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ドイツ語でご挨拶〜Guten Tag が聞こえてこない〜

初めてのテキストにはこう書いてあった。
⚫︎基本の挨拶
Guten Tag!  「こんにちは」 {日中の挨拶です。}

Hallo!          「やあ、こんにちは。」
{元々は若者同士の挨拶。最近ではお店のなども使うようになっています。
年配の人は嫌がる傾向にあるので、Guten  Tagを使いましょう}

このテキストだけではなく、他のテキストでも最初の方の挨拶のページはこんな感じのニュアンスであった。
これまで旅行に来た際は、普通にGuten  Tagを使っていたし、まあそうだよね、というだけの感じ。

最近、一番後ろのページを見た。
2017年 初版発行 
このテキストはドイツ語初心者の私にとって、読みやすく、わかりやすく、諦めずに読み続けたものだった。
何の不満もない。
しかし、3ヶ月ほど経っても、あれだけ近所の人たちの様子を見たり、話したりしているのに、
Guten  Tagは聞こえてこない。
老若男女みな Hallo。

歌は世に連れ、言葉も世に連れ。
時代はそうなったのね、と納得する。
しかし、そうなると余計にGuten  Tagを使いたくなる。だってその方が言葉として素敵なのに、と思う。

ドイツに来て、初めて挨拶したのはアパートの同じフロアの人々。
年配の旦那さんにご挨拶しようとしたら、あちらから先にこう仰った。
“Hallo!”
『あれ?』 準備していたGuten  Tagはやめて、同じようにHalloに換える。

次はお向かいさんにご挨拶、ドアが開いた瞬間、旦那さんがにっこりして、
“Hallo!”
『ここも?』

ラフな挨拶、Halloは市民権を得ている。
嫌がるから使うなと書いてあったのに💦

スーパーに行く。レジで自分の番が来ると、まずお互いに挨拶、勿論あちらは
“Hallo!”  である。

列に並ぶ人々の様子を見ていると、別の言葉(この地方独自の挨拶もある)を使う人もいたが、大抵が同じであった。
まあ、{お店の人は使うようになってきた}、とテキストにも書いてあったしね、と納得する。
寧ろ、店側と客との関係は、Halloである、と思う。そのくらいのニュアンスがお似合い。

しばらく日が経つと、別の言葉も聞こえてきた。
“Gruß Gott!   ”{こんにちは}
これはオーストリアでもよく使われている。

私はこの挨拶が好きだ。美しい✨と思う。
Godを含むこともあるし、言葉の発生は宗教的な意味合いなのだろう。
この言葉を使う人を見ていると、漂う雰囲気がきちんとした人が多い。年配の人など特に敬虔な雰囲気も感じるし、教育をちゃんと受けた感じというか、真面目な感じ。
育った家庭により、親が使うのを聞いた影響も大きいだろう。

近所の知り合い(4カ国語を使う奥さん)もこの挨拶を一番多く使う。人には合わせるが、基本これである。Halloを使うのは嫌いだそうだ。

私がGuten  Tagにまつわる疑問を伝えてみる。
「まだ聞いた事がないんですよね。使ってますか?」

すると、
「勿論使う人はいるし、これよりももっと素敵な挨拶があります。
“Schön Guten  Tag   ”  
うちの近所にこの挨拶をする奥様がいますが、これは家柄の良い人が使う挨拶ですね。」

うわ🎶、Schönが付く✨✨何と美しい挨拶なのだろう(T ^ T)
*Schön(綺麗、美しいという様子を意味する)

私がこの言葉をドイツで聞く場面はあるだろうか、と思わず考える。多分ない。
環境が肝心で。豪邸が並ぶ地域をウロウロすれば聞こえてくるかもしれない、と思った私に、彼女は続ける。

彼女に言わせれば単にお金持ちなのではない、知性、家柄、生き方が絡むそうである。
おお✨益々素敵なのだけれど、縁遠い人々…
そうかそうかと、散歩を終えて家に帰る。


次の日の午前中、一階のエレベーターホールに上の階の一家が降りてきた。
初めて会う人々だ。

同じ階の人々とは、午後はHalloで挨拶し合うが、午前中に会えば、
“Morgen! ”   (Guten Morgenの簡略化)
と、挨拶をする。
お向かいさんは、一旦Halloと言った後、午前中だった、と気づいて、Morgen!と言い直したりするので、やはりそこは厳密に、相応しい方を選ぶのだな、と思った。

同じアパートの人たちには、こんな感じなのだな、と知った頃であったので、初めて会った上の階の家族にも、私の方から挨拶する。
“Morgen !”

旦那さんが返事を返してきた。感情が込められていない響きだ。
“Guten Morgen !”

うっっ💦
その心は、多分、間違いなく、

「同じアパートだけど、この人とは初めて会ったし、親しくない。特に名乗り合う感じでもないし、でも一応表面的にはきちんと挨拶しておくのにこしたことはない。
だからといって、Halloを使うのもなんか違う。」
のニュアンスだ。表情もそうだった。

親しげに言ってはいけなかったのね、親しくないのに
(T ^ T)

私は言い直す。
“……Guten Morgen !”

とうとう使えた。
が、それは2024年現在、取り敢えずこの場所に住む主婦である私の周りに関しては、
こういう、よそゆきの人間関係で使われるのだと知る。
“Guten  Tag!”  及び “Guten Morgen !”

以来、気分的に懲りて、同じ階の人たち以外は、日中いつでも使える“
“Gruß Gott!  ”
にシフトした私。
知り合いのように、弾むような明るい言い方を真似する。

ちょっとドイツ慣れした感じもあるし、何より響きも美しいしね✨



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