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2022年 ベスト音楽 100

はじめに

・LP、EP、ミックステープ問わず選びました。

・たとえ主観で選んだとしてもひとつの価値観の下でランク付けするのが難しい且つ無意味になりつつあること、Bandcampが年間ベスト発表をアルファベット順の「必聴作」リストに変更したことなどを踏まえ、良かった作品をアルファベット順で並べてみたました。

・とはいえ、Aランク(64枚)とSランク(36枚)の2つのカテゴリーには分けています。

Aランク(62枚)

777 / Latto

「Big Energy」 でバズり。でもそれは実力だった。「Sunshine (feat. Lil Wayne & Childish Gambino)」では、Lil Wayne のフロウに寄せた Childish Gambino を聴けるのでお得感がある。

2000 / Joey Bada$$

あえて今、NYの王者は誰かと聞かれたら、Joey Bada$$って答える人けっこういると思う。

Angels & Queens - Part I / Gabriels

とてつもなく上質なゴスペルだ…。短いからもう一周聴きたくなる。プロデューサーに Sounwave!

Bigger Dreams / Nia Sultana

魅力はなんといっても艶やかな声。むしろR&Bはそれだけで成り立つジャンル。

Black Panther: Wakanda Forever (Original Score) / Ludwig Göransson

『Black Panther: Wakanda Forever』のインスパイアアルバム(サウンドトラック)は、個人的な好みを抜きにしても前作からインパクトに欠けるけど、Ludwig Göransson は変わらず良い音を鳴らす。

Black Radio III / Robert Glasper

第3作目、爆誕!

blue water road / Kehlani

いろいろあった Kehlani、西海岸R&Bを携えて徐々に本調子へ。メロウなR&Bを聴きながら、人生の気分転換に海岸を歩いてみましょう。

BREEZY / Chris Brown

Chris Brown はもうアルバムをリリースしないみたいな宣言を以前目にしたような気がするけど。しかも長尺じゃん。表向きのカッコいいR&BをA面に詰め込んで、本当にやりたいR&BをB面に詰め込んだのが聴き取れて思わずニッコリ。

Broken Hearts Club / Syd

Syd はソロデビューアルバムの冷ややかな透明感が好きだったのだが、今作の暖かさへの移行は Syd 本人の成長でもあるように思える。Prince から90's R&Bまで、比較的広い引用のレンジがけっこう面白い。

Candydrip / Lucky Daye

現代の Marvin Gaye こと Lucky Daye。汗?が滴ったアートワークはちょっとやりすぎな気もするが。プロデューサー D'Mile への信頼は依然として変わらず。

Cheat Codes / Danger Mouse & Black Thought

今年この伝説的MCを生で観れたんですよ。2公演連続で観ればよかったなと今更後悔しています。

CRASH / Charli XCX

ダンスミュージック界のミューズ、アイコン、スター…。数々の期待を裏切ることなく、ダンスフロアを沸かせ続ける才能。

Cure The Jones / Mamas Gun

70’s ソウルをやっているのは Silk Sonic だけじゃない。Mamas Gun もなのだ。

Few Good Things / Saba

結局 Ghetto Sage の新作は出なかった。代わりにと言ってはなんですが Saba を入れておきましょう。

Forbidden Feelingz / Nia Archives

ドラムンベースって無限の可能性があるんだなって思いました。日本に住んでいて、基本USのブラックミュージックとポップスしか聴かない身としては、ドラムンベースが日常に溢れている状態って想像すらできないけど、そういう生活に憧れちゃうくらいにカッコいい。

Forest in the City / UMI

J-R&Bの逆輸入とも言われるちょっと変化球のR&Bアルバム。日本人にはアクセスしやすいんだよなぁ。

The Forever Story / JID

なぜここまで高評価されているかは未だにわからないが、良い作品ではある。リリック読まないとダメだよな、やっぱり。

Fragments / Bonobo

2022年最初に聴いたダンスミュージックがこれだった気がします。

The Hardest Part / Noah Cyrus

”In the united hate of America, the hearts are just as broken as the nation where all we do is tear each other down"、"A mistake is just a state of my identity"。北米のZ世代からしか出てこないようなパンチラインが並んだ「I Just Want a Lover」に面食らった。デビューアルバムとしては大成功でしょう。

