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「インセイン」って、どうやるの?

「マルチジャンル・ホラーRPG インセイン」公式サイト
http://www.bouken.jp/pd/san/

「誰もが秘密を抱えてる……」がキャッチコピーのTRPG

冒険企画局のサイコロ・フィクションというTRPGシリーズのうちの一つ。
TRPGを齧ったことがある人には、ビガミやマギロギ、キルビジなどの親戚といえばわかるやつですね。

「使命」「秘密」「恐怖」「狂気」という言葉のうち、2つ以上に心惹かれる方は、どうぞルールブックを買ってみてください。
税抜1500円という映画1回見るよりもお安い価格で、システムの詳細+リプレイ1本+サンプルシナリオ1本が入っています。

……という、あっさりした紹介をまずしておいて、今回は既にルールブックが手元にあるインセイン初心者(特に私の卓にいらっしゃる方)向けの、ルールブックの副読用の記事です。当然ながら非公式の記事になります。
そしてこれが重要なのですが、ルールブックに書いてあることはほぼ説明しておりません(ルールブックを読んでいただきたいので、およそ公式サイトで公開されているルールサマリの範疇にとどめています)。表記してあるページ数は基本ルールブックのページ数です。
ルルブを読みはしたが読んだ「だけ」で終わっている、というのを避けるための、頭の中に印象として残しておくためのフックとしてお読みください。
記事は一般的な内容に終始したつもりではありますが、前提として、卓を同じくするゲームマスター、シナリオ、そしてセッション自体で流れや処理等は異なってくるものですので、あくまで参考としていただければと思います。


セッションの流れ

全体としては
導入フェイズ→メインフェイズ→クライマックスフェイズ(→エンディング/エピローグ)
です。
どう進行するかというのは、リプレイを読むとわかりやすいでしょう。また、p.190~226に詳細があります。

■導入フェイズ(p.194、p.235)

シナリオとしての導入以外にも、各PCの紹介などをするフェイズです。設定のすり合わせや状況の確認などをするというのは、ルルブにある通りです。
システムとして大事なのは「使命(と秘密)の確認」。オフセ(ボイセ)であれば、自分の使命をここで読み上げる、テキセであれば書く(貼る)なり何なりをすることになります。他のプレイヤーへの情報の周知と共有ですね。

■メインフェイズ(p.195~203)

「メインフェイズ」は「サイクル」によって構成され、「サイクル」の数はシナリオごとに決まっています。このシナリオごとに決まっているサイクル数は「リミット」と呼ばれ、「リミット」に達すると「メインフェイズ」は終了し、「クライマックスフェイズ」へ移行します。
注:リミットに達する以外にも、クライマックスフェイズへ移行する条件があるシナリオもあります

「サイクル」は各プレイヤーごとの「シーン」で構成され、この「シーン」はいわゆる手番です。全員の手番が終わるとそのサイクルは終了、次のサイクル(あるいは次のフェイズ)へと移行します。

プレイヤーが自分のシーンとして行えるのは「ドラマシーン」(p.195)か「戦闘シーン」(p.204)です。
シーンにはこれ以外に、ゲームマスターがシーンプレイヤーとなる「マスターシーン」(p.192)もあります。

セッションの中心となるシーンは「ドラマシーン」です(今回は戦闘シーンについては割愛、ルールブックをお読みください)。
ドラマシーンで行えることについては、p.195~203の説明のほかに、巻末付録のルールサマリに簡易なまとめがあります。
こちらは公式サイトでもPDFで配布されているので、ルルブのものが見づらい場合は印刷して1枚持っているといいでしょう(PCでのオンセの場合はブラウザで開いておいてもいいかもしれません)。

①シーン表を振る
シナリオや展開によってはシーン表を使わない場合もありますし、ルールブック記載のものでない、シナリオ独自のシーン表が用意されていることもあります。

②シーンの登場人物や何の判定をするかなどを決める

『シーンプレイヤーは、自分のシーンが、どういうシーンかを、ルールに従って自分で決定していく』(p.195上段より)

シーンプレイヤーは、自分のシーンにおいて「主演」だけでなく「演出」「舞台監督」等々を兼ねます。
PC・NPC問わず、自分のPC以外の誰にそのシーンに登場してほしいのか。これはシーンプレイヤーが指名します(出たい人を募ることもありますね)。
基本的に、シーンプレイヤーに出てほしいと言われた人は断らずに出るものと思ってください(※下に追記しました)。対立型などで、このシーンに出たら使命達成に不利になるので出たくない……といったこともあるかもしれませんが、インセインはプレイヤー同士は協力し合うゲームです。
また、シーンは手番ですので、ドラマシーンでは「調査」「回復」「感情」の判定のうち、どれを行いたいかを決めましょう。
何についてどの判定をどう行うかによって、どういうシーン演出をするかも変わるため、この選択がシーンをプレイするうえでの、いわば「軸」になります。
たまに誤解を見るのですが、ゲームマスターから判定で振る特技を指定され、それを持っていないときに、一番近い特技で振るのは特技の「代用」です。
つまり、自分がシーンプレイヤーであるシーンでは判定に振る特技は自分で決定できるので、わざわざ代用をする必要がありません。自分の持っている特技から逆算して判定と演出を考える……ということになります。
他にも、どういう舞台でそのシーンが行われるのか、どのような流れのシーンなのかといった諸々も、シーンプレイヤーが決めて演出することになります(演出によってシナリオの運用に支障が出そうな場合は、ゲームマスターが待ったをかけますのでご安心ください)。あまり細かく決めてしてしまうとそのシーンの自由度が下がってしまいますから、ふんわりで大丈夫です(即興劇なので筋書きはいりません。特に他にも登場するPCがいる場合は、余裕があったほうがいいでしょう)。
ちなみに同サイクル内のシーンとシーンは連続した時間や場所でなくてもかまいません(先にやったPC1のシーンに対して、PC2のシーンが過去だったり「一方その頃…」だったりしてもいいのです)(舞台やドラマや映画、小説や漫画を想像するといいかもしれません)。

