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噓日記 10/22 アナ氏の日記

今日も今日とて特段何もない一日だった。
毎日が当然のように過ぎてゆく中で、日曜というだけで騒げるほど若くもなく、それでいて日曜を無為に過ごせるほど老いてもいない、そんな若さと老いのバランスが丁度良い今でこそ出来る休暇の過ごし方は意外と多くない。
今日はそんな私が普段通りの日曜を過ごした記録を残しておく。
午前中のこと、所要を何個かこなした後に通販サイトを覗く。
来月末で期限が切れてしまうポイントを何に使ったものかと思案する、そんな時間こそが実は生活に潤いを与えるものだったりする。
先月の支払いで提携するクレジットカードを色々使用したこともあって6000円強ほど期間限定のポイントが貯まっていたので、少しばかり普段は買わないようなものを買うことだってできる。
取り寄せのスイーツだとか、少し良い靴下だとか、いつもの買い物だと自然と候補から外れていくような物を優先的に眺めていく。
ただリストを眺めながらも、同時に普段からそこに食指が伸びないことや現在それらを注文しようとまで思えない私自身の感覚から、そこへの興味関心が薄れていることに気付く。
それらが私の中の欲しいというラインまで届かないのだ。
6000円というなかなかの金額を使える自由もその選択を狭める一因となっているのだろう。
だからなのか、そこからは実用的な物を注文しようかと秋冬向けの肌着を探してみたり、長袖のTシャツを探してみたりといつの間にか普段の生活に即した物を探してしまっていた。
私の生活の中で知らないことや魅力的なものに出会い日常を彩るよりも、今現在の生活を補強する事に優先度が高まっている。
現在立つ場所と地続きの快適さにしか目がいかない、そんな自身の変化を通販サイトは教えてくれているのかもしれない。
結局のところ、私はポイントを使用して長袖のTシャツを購入した。
海外ブランドでガシガシ使用できる堅牢さが有名なTシャツで、これからの時期のワードローブに加入させるのに丁度いい商品だ。
ポイントを使用して約800円、定価で7000円程のTシャツなので悪くない買い物が出来たかと思う。
さて、そんなことをしているうちに夕方だ。
日曜日とは実はこんなもので良い。
生活を思い、そして翌日からの平日に向けて、ただ生活を補強する。
それだけの日だと言ってもいい。
また翌日、また翌週と楽しみなことを先送りにして未来のことだけを考える。
そんな日だっていいのだ。
日曜日は私にとって、跳ねる前の助走でいい。

どりゃあ!