HEART ON MY SLEEVE / Ella Mai

Queen of 90's R&Bの称号は今作でも変わりません。808をうまく使いこなせるR&Bアーティストこそ本物なのです。

Home, before and after / Regina Spektor

2020年以降、フォークの魅力がわかってきて積極的に聴いていこうと思ったのに、今年はこれくらいしか聴いていないかもしれません。Joni Mitchell がSpotifyで聴けないのは大きいよ〜。

House of the Dragon: Season 1 / Ramin Djawadi

お気に入りの劇伴家、Ludwig Göransson、Hams Zimmer、Jóhann Jóhannsson、Oneohtrix Point Never、Johnny Greenwood、そして Ramin Djawadi。

Hypnos / Ravyn Lenae

もはやR&Bではないと思う。でも、R&Bファンが口を揃えて「こんなR&Bを聴いてみたかった!」と言うであろう作品。声の使い分けが珍しい。「自分の」音楽をよく研究している。

I NEVER LIKED YOU / Future

Travis Scott が事件を起こしたくらいからトラップには飽きてきて、今年はトラップアルバムはなかなか聴く気にならなかったが、さすがトラップ(とマンブルラップ)をつくりあげてきたラッパー、わずかながらカッコいいとは思ってしまった。

Interstellar Black Space / Brandon Coleman

こんなバカな(褒め言葉)ファンクを楽しそうに、ド直球にやってる人がいるなんて!!笑っちゃう。

It's Almost Dry / Pusha T

(あんまり Kanye West のことは言及したくないんだよなぁ)Pusha T フロウいいね!

IVORY / Omar Apollo

クィアで上質なポップスでしょう。

Jazz Codes / Moor Mother

アートワークの通り、グチャグチャなサウンド。でも頭の良さがビンビン伝わってくる。

The Kick / Foxes

ニューウェーブのダンスチューンとか80's パワーバラッドとか、予想以上に上質なポップスに仕上がってて、楽しんで聴けちゃうんですよね〜。

learn 2 swim / redveil

「新人の荒削り感」は現代では減ってきた表現かもしれないが、今作にはそれを感じる。生々しくて勢いがある。今後化ける可能性アリ。

Letter To Ur Ex / Mahalia

Ella Mai と Mahalia はイングランドの二大R&Bクイーンだと思ってます。

Life Is Yours / Foals

半分イヤイヤ聴き始めたんだけど、ニューウェーブで悔しくも身体が踊り出してしまった。

Linger Awhile / Samara Joy

こういうジャズって、今リリースされてもけっこう楽しめるんですね。

Louie / Kenny Beats

シンプルでなんてことはないビートなんだけど、むしろ微笑ましてくいいじゃないですか。

Melt My Eyez See Your Future / Denzal Curry

このアルバムは好きじゃないと言うこと自体がダサいみたいな風潮すらある気もするけど、ソリッドでカッケーよ。

Menina Mulher / Agnes Nunes & Neo Beats

ブラジル産ネオ・ソウル。しかも Agnes Nunes は一個下。ネオ・ソウルは大人が作る音楽だと思ってたけど、現実見なきゃな。

moMINTs / Tobe Nwigwe

Netflixシリーズ『MO』で知った Tobe Nwigwe。多彩なアルバムだよね〜。客演だけを見ても聴く前から説得力がある。

Motherland Journey / Blue Lab Beats

ロンドンのジャズ・シーンを俯瞰できる。ロンドン出身の今注目のネオ・ソウル/R&Bアーティストを知る入門アルバムとしても最適だろう。

Motive / Joyce Wrice

2020年ベストR&Bアルバムをリリースした Joyce Wrice。来るセカンドアルバムも傑作だろうと予感させるEP。KAYTRANADA が良い仕事してる。

Nymph / Shygirl

UK Bass?Drill?よくわからないけど、この勢いは止められない。

Piece Of Me / Lady Wray

このレコーディングスタイルはアリなのか?いやナシだろう。いや、アリだ!!