【※20210315追記】
この部分について「登場させるさせないはPLに権利があるため、断ってもよいのではないか(断ることと協力的でないことは直結していないのではないか)」というマシュマロをいただきました。
こちら大変ありがたく、しかしtwitterでの返信だと見ていただけるかわからないため、この追記を返信とさせていただきます。
私もPCについてのあらゆる決定の権利はそのPCのPLにあると思います(し、それがTRPGの肝の部分だと思います)。
基本的に登場すると思ってほしい、というのは、登場するのが当たり前である、ということを言いたかったのではないのです(筆者の表現がわかりづらくて申し訳ないです!ご指摘感謝いたします!)。
件の部分は、相手にとって大事なシーンに登場せずに相手”PL”を妨害すれば自分に有利になる、という極端な考えを持ってほしくないと書いた部分でした(これは実際、対立型や特殊型は”PL同士”がそういうところでギスギスしそうで嫌だと周囲のTRPG初心者の方に言われたことが何度かあるためです)。
頼むほうは相手が「断る場合がある」ことを考慮、かつ、頼まれたほうは相手がわざわざ「出てほしいと頼んだ」ことを考慮……というのはコミュニケーションの話になるため、システム自体の基本ではなくセッションを行ううえでの発展(臨機応変)の部分と思ったということもあります。互いを慮るこころとそれを表すちょっとした言葉があれば、それは非協力的ということには全くならないですね。
また、(使命は大前提としてさておき)狂気のトリガーを気にしてシーンへの登場を断る、というのはいわば戦略の域と考えたので、TRPG初心者はそこまで考える余裕はないとして書いておりませんでした(初心者をなめているというのではなく、そこまで考えられる方には、そもそもこの記事は不要なのではないかと思っております)。
注:件の箇所はご指摘を受けたことをわかりやすくするために、改稿せず原文ママとしておきます。

③判定する
詳細はp.186~189を確認してください。
シーン演出を行う・ゾーキングによって情報を得るうちに、これをやると決めていた判定や特技を変更したくなる場合もあるでしょう。判定前であれば変更できるかもしれません(判断そのものはGM次第ですので、まずは相談してみましょう)。
判定のあとは、その判定の結果からの演出などをおこなってからシーンを締めます。

■クライマックスフェイズ(p.222~224)

このフェイズでだけは「回想」によって、自分から自分の秘密を公開することができます(秘密が他のPC全員に知られていても「回想」は行えます)。
このフェイズ以外で自分から秘密を明かすとシナリオが崩れかねませんのでご注意を。
※ソロシナリオではそもそも他のPCがいないため、クライマックスフェイズ以外であってもPLが言及する程度であれば大丈夫ですが、PCのそれは人に自らすすんで明かそうとしないものだ、ということは忘れないようにしてください(あと単純に、一人だからってガバをやり続けてると複数人シナリオのときもうっかり……やりかねないので……)。

CoCとの違い

周囲にCoCはプレイしたことがある、リプレイ動画を見たことがある、という方々が多いので、参考までに主だった違いを挙げてみましょう。

・自分からは言えない「心の闇」がある
・使命が各PCで異なる
・生命力が0になっても「死亡」とは限らない
・シナリオ途中での「死亡」はない
・正気度が0になってもロストはない
・シナリオごとに狂気の総数が決まっている
・狂気は獲得しただけでは顕在化しない

実際のセッションではシナリオやゲームマスターにもよるため一概に言えるものではないのですが(大仰な言い方をすれば、最上位決定権はゲームマスターにあるので)、双方のルールブックで採用されているものを比較すると、CoCをやったことがある人は(最大の違いであるシーン制以外にも)このあたりを気に留めておくと、インセインが少しプレイしやすくなるかもしれません。
(初めて遊んだTRPGがCoCの人で)TRPGはだいたいCoCみたいなものだと思ってしまったプレイヤーは戸惑うことも多い……というのを、インセインのゲームマスターをしていて感じます。
これは最初がCoCでなく、あるいはその後がインセインでなくとも(つまり他のTRPGであっても)きっとそうなんだろうなとは思いますが。

***

引っかかりが多そうなところを中心に書いてみました。ルールブックだけだと掴めなさそうなところが補足できていれば嬉しいです。

追記

こちらにこの記事に書かなかったもうちょっと詳しいこと書きました!

「初心者がインセインのルールを覚えやすい」※をコンセプトにした無償シナリオも公開しています!
※一本道や簡単という意味ではないので楽しんでいただけると思います~。


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