見出し画像

ヴァージンVS過去・現在・未来 33~星空サイクリング 歌詞~

~「コズミック・サイクラー」から「星空サイクリング」へ 3~
 
その日(1982年8月お盆休み明け)やっとポリドールに到着した私を待っていたのは、マネージャーN氏とチーフマネージャーのH氏、ディレクターのH氏だったと思う。
ひょっとしたら宗像さんもいらっしゃいましたか?なぜ宗像さんだけ本名出して良いのかは??。
 
彼らの話ではシングルカットされた「コズミック・サイクラー」をアニメ「うる星やつら」の挿入歌で使用したところ大変評判が良いので、次のエンディングテーマにしたい。ついては「うる星やつら」用に歌詞を変えて欲しいという依頼であった。
 
フムッ、歌詞を変えるぐらいすぐにでもできますが、問題は私は「うる星やつら」をちゃんと読んだことがない、見たことがない、っというよりあまり興味がない。
そもそもそのころは既に「少年サンデー」は購読しておらず、もっぱら「花とゆめ」、「りぼん」、「ビッグコミック」三種(ビックコミック、ビックコミックオリジナル、ビックコミックスピリッツ)それにたまに「漫画アクション」ぐらいのもんである。
→高橋留美子先生ゴメンナサイ、すこし後の「めぞん一刻」は大好きですよ!!
特に一ノ瀬さん、四谷さんのキャラ。
 
しかし、でっちあげるのには自信があるぞ!
香港映画「ミスター・ブー」の日本上陸第一弾の主題歌の日本語版は私が原案を書き、それを元に巨匠赤塚不二夫先生が作られたのだ!(Wikipediaには赤塚不二夫訳詞となっておりますが、訳詞でもなんでもありゃせん、久保田のでっちあげです)

「ミスターブー&チャンチャンブラザースバンド」1979年リリース

渡された広東語版音源の意味は全く不明だったが、中野区鷺宮辺りの畑の中をひたすら歩き回りながらブツブツとつぶやいていくうちに、「ちょっと待ってく~ださい~、出かける前パンツ替える・・・」というフレーズが口をついて出てくると、あとは一瀉千里の勢いでカタが付いた。そういえば、これもポリドールだったな。
まあよろしい、本来の私の制作キャラを発動させるということで、やりましょうということになったが、A児氏は知っているのか??と問うと、話しておくのでとにかく作業進めてくれとのことでした。
しかし、後々考えるとちゃんとスジが通った話がされていなかったのでは?まあ、スジが通っていようがいよまいが、あまり関係ないのですが。 

まずは「うる星やつら」をちゃんと読まない事には話にならないので、何冊か買ったのだろうがよく覚えておりません。が、「ダーリン」という言葉を使うということにしようとまず決定。 

少し余計な話ですが・・・
そもそも「コズミック・サイクラー」は少年が家を出て成長の途に就くという設定であり、「今頃家では僕のいないことを、誰かが気付くだろうだけどもう帰らない」などという一節は、ジム・ウェッブ作、グレン・キャンベル歌の大ヒット「恋はフェニックス」の「同一時間異次元シーン」??の手法をほんのチョッピリ応用。
これを大々的に応用したものがBUZZの「はつかり5号」です、「哀愁列車」も若干入っていますが。

1967年リリース
1968年グラミー賞受賞
1975年リリース

で、リテイクの要諦を整理すると・・・
夜空を自転車でスイスイと渡っていくという舞台設定を変えずに、「成長の途に就くという設定」を「ラムちゃんの一途な思い」に替えればよろしい。もちろん「ダーリン」を忘れず使用すること。
ここまでコンセプトが固まればできたも同然。
ついでにタイトルも「星空サイクリング」にしてまえ!
ちょっと安易だったかと思いますが、こういうのは分かりやすいにこしたことはありません。というわけでリテイク完了。
このように書くと、えらい早いやないか、やっつけ仕事か?との疑念を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、確かに現象化する時間は短時間ですが、そこにエイ、ヤッとエネルギーが投入されるには、それまでに蓄積された創作の「資本」というものが存在することをここで明言しておきましょう。
なんか偉い作家先生みたいや。
さて歌詞ができたところで、歌の録り直しという作業が待っております。
果たしてどうなるのでしょう??
スタジオは修羅場と化すのか??
以下、次号に続く・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?