Pillow Talk / Tink

特徴のあるトラックやボーカルスタイルじゃないから強烈に印象に残ることはないんだけど、プレイリストを再生していて毎回「この人誰?!」ってなるのが Tink だった。

Preacher's Daughter / Ethel Cain

スロウコア?は全っっっく聴かないんだけどボーカルに惹かれた。リリックも壮大ながら共感できる部分もあったなぁ。

Quality Over Opinion / Louis Cole

相変わらず手数の多いドラミング。でも崩壊してないんだよ、なんでだろうね。

RAMONA PARK BROKE MY HEART / Vince Staples

誤解を恐れずに言うと、Vince Staples は安定して70点の作品をリリースするアーティストだと思ってます。

Reason To Smile / Kojey Radical

ロンドンのファンクアーティスト、と簡単には括れない拡張性。マルチだよな〜ほんとに。

RENAISSANCE / Beyoncé

誇張なしでまだ一周しか聴いてないのだけれど。Questlove が今作を「現代の『Off the Wall』」と形容していて、腑に落ちた部分がある。ほんとうに三部作の計画が進行中なら、私が大興奮できる作品は次かその次かもしれません。

Running in Waves / George Riley

R&Bの良作多すぎでしょ、今年。

Sakidila / Pongo

アンゴラ出身のアーティスト。ナイジェリア、南アフリカ、コンゴ、アンゴラ…勉強しないと。

SATURNO / Rauw Alejandro

良いアルバムではない、面白いアルバムだ。聴いていて吹き出してしまったのは今年はこのアルバムくらいだろうか。

she / her / black b*tch / Doechii

今年は Doechii 売れましたね。客演が物語っているが、Doechii、Rico Nasty、少し距離を置いて SZA って音楽的に似てるところが多い。

SICK! / Earl Sweatshirt

どういった意図でこんなにトラックを短くしているのかわからないが、カッコよさの証明に長い時間は要らないという矜持というふうに受け取っておこう。

SMITHEREENS / Joji

Joji はずーーーっと同じことばっか歌ってるね。

Some Nights I Dream of Doors / Obongjayar

名前も読めないし、どんな音楽をリリースするかも読めない。トラックも声も個性的なことくらいしかわからない。

Spell 31 / Ibeyi

フランスとキューバ出身で、英語とヨルバ語で歌う姉妹。そういったバックグラウンドはわからないけど、個人的には Jorja Smith が参加していることで一気に説得力を増して聴きやすくなるし、実際アルバムも魅力的。

Starfruit / Moonchild

高等な音楽教育を生かして良質なネオ・ソウルを量産する Moonchild は、ある種のお手本みたいなもの。

Succession: Season 3 / Nicholas Britell

名ドラマに名劇伴あり。

Superghetto / Buddy

聴き易い〜。T-Pain とのトラック良い〜。

This Is What I Mean / Stormzy

UKグライムを先導してきた Stormzy が、ゴスペルを用いてさらに音楽性を拡張。Jacob Collier の声が聴こえるだけでアガってしまう自分の安直さを恥じつつも、今作のキーパーソンとして必要だったんだろうと思う。

Un Verano Sin Ti / Bad Bunny

正直一周聴いただけで全くハマってはないんだけど、2022年のポップスってつまりこれだよねとは思う。ハマれてない自分が嫌になるくらい。

Untidy Soul / Samm Henshaw

ソウルを聴きたくなったらここへ逃げればいい。

Versions of Me / Anitta

英語、スペイン語、ポルトガル語で歌っている通り、北米から南米にかけてのジャンル・ブレンディングが甚だしい。ブラジルでは批判が起きやすい過激な性表現にも一切怯えることなくストレートに。ただの商業主義ポップスという見られ方が多いかもしれないけど、一曲一曲のクオリティは担保されています。

Where I'm Meant To Be / Ezra Collective

UKジャズアルバムを再生して聴き進めたら、ジャズの名の下に世界を旅できてしまった。今年はジャズの良作も多かったな。

Sランク(38枚)

9m88 Radio / 9m88

ジャズとネオ・ソウルを軸にした台湾初のポップス。情報が少なくてライナーノーツを読みたかったということもあるが、即座にCDを衝動買いしてしまった今年の数少ないアルバム。

Asha's Awakening / Raveena

Raveena という名前、アートワーク、サウンドが見事に一致している。セクシーとキュートとスピリチュアルのいいとこ取り。最後の瞑想トラックは寝落ち不可避(褒め言葉)。

