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噓日記 12/29 平日と休日の間

朝、アラームが鳴る一分前に起床して平日だけに設定しているアラームを全てオフにした。
昨日仕事納めを迎えたので、新年までしばらく休みだ。
体はまだ平日の仕様でいようとするので、行動で休みであることを教えてやらねばならない。
だからこうやって小さなことから平日と休日を切り替えていく。
それから朝食も作らず、カップ焼きそばに湯を注ぐ。
朝から重いものが食べられないだとか言うやつは胃が死んでるし精神が薄弱だからそんなことを言う。
俺は朝イチにステーキを食べたこともある。
胃は死んでいる。
カップ麺は俺にとって休日のアイコン。
平日頑張ったからと楽をするときに一番具合が良いのがこれなのだ。
ましてや今は年末。
一年間の総決算だ。
少しくらい適当に過ごしてしまってもバチは当たらないだろう。
普段は厳密に時間を守っている湯切りも、体感でこの辺だろうという時間に行う。
俺はカップ麺の待ち時間を守れないやつのこと、好きじゃない。
そんなことも守れなくてどうやって家族を守るんだ。
でも今日の俺はそれを守らなかった。
守る家族もいないし。
結局のところ守らなくても美味いものは美味かった。
カップ焼きそばのジャンキーな旨味が舌にジーンと染み入ってくる。
これはもう、飲むしかない。
朝の八時にグラスに氷を満たして、シーバスリーガルの十八年のハイボールをいただく。
普段は晩酌もほとんどせず、金曜もしくは土曜くらいしか酒を飲まない。
仕事を生活の中心に置いているから、その辺りは弁えている。
でも今日は飲む。
濃いめに作ったハイボールが、食道に違和感を残しながらクッと落ちていくのが分かる。
この違和感こそが酒の醍醐味であり、酒のやだみであり、酒を酒たらしめる要素なのだ。
一杯、二杯、三杯。
そこからはもう機械だ。
酒を飲むだけの機械。
朝から昼になり、それでも酒を飲む。
そして気付けば夕方。
流し見していたテレビがニュースなんかを読み上げ始めたので電源を落とす。
時世のことなんか今は知りたくない。
ちょっと横になる。
好きな時に好きなように振る舞えるのが休日の良いところだろう。
俺が寝たくなったら寝ても良いのだ。
酒を飲み、寝る、酒を飲み、寝る。
この休みに俺は現代版酒呑童子になると心に誓った。
それからウトウトしては目が覚めて、酒を飲んで、なんとなく入れたスマホの放置ゲームを触る一日。
これぞ休日。
でも多分、明日になるとまたアラームの一分前に目が覚めるのだろう。
俺の体はそう出来ている。

どりゃあ!