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【小説】婚活女子と、既婚女性。

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婚活と不倫、セフレ沼をテーマにした、女の本音?ダークあり、笑いありのWヒロインの物語になりました。どんな結末を迎えるのか、、。読んで頂けたら幸いです。
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記事一覧

【第1話】婚活女子、なりふり構っていられるか!

 私は32歳の主婦である。二人の子どもに恵まれ、大企業に勤める冴えないけど害もない夫と、絶賛セックスレス真っ最中なのだが、私と夫が出会ったのはとある街コンだった。  今朝の情報バラエティ番組で、婚活特集をやっていて、婚活のプロ!などともてはやされている女芸人が、控えめに、でもどこか誇らしげに、自身の婚活について語っていた。  彼女は100回だか1000回だか、数多の婚活パーティに足繁く通い、ついに運命の人と出会い結婚、少し前に子どもも産まれたそうで、大変だけど幸せの絶頂期だ

【第2話】婚活は戦争だ!セフレだって利用してやる

 その日の夜、私はミキにLINEの返事を送った。  「久しぶり!まじか、おめでとうー!!相手どんな人だろ?会ったときに、詳細聞くの楽しみにしてるね♡  実は私も、来年あたりって話が出てるの!こういうのって重なるものなんだねえ。お互い、30歳までに結婚の夢、叶いそうで嬉しい!」  我ながら、見栄っ張りである。でも、ミキには負けたくない!その思いがどうしても捨てられなかった。  付き合ってる人がいるなんていう話も聞いてなかったから、ミキも結婚系のサイトや相談所を使ったのだろう

【第3話】さあ、開幕だ!いざ、出陣だ!

 広尾駅から少し歩いた、小洒落たセレクトショップの路面店の地下に、そのバーはあった。 隠れ家的な雰囲気のいい店で、やや広めのカウンターと、普段はテーブル席があるであろう場所を、立食用に空けていた。  受付は恐らくイベント会社のスタッフ、店はそのまま店のスタッフでやってる感じ。  店内にはすでに30人ほどの男女が集まっていて、予想外に若い華やかな服装の女子が多い。身を構える。 逆に男性は、あんまりパッとしない真面目そうな地味系が多かった。  女性は20代までで会費1,000

【第4話】男女の駆け引き、待ったなし!

 男Cこと、公務員のKさん。話が盛り上がり、アヤミさんのことも頭の片隅に追いやられ、夢中になっていたのに、ひょんなことでピリついてしまった。  「私は、結婚しても絶対に仕事は辞めたくないんですよね」  不意にそんな話題になって、正直に言ってしまった。今の東京じゃ常識だけど、地元が仙台らしいKさんは、表情が曇った。  「その気持ちすごくわかるし、首都圏では時代の流れとしても当然なんだろうけど、うちはそれ、親が反対なんですよねー。公務員なのに嫁にも稼いでもらわないと生活できないな

【第5話】反省会と、今回の収穫。

 2時間制と言っていたが、結局2時間半くらいで街コンはお開きになった。 意気投合した人たちが二次会に行くと言っていて、声をかけられたが、アヤミさんは行かないと言うので、私も断った。確かに、今の時点で私もけっこう、疲れてしまった。  最後にまた、アヤミさんは長身のイケメンバイトと話をしていた。少し気になったけど、老婆心かなあ、と思って声はかけなかった。  意外だったけど、アヤミさんは私が思ってる以上に、奔放なタイプなのかもしれない。まあ、そうじゃなかったらこんな無茶なお願いに

【第6話】自分のこと好きな異性ってなんとなくキモい

 湯船に浸かりながら、一応、名刺をくれた人全員にお礼のメッセージを送った。その日のうちに来た返事。 Aさんは、  「こちらこそ、ありがとうございます!近々二人で飲みにでも行けたら、この上なく嬉しいです。来週とか、空いてる日ありますか?」  さすがだ、私を気に入ってるのが丸出し。ここまでガツガツされるとちょっと萎えるけど、一度くらいは会ってちゃんと話しておくべきか。 Bさんは、  「お疲れ様でした。ありがとうございました。また何かの機会に会うことがあれば、そのときはよろしく

【第7話】まずはキープから初デート

 森岡さんからの返事をもらい、午後の仕事はすこぶる捗り、帰りの満員電車も返信の文章を考えていたらあっという間だったし、駅から自宅までの道は、星や月がキレイだなあ!なんて、らしくもないことを思った。  思えば、夜空を見上げたのなんて久しぶりだ。いつも、下を向いてスマホばかり見ているから。  Aさんとのやり取りも地味に続けていて、やっぱり一度、二人で会って話すことにした。  セックス目的かどうか?調べるために、あえて新宿か渋谷で、開始を19時にしての飲み会。ホテル街が近く、飲ん