Bad Influence / Ojerime

Alternative R&B という乱暴な言葉のせいで、この手のサウンドをうまく形容できる言葉を知らない。官能さとアバンギャルドを両立した、筋の通ったR&B。

BADモード / 宇多田ヒカル

年間ベストを決めるために聴き返してみて、想像以上に私はヒッキーのリリックが好きなことに気づいた。私のメンター、スピリチュアル・アニマルになりうる。人生哲学、リレーションシップの考え方がすごい近いし見習いたい。パンチラインが多すぎるので記しておく。

「BADモード」
いつも優しくていい子な君が
調子悪そうにしているなんて
いったいどうしてだ 神様
そりゃないぜ

今よりも良い状況を
想像できない日も私がいるよ

エンドロールの最後の最後まで
観たがる君の横顔が
正直言うと
僕の一番楽しみなとこ

「君に夢中」
心の損得を考える余裕のある
自分が嫌になります

普段から大人しくて
嘘が下手そうなやつあるある

「One Last Kiss」
寂しくないふりしてた
まあ そんなのお互い様か
誰かを求めることは
即ち傷つくことだった

「PINK BLOOD」
誰にも見せなくても
キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても
キレイなものはキレイ
もう言ってるから

他人の表情も場の空気も上等な小説も
もう充分読んだわ

私の価値がわからないような
人に大事にされても無駄
自分のためにならないような
努力はやめた方がいいわ

傷つけられても
自分のせいにしちゃう癖
カッコ悪いからヤメ

あなたの部屋を歩きながら
床に何個も落ちる涙
自分の価値もわからないような
コドモのままじゃいられないわ

心の穴を埋める何か
失うことを恐れないわ
自分のことを癒せるのは
自分だけだと気づいたから

サイコロ振って出た数進め
終わりの見えない道だって
後悔なんて着こなすだけ
思い出に変わるその日まで

サイコロ振って一回休め
周りは気にしないでOK
王座になんて座ってらんねえ
自分で選んだ椅子じゃなきゃダメ

「Time」
カレシにも家族にも言えない
いろんなこと
あなたが聞いてくれたから
どんな孤独にも運命にも耐えられた

降り止まない雨に打たれた泣く私を
あなた以外の誰がいったい笑わせられるの?

キスのその少しだけ先まで
いったこともあったけど
恋愛なんかの枠に収まる二人じゃないのよ
(そゆことそゆことそゆこと)

大好きな人にフラれて泣くあなたを
慰められる only one である幸せよ

「気分じゃないの (Not In The Mood)」
雨 雨 どっかいけ
今日は気分じゃないの

「誰にも言わない」
一人で生きるより
永久に傷つきたい
そう思えなきゃ楽しくないじゃん

罪を覚えるより
君に教わりたい
今夜のことは誰にも言わない

明日から逃げるより
今に囚われたい
まわり道には色気が無いじゃん

感じたくないことも感じなきゃ
何も感じられなくなるから

Being Funny in a Foreign Language / The 1975

これは The 1975 の作品ではなく Jack Antonoff の作品ではないか?そこが賛否が分かれるひとつの要因になるが、私は好き。個人的には The 1975 キャリアベスト。

CAPRISONGS / FKA twigs

肩の荷を下ろして、自由に作れたであろうミックステープ。そして想像以上の傑作。さまざまなプロデューサーを招いて、FKA twigs のレッテルをさらに拡張した。

Could We Be More / Kokoroko

ジャズはまだ全然わからないけど、無理して勉強する必要はないと思う。というか、そう言い聞かせている。スムースで、ファンキーで、心地よければそれで良い。Kokoroko は一番そんなジャズを鳴らしていたと思う。

Dawn FM / The Weeknd

『After Hours』を経て煉獄へ。この世を生きていくには冷笑と虚構への執着しかない。ようこそ、冷たいダンスフロアへ。

The Family / BROCKHAMPTON

実質 Kevin Abstract のソロ作らしいけど。初期 Kanye West を連想させるサンプリングとソリッドなビート。Chance The Rapper や Madlib、J Dilla あたりの影響も感じる。楽しい、万歳。

