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プロの仕事の極みを知る〜奇跡の一枚を生むチーム スタジオ⭐︎ディーバ 

▪️マツコ会議での衝撃

2018年5月、ボーッとしながらマツコ会議を観ていた。アナウンサーやCA用受験写真の評判が高いという写真スタジオの回であった。

男性アナウンサーが建物に潜入し、2階のヘアメイクのコーナーやスタジオの紹介をし、実際撮影もしてもらう。

アナウンサーやCAの場合、書類選考の時点での写真がいかに大切であるかはよくわかる。
スタジオ⭐︎ディーバで撮影をしてもらうと、修正なしで、美しく表情豊かに、背が高く、ほっそりして映るとのことで、実際の写真も紹介された。
『これは凄い!✨✨」と夢中で観ていた。

CAさんの応募写真は、すぐにでもCAとして立派に活躍できるような明るく美しい表情で、1頭身分背が高く写っていたのだった!

何より衝撃だったのは、最後に紹介された、スタジオで撮影された男性アナウンサーの写真であった。
実際アナウンサーになっているのだから、きっと元々も明るく聡明な人なのだと思いながら観ていた。

で、その写真は私の想像を超えていた。
この人自身が内側から光り輝いているように、実直で立派な人の顔に写っている。良い写真などというようなレベルではない。
もうこの写真だけで、確かな人間性と良い仕事ぶりが想像できるように見えるのだ。

表情?  肌の質感? 説明のつかない何かがそこにある。
アナウンサーとして採用するべき人だと一目で確信できるような、オーラをまとった写真であった。

「何これ?!  凄い!!」と思わず声が出た。

全国のアナウンサーの150人のうち80人がスタジオ⭐︎ディーバで応募用の写真を撮っていた、という事を、私は後に知ることになる。


▪️予約してみた

秋になった。
私は、翌年パスポートの更新の予定があるのを思い出した。証明写真をそのうちどこかで用意しておかなければ、と思っていた。

証明写真は過去に気に入ったためしがない。
特に、運転免許センターの列に並んで撮るあの写真
(T ^ T)
心の準備も、髪型を確認する間もなく、撮影終了。
「はい、良いですよ〜」と声をかけられるが、『良い』というのは『目が閉じていない』、『ちゃんと本人に見える』というだけの意味だと思う。

仕上がりは何が起こった?!と思うくらいの顔になっている。髪の毛も、係の人、何故一言教えてくれなかった?!と思うほど変。廊下の鏡で一瞬確認したはずなのに💦

運転免許センターに集う、誕生日が近い人々。
『私と同じ星座かな?」などと思いながら、出来上がった何人かの免許証をチラ見する。
私の免許証と同じく、ちゃんと犯人顔に写っている。
よしよし。私だけじゃない。
呉越同舟。更新までの何年か、我慢しようね(T ^ T) 


証明写真が必要な時、大抵の場合、写真館に行ったが。
背景の色やライトを当ててもらって、
「はい、顎を引いて、頭をもう少し右側に傾けて。はい、撮ります」
というくらいのものだ。
表情が硬くなろうが、ただそのまま撮影され、あちらも『こんなもんだろ』と思っているだろうし、私も「どうせそうだよね』と思う仕上がりである。

セルフ撮影の器械でも撮ったことはある。気楽に、自撮りと同じで、意識して『良いお顔』をすればいいし、諦めて600円出して最初からやり直しだってできる。
しかし、いつもよりは表情はリラックスできたとしても、出来上がりの質感にがっかりする。

そんな過去を思い出しているうちに考えた。
『私、人生で1枚くらい納得できる写真を、プロに撮ってもらってもよくない?』と。
そして決意する。
『そうだ✨ディーバに行こう!』

電話をしてみる。
とても丁寧な対応だ。ヘアメイクの希望の、写真の使用目的、そして撮影者だ。
「カメラマンにご希望はございますか?」
「せっかくですので、是非テレビに出ていらした経営者の方を。」とお願いした。

【 代表取締役社長 山口直也氏 】
どうしてもこの方にお願いしてみたかった。
人の内面を映し出すような、あの写真。

しかし、ヴァイオリニストやピアニストや歌手や政治家のような山口氏が普段撮っていらっしゃるような顧客ではなく、ドドドドドド素人の私である。

学生さんたちは素人かもしれないが、彼女たちのようにCAやアナウンサー志望の将来を夢見るキラキラした就活学生でもない、私である。

私が山口氏を指名させていただくなどと、何とおこがましい、と胸の内で葛藤は続いた。

電話の向こうで、
「山口は予定がかなり入っておりまして、2ヶ月先くらいでしたら予約をお取りできますが、いかがですか?」
との丁寧な声が。

それは、
『だから、頼むならものすごく忙しい社長じゃなくて、指名は他の人にしてね』というニュアンスではない!
相手が見えない電話での対応の鑑だ、この人💕素晴らしい!