【第8話】お互いの初デート、酒に呑まれて更ける夜。

 いよいよAさんと、サシ飲み開始。雰囲気の良いバルの半個室で、アラサー同士のせめぎ合い。  「とりあえず、俺はビールで。ハルナさんはお酒強いです?」  「人並みには飲めますよ。じゃ、せっかくだし私も最初はビールで!」  蒸し暑い、梅雨明けをまだかまだかと待つ初夏の夜。渋谷の雑踏とビル群を抜けて、少し落ち着いている宇田川町は、個人的に好きなエリアだ。  ビールとお通しが運ばれてきた。とりあえず、  「かんぱーい!!お互い、仕事お疲れっす〜」  ゴクゴクと、喉を通る苦い炭酸が最

【第9話】初デートの夜、まずは人妻×大学生の場合。

 ホテルは、こんな高いところじゃなくていいよと言ったけど、  「一応、俺たちふたりの初めてのお泊まりやん?変なところは俺がいや。バイトもしてるし大丈夫よ、気にせんといて?」  なんて言われて、胸がいっぱいになり、泣き出しそうでした。  部屋に入ると、ほっとしたのも束の間、トイレに駆け込む始末。ヒロ君は優しく背中を撫でてくれて、  「ごめんね、俺が強すぎるからペース狂わせちゃったよね」  なんて優しいの。  「こちらこそ……初デートなのに、キミよりすごい年上なのに、こんな醜態

【第10話】初デートの夜、次にバリキャリ×エリートの場合。

 一軒目でかなり酔っ払い、次の提案をしたら、おそらく私の酔い具合を鑑みてくれて、締めパフェを提案してくれたAさん。優しいじゃないか。  「ググってるんですけど、もう閉店の店が多いですね。ファミレスとかは嫌ですよね?」  「ん?ああ、そういえば、私が大学生の頃に入り浸ってた、フルーツパーラーの卸しをやってる店が、深夜までやってた気がする。行ってみてもいいですか?」  「なんすかそれ、絶対うまいじゃないですか。行きましょう!」  会計を済ませるとき、レシートが見えて8,000円

【第11話】週末、またまた作戦会議です!

 Aさんとのデートの翌日、私の方からLINEを送ったけれど、返信が来たのは二日後だった。会う前と、明らかに様子がおかしい。 何かミスを犯しただろうか?  本命の方の森岡さんは勤務がシフト制らしく、土日出勤も多いようで今週末のアポは取れなかった。とても残念だけど、連絡はマメにできていて、期待が高まっている。まあ、ホームセンター勤務なら仕方ないか。  街コンでいい感じだった公務員のCさんや、今回飲んだ大手食品会社勤務のAさんよりは、働き方も穏やかそうな気がする。  なので、A

【第12話】いよいよ本命とのデート!でも実は……

 ついに、本命の森岡さんとデートのアポが取れた。平日休みがメインだと言うので、半休を取って会うことにした。  「わざわざ、すみません。初対面ですし、ランチでもできたらと思いますが、如何でしょうか?僕は埼玉なので、東京だと池袋あたりが出やすいです。ハルナさんは希望あります?」  埼玉……笑 つい、Aさんと話した時のことを思い出してしまった。私は埼玉県人、すごく良いと思う。  「じゃあ、池袋にしましょ!あまりお店には詳しくないので、もしもお勧めがあればそこで」  「すみません、

【第13話】森岡さんと、ヒロ君の秘密。

 森岡さんも、まさかの、自分を偽っての参加だったとは、とても意外だった。てか、会う前に言えよ〜とも思ったけど、そうされていたら、会うのをやめていたかもしれない。  「じゃあ、今日は絶対、偽りなしで話してくれますか?」  「もちろんです」  「じゃあ、ぶっちゃけ聞きますけど、結婚は前向きに、したいって考えてますか?」  「そうですねえ、いい人がいれば、そりゃ、したいですけど。でも、いなければ、別に絶対したいってわけでもない感じでしょうか」  「ふむふむ。私はかなり結婚願望強いん

【第14話】告白と愛情。罪悪感と欲情。

 ドライブデートの別れ際。強い口調で問い詰めた私に、怯えたような顔で視線をこちらに向けてから、うつむく森岡さん。 でも、これ以上は無理だ。時間も有限だし、隠し事が多い人と、これ以上はもう、一緒にいられない。  「どうしても、言えませんか?」  「……いや、これでお別れになるのは、僕としても悲しすぎるんで、言います。ちょっと重い話だけど、いいですか?」  「もちろんです。真剣に聞きますよ」  また少し、無言の時間があり、彼の苦悩が伝わってきた。一体、どんな話なのだろう。  「

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