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噓日記 12/30 創作怪談

休みに入って常に酒を飲んでいるので今日が二日酔いなのか三日酔いなのか四日酔いなのか何も分からない。
こんな日にやることと言えば自己嫌悪か創作怪談くらいしかない。
そこで今回は俺なりの創作怪談の技法を残しておこうと思う。
まず第一に、友人が体験したという体はやめる。
一気に創作感が溢れてしまうため注意が必要だ。
オススメは母方の祖父とかの血が繋がってるちょっと遠いライン。
故人だと尚良い。
勝手に不気味さが増してくれる。
怪談とは想像力をくすぐる娯楽なのだ。
そういった余地の部分を話者がある程度準備してあげるだけでかなり聞き心地が良くなる。
第二にタイミングよく伝聞調に主観の要素を足していくこと。
例えば「不気味な暗がりに足を運んだそうです」という伝聞調の文章を、「不気味な暗がりに足を運んだんです」に変える。
それだけで臨場感が増し、更に話の冗長さがカットされるので話のオチが見えるまでの猶予を聞き手に与えない。
だが、あくまでそれは伝え聞いたことであるということを意識しなければならない。
当事者しか知り得ない情報を派手に追加してしまうと話がチープになってしまう。
例えば「大きな真っ黒い穴がポッカリと廊下に浮かんでいたそうです」を「大きさで言うと150センチはあろうかという黒黒とした闇が廊下で大きく口を開けているんです」なんて言い換えをしてしまうと途端に白けてしまう。
ニュアンスを追加する時は常に一度大きく括った簡単な語彙を出してから。
大きな穴が空いていた、それは150センチはあろうかという大きさで人を今にも飲み込もうとするような不気味さがあった、ならいい。
ワンテンポ入れてあげるだけで伝聞に信頼が得られる。
第三にオチは弱めに。
創作怪談にありがちだが、強めのオチで怖がらせようという強引さは一気に聴者を現実に引き戻してしまう。
例えば呪われた赤ちゃん人形の話を作るとする。
「その人形を手に入れた祖父の友人は、何故か原因不明を自殺をされたそうです。それから四十九日がすぎる前、祖父の枕元にその友人の霊が立ってこう言ってきたんです。次はお前だよ」でオチにするくらいなら、「その人形は幾人かの手に渡った後、今ではどこに行ったのかも分からないそうです。ただ、私はもしかしたら祖父宅の蔵にあるんじゃないかなと睨んでいます。だって祖父、たまに蔵に子どもが好きそうなおもちゃをコソコソ持ち込んでいるから」の方がマシ。
でも本当にいいオチはこんなのじゃない。
「あ、A君はなんか死んだらしいです」とか突然言ったり、「あたりまえじゃねぇからな! あたりまえじゃねぇからな!」と突然加藤浩次の真似をする方がウケる。
究極、ウケの方が盛り上がる。

どりゃあ!