FIELDNOTES PT II / Ego Ella May

去年に引き続き、極上のネオ・ソウルが生まれるのはロンドン。繊細なサウンドプロダクションと、感情の切れ端を紡いだようなリリックで心を浄化。

Four Songs / Blood Orange

オーガニックな心地よさ。音楽の良し悪しはドラムセットと録音で決まると言っても過言ではない。

Funk Wav Bounces Vol. 2 / Calvin Harris

夏の風物詩、Calvin Harris。AOR、ニュー・ディスコの作曲、レコーディングって、チープになるかハイクオリティになるかの二択だと思うんです。でも Calvin Harris はそれを一人で全部成功させる。前作に比べてギターがより前面に出ていて、正当な「Vol. 2」感がある。

Gifted / Koffee

配信で聴けないのでわざわざCDを買ったが、その価値はあった。ジャマイカの音楽も聴かないとなぁ。

Harry's House / Harry Style

我らの世代の Justin Timberlake。70's ~ 80's のロックを基本にしていながら、緻密なレコーディングがなされているので聴き応えがあるし、なによりずっとポップ(ここが一番大事)。音楽的バックグラウンドが薄いから魅力に欠けるアーティストだと思っていたけど、3作目にして自分のスタイル(たまたま上手いことを言ってしまった)を確立させたので、今後の心配は今のところない。

Hellfire / black midi

私がこういう作品に感動するとは。いくらファンクの要素があるといえど、あくまでロックスタイルのファンクなので、何がやりたいのかは理解できないし、いろいろとっ散らかってはいるけど、それこそが ”hellfire” なのだと言われれば納得してしまう。

HEROES & VILLAINS / Metro Boomin

シンプルでカッコよく、ビートの美学。今年は 21 Savage が大活躍。Future のバースも相変わらずキレッキレ。トラックもシームレスにつながり、絶対に聴き飽きない。

Hi-Fidelity / Lava La Rue

今年はほんとうにR&Bの良作が多かった。王道の新旧R&Bもそうだが、Alternative R&B の良作として同作を挙げたい。

Las Ruinas / Rico Nasty

一般的な評価は微妙みたいだが、私は推したい。パンク、トラップ、エレクトロ、R&B、インディーロック、なにがなんだかわからないトラックがガンガン流れるのが面白い。と思ったら、ミックステープらしく、そりゃこんなごちゃごちゃした作品でも許されるわな、と腑に落ちたり。

The Lead / FLO

今年のR&B界のサプライズは間違いなくFLOの襲来。デビュー前から噂は聴いていたが、本当にゴリゴリの90's R&Bをやるとは。しかもロンドンから。プロデューサーやライターの情報がほとんど出ていないけど、裏方も優秀。女性R&Bは3人組に限る!

MOTOMAMI / ROSALÍA

ヘンテコな音楽的玉手箱。でも詰め込みすぎないミニマリズム。それでもポップに聴かせるバランスと愛嬌。こいつは本物の音楽家だ。

Mr. Morale & The Big Steppers / Kendrick Lamar

1855日を経て。Kendrick Lamar は処刑されるために、教えを授けるために、生まれ変わるために帰ったきた。Hip-Hop という “culture” の膿を出し、自他共に "transformation" を促す。テーマが至極パーソナルになった箇所もあるので『To Pimp A Butterfly』『DAMN.』のように人種やコミュニテイを越境した共感性は見出しづらいが、「セラピーアルバム」として聴けば誰でもアクセスできるしコネクトできるはず。”As I get a little older, I realize life is perspective. My perspective may differ from yours, I wanna say thank you to everyone"。視野を広くもって、他者を許そう。でも何よりも、自分を許そう。結局は “I choose me, I'm sorry" なのだから。

NO THANK YOU / Little Simz

『Sometimes I Might Be Introvert』から間髪入れず、神格化される前にぶち明ける。ひたすらにフロウを重ね、自身、そして他者との関係性に焦点を当てたリリックはやはり『Mr. Morale & The Big Steppers』的。今年はこういう内容が多いのでしょうか。Little Simz にはアフロフューチャリズム要素を除いた Erykah Baduのイメージを投影していましたが、Lauryn Hill 感も出てきたかも。

