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ヴァージンVS過去・現在・未来 30~ヴァージンVSとは2~


 
~ヴァージンVSとは2~
5月のトークショー前に書いてあった原稿なので連続公開させて頂きます。
これを公開しないと次に進めないので悪しからず。
 
前稿に続き、④レコード会社にとってのヴァージンVSというところを記したいと思います。
この稿ではA児氏にとって、またファンの方々にとっても愉快ではないことに触れざるを得ませんが、ご了承頂きたくお願いいたします。

④レコード会社にとってのヴージンVSとは・・・
ヴァージンVSが所属したキティレコードは、井上陽水、小椋佳を世に出した多賀栄典社長の下、当時RCサクセション、高中正義等を擁し、音楽のほか映画、アニメにも進出を果たしていた。
このキティレコードに於いて、ヴァージンVSは1981年1月28日「ロンリー・ローラー」でデビュー。曲はTV「探偵同盟」(主演:加山雄三)のオープニングテーマ曲となりオリコンにチャートインし、デビューとしては幸先の良いスタートを切った。
しかし、表向きは順風満帆に見えたヴァージンVSであるが、このころよりすでに危殆を宿していた。
まず、アルバム収録時におけるディレクターの降板。
レコーディングが開始されたときは、何故かディレクターは2人態勢で行われていた。
キティレコードのI氏とM氏である。
ミキサー卓横のディレクター席に座り、トークバックで我々に指示を出すのは主にI氏であった。
I氏はシカゴやサンタナなどの洋楽ロック系ディレクターとしてソニーミュージックで活躍後キティレコードに移ってこられた方で、M氏はRCサクセションのディレクターであった。
アルバムのレコーディング中盤に差し掛かろうとする時期、私はI氏から呼び出され、渋谷宮益坂の喫茶店に向かった。
因みに当時のキティレコードは宮益坂と明治通りが交差する北東角の「小林ビル」にあったので、会社近くの喫茶店に呼び出されたという事になる。
そこでI氏は、今後これ以上VSのレコーディングには関わりたくない、本日のレコーディングからスタジオには行かないと宣せられた。
理由は<あがた氏とは仕事ができない>という1点。
これには、ある程度頷かざるを得ない。
っというのは、さかのぼること数日前であったか、2枚目のシングル盤「さらば青春のハイウェイ」を録音しているとき、1枚目の「ロンリー・ローラー」とテンポ感もコード進行も非常に似ているので、演奏陣は違いを出そうと色々工夫をこらして録音していた。
そのオケを使用した歌入れも終わり、トラック・ダウンも終わり、いわゆる「完パケ」状態になったとき、突然あがた氏が、
「なんか違う、これではない」
「柳の下にドジョウが二匹ということもあるので、ロンリー・ローラーと同じようにした方がよろしい!」と言い出した。
これには一同大いに驚いた。
歌入れまでしているのだから、これまでに意見を述べる時間はあったはずなのに、なぜこのタイミングで??とスタジオにいる全員が思った・・・が、結局急遽録り直しとなった。
また、録り直しの歌入れ時、「AND I LOE YOU」という歌詞の歌い方で、ディレクターM氏のディレクションにあがた氏が猛反発し、結局長時間の討議の末、あがた氏の主張通りの歌い方となった。
その間、1秒7円かかると言われていた当時のKR S(現在の青葉台スタジオ)は機能を停止し、使用料金だけがカウントされていった。(この辺りはメリィさんの記事にも記載あり)
このような経緯によりI氏の降板に至ったのであるが、もう1人のディレクターであるM氏はすでに聞いていたらしく、「オレ1人で全く問題ないよ」とおっしゃる。
しかし、それ以降の、特に歌入れ時は私が随分とディレクションしていた覚えがある。
この一連の「騒動」を表面上だけ述べると、「あがた氏のわがまま」という、現在に至っても氏にとって誠に不本意、不名誉な出来事となって残ってしまう。
そこで、この項を記載するにあたり、
1、 なぜ「完パケ」に至るまで何も意見を言わなかったのか?
2、 「AND I LOE YOU」の歌い方へのこだわりの根拠は何か?
の2点を明白にしたいと思うが如何に?
その明白になった点を万人が納得すれば、「あがた森魚」にたいする種々の誤解のいかほどかは解消され、「な~るほど」感が世に満ちると信ずる。

なぜ今になってこのような「不愉快な過去」を持ち出したかというと、ファンにとって「扱いにくいシロモノ」であり、レコード会社に「めんど~なシロモノ」と気が付かれたたヴァージンVSが今に至るまで、「めんど~なシロモノ」であり続けている源に光を当て、他のバンドとの違いがそこにあることを証明したいがためである。

また、「コズミック・サイクラー」が「星空サイクリング」となった経緯にも関係するので、この項続く。

補足事項として、2018年川崎クラブチッタ30周年において、かつてキティに所属したアーティスト、タレントが出演したが、我がヴージンVSは「めんど〜」なので呼ばれなかったと言う、旧キティ関係者にとって現在に至っても、誇るべき「めんど〜なシロモノ」である事実を付加しておこう。
 
っと、ここまで読み返してみて、上記1,2の回答がトークショーで得られていなかったことに気が付いたが手遅れである。
こういうのを「永遠のナゾ」とかいうのであろう・・・。

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