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噓日記 1/22 カレーの日

本日1/22は、カレーの日らしい。
俺は戦争と差別とカレーライスとハンバーグが嫌いだ。
俺は昔から道徳的に気高く、そして育てにくい子どもであった。
今日はカレーライスについての不満を書き残しておく。
カレーライスを好きな方を貶める気は一切ないが、好きな食べ物を聞かれてカレーライスが好きって答えると馬鹿だと思われそうじゃないですか?
俺は馬鹿そうだなって思います。
これが差別です。
だがこれにはちゃんと俺なりの理由がある。
この世にはカレーライスが好きという人間が星の数ほどいる。
現に星になった俺の祖母もカレーライスが好きだった。
ある調べによると、日本だけでも十二億人が「カレーライスが好き」という調査結果が出ているらしい。
そのうち、カレーライスがとても好きなのが約二割、まあまあ好きなのが約三割、どちらかといえば好きが約四割。
俺のようにカレーライスが嫌いな人間は一割に満たない。
この割合が表すのはカレーライスの人気だけではない。
端的に言い換えると、カレーライスが好きというのは殆どの人間にとって基本装備なのだ、ということ。
スマホを買い替えた時に初めから入ってる要らんアプリと一緒。
みんな持ってて当たり前の属性なのだ。
だからこそ返答として無意味。
嫌いな食べ物は何ですか? カレーライスです、ならまだそこに意味が生まれる。
嫌いは好きよりも明確な理由が言語化できるから。
好きな食べ物は何ですか? カレーライスです。
あなたのおばあちゃんの性別はなんですか? 女性ですと一緒。
一番つまんねーし意味ない返答。
カレーライスが好きですって返答をして弾んだ会話って有史以来一度もないらしい。
俺が通っていた小学校も殆どの児童がカレーライスを好きだったが、給食の時間にカレーライスが出て盛り上がったことは一度もない。
カレーライスってもう盛り上がりきってるから。
下り坂飯。
当時、一足早く黙食を取り入れたように、普段はフルーツポンチで大騒ぎするやんちゃな子どもたちが静かに給食を食べていた。
水を打ったような静寂。
祖母の葬儀でももうちょっと盛り上がった。
カレーライスは下駄をはかされている。
いつの間にか国民食然とした態度で食卓に居座っているが本来のカレーライスが生まれた時のエピソードを知っていたらそんな風には思えないはずだ。
カレーライスが生まれた時のエピソードを皆は知っているのだろうか?
知っているのならもう世が狂っているとしか思えない。
ちなみに俺は知らない。

どりゃあ!