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噓日記 2/12 孤賃の鼠

「孤賃の鼠だね」
街を征けばガラの悪い連中が彷徨いている。
そんな奴らに絡まれることだって少なくない。
だから俺は奴らに胸ぐらを掴まれながら言ってやるのだ。
孤賃の鼠だね、と。
意味?
ない。
全然ない。
なに? 孤賃の鼠って。
こちんのそ。
音がいいから言ってるだけ。
マジで何の意味もない。
でも言われた方ってビビるよね。
突然オリジナルの言葉を吐かれたら俺だってビビる。
しかもなんか孤賃の鼠って呪詛っぽいじゃん。
俺が言われた方で信心深かったら泣いてるかもしれない。
ガラの悪い連中って大抵の場合信心深いという統計が俺の中で取れているんだけど、皆はどう思うだろうか。
だってアイツら死ぬほどダサい数珠みたいなブレスレットを腕にジャラジャラつけてるじゃん。
あんなの何かしらの念を込めてないと現代人つけれないよ。
あれ外したら何か戒律を破ったことになるのかな。
それこそ孤賃の鼠じゃんね。
あと、ガラの悪い奴らってファッション終わってるじゃん。
あれも何かしらの戒律によるものだと思うんだよね。
この前免許更新行ったらさ、ガラの悪いアホそうな奴がピッタピタのスキニーに英字の書いた長袖Tシャツ、ファーの付いたダウンベスト、真っ黒に近いサングラス、明るい茶髪のソフトモヒカン、裸足にローファーでウロウロしてた。
もう、戒律じゃんね。
そこまで行っちゃったら。
ダサ過ぎるとかの問題じゃないもん。
終わってるもん。
まだアニメ系の服着てる方が俺にとってはマシ。
それくらいヤンキーファッションって終わってる。
そんでアイツらなんでみんな同じようなファッションセンスなの?
多分だけどアイツらのセンスって全部縦割りなんだと思う。
俺たち心優しい一般人はそれぞれ関わる人が違うから知り得る情報も横に広がっていく。
それがファッションに多様性を生んでいくんじゃないかな。
ヤンキーは基本的に権力が高い奴から低い奴へのアホ連絡網でしか情報が下りていかないからもう死ぬほどダサさが煮詰まっている。
憎むべきは初代の権力ヤンキーだろうね。
初代権力ヤンキーダサすぎない?
母ちゃんに買ってきて貰えばいいのに。
多分、普通に母ちゃんの方がセンスいいよ。
それこそ孤賃の鼠だよ。
俺はこの孤賃の鼠という言葉をもっと多くの場面で使いたい。
今日の日記でも何回か使ってるけど全然意味なんてないからしっくりこないし意味も分からない。
でももっと使いたい。
そういう言葉にしていきたい。
アイーンとかと一緒。

どりゃあ!