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映画 PERFECT DAYS をみてきた話

みなさん、お久しぶりです。
文章も書かなくなると、筋力と同じで衰えてきますね。
なので、文章筋を鍛えていこうと思う今日この頃です。
いかがお過ごしですか?

映画PERFECT DAYSをみてきた話をします。
最近はNetflixやAmazon primeなどで映画をみることができるので、劇場に映画を観に行くのは実に久しぶり。

地無し尺八の演奏会のあとの懇親会で、師匠や仲間たちと話していた時に、
映画PERFECT DAYSの話になりました。
「ヴェンダース」「禅」「小津安二郎」「笠智衆」「木漏れ日」みたいなキーワードが出てきたのでこれは見にいこうと思い立ちました。

もともと、ヴィム・ヴェンダース監督の映画は好きで
「パリ、テキサス」「ベルリン天使の詩」「ブエナビスタ」はお気に入りです。
映画の中で使われている音楽も、僕の周波数と合っているのかとても落ち着きます。

淡々とした日常の機微を味わう系の映画なので、ネタバレのようなことはあまりないと思いますが、あまりストーリーには触れずに書いてみます。

立川の高島屋の8階にあるミニシアターで見ましたが、客席は8割ぐらい埋まっていました。
年齢層は高めで50、60代〜がメインな感じでした。

主人公は平山さんという、トイレの清掃作業員です。
仕事に行く時は車についているカセットテーププレイヤーでカセットテープを聞いています。

ベルベッツやオーティス、ストーンズ、パティ・スミスなどを繰り返し聴いています。
10〜20代に聴いていた懐かしい音が流れて、自分の中の記憶も過去へと戻っていきました。

きっとこの主人公の平山さんもどこかの年代で感覚の何かが止まって、その時の
ままの感覚がループしているのだなーと感じました。

掃除作業が終わると、銭湯に行きガードしたの居酒屋で一杯飲んで
古本屋で買ってきた本を読んで眠る。
とてもシンプルな生活が美しく描かれていました。

映画を見ながらも、吉祥寺の安アパートに住んでいた頃の記憶がフラッシュバックしてしまい、ノスタルジーの波に飲まれていきました。

その頃、武蔵野美術学園という油絵の研究科に通っていて
昼間は清掃の仕事、夜は油絵の学校に通うという生活でした。
当然、家賃の安いアパートで6畳一間でお風呂はありませんでしたが、銭湯に行ったり、たまに「いせや」や近所の居酒屋に飲み行く生活で
ほぼ、平山さんと同じような生活。

その頃の吉祥寺にはまだ鶴の湯、亀の湯、弁天湯という銭湯があって、お風呂上がりには番台のおばさんがヤクルトをくれたりしていました。
風呂上がりに夜風を浴びて自転車に乗って家に帰るのは、とても気持ちよかった。

金銭的には、カツカツでしたがガールフレンドや友人たちとオートバイで夜中に川に行ったり「メグ」というジャズ喫茶で音楽を楽しんだり、今思えば時間はたっぷりとあったので豊かな生活でした。

仕事まえの毎朝の缶コーヒーや煙草がとても美味しく、井の頭公園の池の向こうに沈む夕陽を見ながら読書をしたりと、そんな生活でした。

時間はあっという間に流れて、様々なことがありました。
いまは愛する妻に出会えて家庭を持ち、子供もすくすく育って幸せな毎日ですが、もう一つのパラレルワールドがあるとすれば、この映画の中の平山さんのような生活を送っていたのだろうなーと思いながら見ていました。

闇と光の中で踊るホームレスの男を田中泯さんが演じていますが、
木漏れ日を見るのと同じ眼差して見ている平山さんの表情も良かった。

人は生まれて死に向かって行く。
様々な役割をこなし、時間という波に流されて誰もがどこかへ辿り着く。
最後のシーンの平山の表情がこれらの全てのストーリーを語っているようでした。

文章筋が疲れていたので、そろそろこの辺りで終わりにしますが、
この映画を味わえるのなら、人生の年輪を重ねるのも悪くないな、と思いました。

それでは!



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