私が山口氏に撮っていただけるのだ!!!✨✨

「ヘアメイクと撮影で、合わせて3時間くらいのお時間かかります」
素敵🎶 3時間モデルさんのような気分を味わえる。
わくわくしながら2ヶ月を過ごした。


▪️当日。証明写真もレベルが高いのを知る

仕事を休んで、その日1日を東京で過ごすことにした。家からは、日帰りでもゆっくりできる距離だ。
その日は生憎の雨☔ かなり激しい降り方だった。
千駄木に到着した頃には、家で巻いた髪は既に湿気で伸び切っていた。こんな髪で恥ずかしいと思いつつ、スタジオのドアを開ける。

玄関には沢山の写真が飾られている。見覚えのあるCDやポスター、広範囲の仕事をされているのがわかる。

予約の時間までまだ少しあったので、一階の椅子で待つように言われる。私の撮影は2階だ。

一階には沢山の学生の姿があった。これが噂の[合格写真]を撮りに来た子たちだ、と何だか興奮。
一階にもヘアメイクのコーナーがあり、美容師さんたちのお仕事ぶりを眺められる。

しばらく見ているうちに気がついた。美容師さん、上手い!!!

就活生のヘアスタイルを想像していただきたい。
前髪が長くても短くても、顔にかからないようにすっきりまとめ、後ろで一つ縛りにする人が多い。
つまり派手さのない、真面目な、しかし面白みのない髪型である。

それなのに、その美容師さんが仕上げると、ほんの僅かだけ頭頂部に近い位置を膨らませたり、顔のバランスを見ながら、前髪のラインを変えたり。
それによって派手さはなくても美しく、しかもその人それぞれに似合った髪型になる。
期待は高まる。

一階は証明写真専用の撮影機器があり、次々と撮影が行われていく。
私の隣に、撮影を終わらせた就活生が座る。ほっそりした綺麗な子だ。背筋がスッと伸びている。
アナウンサーを目指すのか、アナウンサーか、大企業か。
いずれにせよ、ここで写真を準備しようと思うということ自体、そもそも高い理想を持つことがわかる。
しばらくして、スタッフの方が印刷された見本を持って、彼女のそばにやって来た。
もちろん私はそっと覗き見する。
すると、そこには、これが証明写真?!と思われる深みのある色の仕上がりの写真が並んでおり、その真っ直ぐな目は芯の通った人柄を感じ、柔らかな表情は協調性も感じられ、この人は好感度が高い、と思った。
これは凄い。証明写真でこのレベル?!と。
更に期待は高まる。

▪️そして奇跡は起こる
2階に案内されると、そこはヘアメイクのコーナーと順番待ちのコーナーがある。

鏡の前に座り、ヘアメイクの確認をする。
今朝巻いた髪はすっかり湿気で伸びてしまったけれども、普段はこんな感じの髪型で、とスマホの写真をみてもらう。
「メイクはご自分のメイクのままにしますか?」と聞かれ、眉毛など気になる部分だけ手を加えていただくことにする。
サッと頬紅を入れ、眉毛を書き足してもらったが、それだけでわかった。
『この人はプロだ! しかもとても高いレベルの』

そしてヘアアイロンで髪を整え始める。さほど時間もかからず仕上がった髪は、私が初めて見る、理想的な私の望む髪型になっていた。
私がそれまで通った美容院で、そのような仕上げをした人は誰もいなかった。

私はヘアメイクの担当の人は、スタジオに勤務する担当の人、というくらいの意識でいたのに、彼女らは、一人一人が高いレベルのプロだったと知る。

スタジオに移動すると、そこにはあの山口氏が、柔和な微笑みを浮かべて立っていらした。
数多くのメディアで取り上げられた有名なカメラマンであり、これだけ人気のスタジオの経営者である。

なのに偉そうな雰囲気は何もない。知的で穏やかな空気をまとった人だ。優しい(T ^ T)。染み入るように優しい。そっと寄り添うような雰囲気で話しかけてくださる。
私のようなドドドドドド素人、しかも未来を夢見る就活生ですらない私。
なんかすみません💦という気持ちで一杯になる。

よく考えたら、同じ時間帯は、予約客は沢山の就活生と、2階ではメイク中のキラキラした若い美人のお姉さんと、この私だけだった。
なんかすみません💦

服は2種類着て撮影ができる。そうした説明の後、後ろのスクリーンの色を変えたりしながら、撮影が始まる。
私は、
「最近太って頬の肉が気になるので、もしかして気になったら、修正していただけますか?」と尋ねてみる。
山口氏は、
「できますけど、多分不要です(^-^)とにっこり。

不要? この肉でも?