NOT TiGHT / DOMi & JD Beck

また同世代の活躍を目の当たりにしてしまった。JD Beck にいたっては年下。手数の多い(多すぎる)二人の演奏スタイルが合わさってもなぜ情報過多にならないのか、不思議で仕方ない。ジャズの知識がない身からしたら、センスと直感がモノをいうとしか思えない。同アルバムのベストモーメントが「TAKE A CHANCE (feat. Anderson .Paak)」の二人のボーカルというのはキーボーディスト×ドラマーデュオとしてどうかとも思うが、メロディラインとハーモニーが美しすぎる。ベストメロディ of the Year。

OFFLINE! / JPEGMAFIA

JPEGMAFIA ってなんでこんなにカッコいいトラックを作れてカッコいいフロウを乗せられるの??

Operation Funk / Cory Henry

現代で真っ当なファンクをやるって難しいと思うんです。録音技術が上がってしまって、良い意味でいい加減さ、荒さをキャプチャーするのが難しくなったから。Silk Sonic みたいに、当時のレコーディングの様子を研究するとか、Hip-Hop 由来の手数の多いドラミングをそのまま流用して新しさを加えるとか、そういうことが必要になってくる。でも同アルバムは割と直球のファンクで勝負していて、完成度が高い。特に Prince オマージュのトラック数曲はファンク心をくすぐられる。

Playboy / Fireboy DML

ナイジェリアの音楽をしっかり勉強する前に、どんどん多様化が進んでいてちょっと焦る。ビートはもちろん、ウワモノとボーカルコーラスが気持ちいい。今年は Asake が強かったけど、私は Fireboy DML を応援します。

Rave & Roses / Rema

アフロビーツとR&Bの上手いバランスをとっていて、入門にはちょうど良い感じ。リバーブとディストーション強めになる「Hold Me」は The Weeknd かと思った。

Red Balloon / Tank and the Bangas

PJ Morton の今年の新作と併せて、ニューオリンズ・ジャズを意識した作品。ボーカルが前面に出ていることもあってとっつき易いかと。

Rendezvous / Jenevieve

シティ・ポップの文脈で以前バズった Jenevieve の EP。メロウでチル。後半でハウスになる「2NLuv (feat. Benziboy)」を聴いたときは結構な衝撃。

SOS / SZA

恋愛(性愛)と人間関係における孤独は、おそらく音楽界で SZA が感じている孤立(ここは孤独とはイコールではない)と重なる。音楽性にどれほど幅があっても、SZA の唯一無二の歌声とフロウが、アルバム一枚を無理矢理にでもまとめさせる力をもっている。

$oul $old $eparately / Freddie Gibbs

Freddie Gibbs のトラックメーカーは Madlib しかいない!と思っていたが、いい意味でごちゃごちゃした客演を生かししつつ、しっかりソウルフルに聴かせる。どういうことだ。

Third / Jitwam

インドにルーツをもち、ブルックリンを拠点にするマルチビートメーカー。サイケでファンクでハウスでボサノヴァで。こういう音楽をひとりで作れたら困ることないよ。

Three Dimensions Deep / Amber Mark

待望のアルバム。情報量が多すぎる且つ長尺なので、集中して聴くとリアルに頭がクラクラするが、それほど緻密に作り込まれているってことでしょう。

Untitled (God) / SAULT

正直 SAULT の作品群に良し悪しをつけるのは難しいが。他アーティストには絶対真似できない演奏の魅力があるんです。

The Velvet Rope (Deluxe Edition) / Janet Jackson

大傑作のデラックスバージョンを年間ベストに選ぶべきか迷ったが、ハウスリミックスが良すぎるので記録として残しておきたい。「Together Again」なんかはオリジナルがもうハウスみたいなものなので、当時の Janet Jackson と Jam & Lewis の新しさをあらためて実感した。

Vinyl Days / Logic

引退宣言したくせにすぐ帰ってくんなや、とは思ったが、ブーンバップ、特に J Dilla への愛と尊敬を詰め込んだ、ある意味で自己中心的なアルバムで思わずニッコリ。ここにきて Logic を好きになるとは思わなかった!

Yesterday Is Heavy / Lil Silva

不思議な吸引力をもったアルバム。主軸はUKファンキーなんだろうけど、さすがプロデューサー、アルバム一枚でトータルのサウンドを完成させている。

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