見出し画像

噓日記 10/29 飲酒記憶喪失編

今日は10/29、肉の日だ。
大手のスーパーやらデパートでは必ず肉のセールをしている。
そんな日ならばそれに従い、肉を買いに出かけるべきなのが人間であり、社会性のある生き物なのだと思う。
だが、俺は今日出かけなかった。
なぜならば精神的に参っているからだ。
昨日の晩、しこたま飲酒をして酒を20杯以上飲んだ辺りからあまり記憶がない。
酒を飲みすぎた翌日はいつもそうだ。
不安が残る。
何か酒を飲みすぎたことで誰かに迷惑をかけていないかと心配になるのだ。
しかし自分の記憶はぼんやりとしか残っていないので誰かに迷惑をかけていたとしても、ほとんど思い出せないせいで心配だけが募って解消されない。
それがたまらなく辛いので、日曜日は家に篭ることが増えた気がする。
昨日はどうやって家に帰ってきたのかも思い出せないが、ぼんやりとタクシーの運転手に金を渡したのは覚えている。
それほどまでに酔って帰った。
酒で普段の心労を流しているつもりが、酒でいつも不安になる。
好きだがいつも飲みすぎてしまう。
でもまた俺は普段の生活に擦り切れて疲れ切った頃に同じように酒を飲みに行くんだろう。
そしてまた昨日と同じように、たらふく酒を飲みまくって後々になってまた不安になる。
そんな不安と不安を忘れる日々の積み重ねを俺は生活と呼んでいる。
昨日の断片的な記憶を呼び覚ますとガールズバーの女の子に可愛いと言いまくった時間が確実にある。
可愛い、綺麗あたりは言っといて損はないので昨晩の俺をよくやったと褒めてやりたい。
あと、おっぱい大きいねって言ったかもしれない。
こればっかりは言ってない方に賭けたい。
確かにおっぱいが大きい女の子がついてくれたのだが、おっぱいが大きいは褒め言葉にならないかもしれない。
昨晩の俺が紳士であることを祈る時間を俺は今日と呼んでいる。
あと、LINEに女の子から食事の約束の連絡が来てる。
串を食べに行こうとのこと。
知らん女の子。
昨日俺が恐らくどうにかした女の子のようだ。
アイコンからどこの子か推測しても何も思い出せない。
だが、昨日の俺が食事の約束を取り付けていたのならばそれは素晴らしいことをしたと褒めてやりたい。
ありがとう、昨日の俺よ。
お前が築き上げた信頼関係を、明日の俺が掠め取る。
だが、その延長線上にお前もいるのだ。
俺の体の一部となってそれを楽しんでもらいたい。
俺はこうやって昨日の俺の頑張りを明日の俺が奪い去っていくことを記憶喪失ナンパと呼んでいる。
よく考えたら全然不安じゃないな。
ありがてぇ話だ。

どりゃあ!