そして最初から私の顔は既にガチガチで、もうここで撮ってもらっても、そもそも素材が私なのだ💦こりゃダメかと諦めの気持ちになる。
ヘアメイクの担当の方は、そばにいらして、撮影の合間合間に、髪を直してくださる。
[うわぉ✨よく女優さんがヘアメイクさんにやってもらってるあれ!💓』と大興奮。

せっかくそばにいてもらえるのだから、私も頑張って良い表情をしなければ、と思う。
ここでは皆さんがそれぞれ仕事を頑張っている。それが伝わってくる。
素人の客だって、終わるまで頑張らなければいけない、という気持ちに変わる。


山口氏は、穏やかな声で私の住む場所を質問された。
「ああ、この前行ってきたばかりですよ。あの出来たばかりのホールでコンサートがあって、ピアニストの方の撮影をしました。」と。
他にも和やかに様々な話題を選んで話してくださる。
柔らかく明るい優しい声だ。

楽しくて、気づいたら私は何回も笑っていた。
山口氏は何枚も撮影されていたようだった。

そのうちに、ああ私も少しリラックスできた、と思ったあたりで、
「証明書の写真もいるんですよね?」と。
そうです、と答えると、
「じゃあ、正面を向いてください」と言われ、向きを変えた。
1枚だけ撮影して、山口氏は、
「あ、これでいいな」と呟かれた。

その後着替えて、また撮影し、撮影は1時間ほどで終了した。
私はふぅ💦と溜め息をついた。撮られる側も疲れるのだと知る。

下で待っていると、ほどなくして受付に呼ばれる。
見本が印刷し終わったのだ。少しドキドキしながら見本を受け取って、私は驚愕する(´⊙ω⊙`)
「えええっ!」と思わず大きな声が出てしまった。

写真は50枚ほどあり、最初の何枚かはガチガチの顔で写っている。
しかし真ん中あたりに並ぶ写真は、私が見たことがない私の顔がある。しかし確かに私の顔だ。
山口氏は私の表情が柔らかくなった瞬間を捉えて、何枚も連続して撮影された。

奇跡の一枚どころではない。特に大好き🎶と思える写真は6枚ほどあったのだ!
証明写真用のは一枚だけの撮影だったのに、完璧だった。自分とは思えない表情をしている。

「あの…あの…これは凄いです。私の写真なのに。こんな風に撮っていただいて…」と口を開くと、山口氏は、
「ね? 修正の必要なんてないでしょ?」
と、微笑まれた(^-^)

信じられない。あの頬の肉はどこに行った?

CD-ROMでデータをいただけるので、見本と共に受け取る。ヘアメイクも付いて、あれだけの仕上がりで、データもいただけて、幸せな3時間を過ごせて、確か2万円と少しで済んでしまった。夢のようだ。

支払いをして帰るまで、山口氏は受付のところでお話をしてくださった。
次の人が待っているのに、2階に戻らず、私が帰るまでいてくださった。
普通は「じゃあ、これで」と仕事に戻る場面だ。

朝からずっと連続での撮影で、疲れていらっしゃるであろうに。客は、初めて会った素人のこの私なのに。
この人はプロだ。

緊張する素人を相手にしても、軽く適当に扱うことなく、私をリラックスさせて、私の一番良い表情を探し、話しながら私がどういう人間であるかを感じとり、[私がなりたい私]を探し出して、その瞬間の表情を捉える努力をしてくださった。

そう、あの写真は、私がなりたい自分であったのだ。


写真の出来も、スタジオで過ごした時間が楽しくて嬉しくて、沢山の感動を言葉にして、そして帰りの挨拶をする。

「ありがとうございました。本当にお願いして良かったです。」そして、私は付け加えた。

「私、これ遺影用にさせていただきます。人間はいつ何があるかわかりませんから。これで安心です!」と。
本当にそう思ったので(^◇^;)。

山口氏は、私のそんな言葉を聞き、一瞬『何故そんなことを?』と驚いたお顔をされたが、にっこり微笑んで、こう返された。

「何年かしたら、ちゃんと更新に来てくださいね。」と。

これ以上の機知に富んだ返しはないだろう。
涙が出そうだった。

彼はプロ中のプロだ。

そしてあのスタジオで働く人たち全員がそれぞれの部門のプロであり、全員で成果を上げるチームなのだと知る。

その瞬間瞬間、やるべき事を、誰に対しても、全力を尽くす。
プロの極みを目の当たりにした、その感動は今も忘れられない。

生涯誇れる写真を撮っていただいたご恩はこれからも忘れない。
そして、いつか帰国したら、必ず更新に伺うつもりだ。






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