミリーグループに分類することができます。IBSIでは、信号強度に基づく統計的特徴量、信号強度ヒストグラムに基づく特徴量、信号強度-体積ヒストグラムに基づく特徴量、形態学的特徴量、局所信号強度、およびテクスチャマトリクスに基づく特徴量を扱っています。これらの特徴や他のテクスチャ特徴については[Depeursinge2014]を参照。

特徴量は、元画像、および、ウェーブレットフィルタやガボールフィルタを用いて変換された画像に対して計算されます。特徴量を計算するために、関心領域(ROI)画像が用意されていることが前提です。

いくつかの特徴ファミリーは、特徴計算の前に追加の画像処理ステップを必要とします。特に、信号強度ヒストグラムとテクスチャ特徴ファミリーは、事前に信号強度を任意のグレーレベルに離散化する必要があります。その他の特徴ファミリーは、計算前に離散化を必要としません。画像処理の詳細については、「Radiomics超入門:Radiomicsの特徴計算までのスキーム」の図1を参照してください。

以下、特徴ファミリーの画像処理要件をまとめた概要表です。

$$
\text{表 2 特徴ファミリーと必要な画像処理 } \\
\begin{array}{|c|c|c|c|c|} \hline
\text{Feature family} & count & morph. & int. & discr. \\ \hline
\text{morphology} & 29 & ✔ & ✔ & ✕ \\ \hline
\text{local intensity} & 2 & ✕ & ✔^a & ✕ \\ \hline
\text{intensity-based statistics} & 18 & ✕ & ✔ & ✕ \\ \hline
\text{intensity histogram} & 23 & ✕ & ✔ & ✔ \\ \hline
\text{intensity-volume histogram} & 5 & ✕ & ✔ & ✔^b \\ \hline
\text{grey level co-occurrence matrix} & 25 & ✕ & ✔ & ✔ \\ \hline
\text{grey level run length matrix} & 16 & ✕ & ✔ & ✔ \\ \hline
\text{grey level size zone matrix} & 16 & ✕ & ✔ & ✔ \\ \hline
\text{grey level distance zone matrix} & 16 & ✔ & ✔ & ✔\\ \hline
\text{neighbourhood grey tone difference matrix} & 5 & ✕ & ✔ & ✔\\ \hline
\text{neighbouring grey level dependence matrix} & 17 & ✕ & ✔ & ✔\\ \hline
\end{array}\\
\text{count: 特徴の種類,morph.: モルフォロジカルマスク要・不要,int.: 信号強度マスク要・不要,descr.: 離散化の要・不要. } \\
\text{a 局所信号強度特徴を計算する場合、画像ボリューム全体が利用可能でなければならない。}\\
\text{b 信号強度-体積ヒストグラムの画像離散化は、例えば、テクスチャー特徴に必要な離散化よりも細かい離散化で実行される。}
$$

以降の解説ではこれらの特徴について具体的に解説していきます。


RadiomicsJの引用はこちら

Kobayashi, T. RadiomicsJ: a library to compute radiomic features. Radiol Phys Technol 15, 255–263 (2022). https://doi.org/10.1007/s12194-022-00664-4

RadiomicsJのリンク

https://github.com/tatsunidas/RadiomicsJ


Stay visionary

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?