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病院が好き〜各科別の楽しみ③〜眼科

長年、視力は2.0だった。
視力検査中、1.5の列までしかためされず、
「なんならもう少し下まで見えるんですけど」
と言ったことも何度か。
小さくなればなるほど、Cが縦長に見えて、切れ目もよく見えたのはどういう事だったのだろう。

ナビがない時代、高速道路を走っている最中に、遠くの遠くの表示を見て、
「あ、次は右ね。」と伝えると、
「どうして知ってるの?!」と運転席の夫を何度か驚かせたものだ。書いてあるじゃない、と答えると、
「何故、あれが見えるの?!」
見えるからです。

そんな訳で、眼鏡もコンタクトも不要の人生だった。
しかし、眼科受診経験は多い。受診理由はトラブルだ。

視力の問題で、眼科を訪れる人は多い。その人たちは、それ以外の理由で受診されることはどの程度あるのだろうか、とよく考えた。
視力の問題がない人は、眼科をどう思うのだろうか、と。

高齢になると、目の不調は様々起きてくる。
緑内障、白内障、網膜剥離、その手前の網膜裂孔、飛蚊症、視野狭窄 etc.
年齢とともに機能は落ちる。それは仕方のない事だ。

健康診断で指摘されて、通院を始める人はまだいい。
私が度々目に起きたトラブルで眼科に行った際、何度か耳にした言葉、
「眼科って来た事ないよなぁ。」

⚫︎視力が良い為、眼鏡はいらなかった。
⚫︎今、目の前に見えている視野は全て見えている。

この二つの条件が揃い、健康診断の視力検査&眼底検査に特に問題がなければ、眼科のお世話になる必要性を感じないのだ。
「だって見えてたから💦」
眼科で後悔の言葉を口にする人は大抵こう話す。

さて、この人に起きた症状は何でしょう?
重い症状なのでこれは後ほど。

▪️角膜に傷
次女がお絵描きをしていた。4歳くらいの頃。
クレヨンでスケッチブックに描いているそばに私は座っていた。
娘は、一番上の画用紙に沢山描いたので、それを剥がして、下の紙に換えようとしていた。
娘は剥がした紙を持ちあげて、半円を描くように、ポイっと横に置こうとした。
たまたま紙は私の目を掠めていった…

その娘を連れて眼科に行くと、
医師「ああ、真横に一直線に傷が入ってますね〜」
私「治りますか?」
医師「角膜は再生しますよ。」
私「この子にやられました。」勿論言いつける。
医師「もうやらないでね〜」 
娘「はぁい」

この頃からトラブルが続くことになる。

▪️石
ある朝起きて目を開けると、ゴロゴロする。
『ん?』
ゴロゴロは次第に痛みを増す。
まつ毛が入ったかな? 埃かな?
目薬で洗い流しているうちに、これは眼科に行くしかない事態だと確信する。
痛みが増して、目を開けている事もできない感じだが、かといって痛くて瞼を閉じることもできない。
瞬きはするしかないので、その度に痛みが走る。

夫も子どもたちも出かけた後で、助けはいない。思えば救急車🚑とかタクシー🚕という方法があったのに、まだギリ運転可能なレベルだと判断する。
15分間涙を拭いながら、眼科に到着する。

受付で症状を説明すると、
「わかりました。お待ちください」と。
視力検査やコンタクトレンズの相談の人が殆どと見た。この中で救急患者は私だけだ。
『待てっていつまで?』 
ティッシュを抱えて涙を拭い続ける。

やっと診察室へ。
医師「えっっ! そんなに痛いの? 受付にもっと深刻に痛いって言わなきゃ駄目だよ〜ごめんなさいね〜」
私「一応言いました…」涙ポタポタ

目薬をつけてもらうと、痛みは一瞬で遠のく。
眼科用麻酔薬だそうだ。素晴らしい(T ^ T)

「ああ、石だね。」
石ですと?🪨
「我々、石って呼んでるんだけどね、目の表面を保護する物質の中に、油分も含まれてるんですよ。
たまたまその分泌が多くなったりすると、小さな塊になって、それが石」
見せられた画像には、小さな少し黄色っぽい塊が三つほど映し出されていた。
「いきなりできて、その石が角膜を傷つけるから、表面ズタズタになるんだよね。」

医師は石をピンセットでチョイチョイと剥がした。終了。
「先生、またなったら怖いので、さっきの点眼液処方しといてもらえませんか?」
医師「あれは駄目〜麻酔だからね💦あれがほしいって言われたの初めてだなぁ 笑」

あの痛みを消す点眼液は素晴らしい✨
その後のトラブルの度に、あれがあれば💦と何度も思うことになる。
石はその後、何年かおきに、3回出現したからだ。

▪️また角膜
時は流れて、娘たちは二人とも都内に住んでいた。
仕事で出かけた会議の後、3人で集まってお喋りをしながら夕食をとる。その日は楽しかった。
長女の家に泊まって、明け方4時くらいに目が覚めた。
その瞬間、右目が切り裂かれるような感覚が!

前回の石の時も痛かったが、それどころではない。
痛くて目を開けていられないし、瞼も閉じられない!
心臓に響くような痛みだ。

娘たちを起こし、これはもう救急車しか無理だと判断して呼んでもらう。
救急車🚑はすぐに来てくれた。
私「目のトラブルくらいで来ていただいてすみません🙇‍♀️」と謝りつつ、痛みで叫ぶしかない状態。
血圧を測られるが、
「ダメだ💦高すぎて測れません💦」とのことだった。
血圧計振り切れるって、値は幾つだったのだろう😱

眼科のある総合病院がたまたま近くにあって、到着。
涙は流れっぱなしで、ティッシュを抱えながら、救急隊の方にお礼をいう。
私「すみませんでした🙇‍♀️重症患者ではないのに
(T ^ T)」
救急隊員の方「いや、十分重症だし、救急車呼ばなければ診てもらえませんからね。お大事に」
確かに。

待合室にいると、どうやら私の前後の人は重症患者のようで、付き添いの人たちの顔も暗く深刻だ。
救急隊員と医師との会話を切迫した空気だ。

しばらく待つと、明らかに寝起きの眼科医師がやって来た。叩き起こされたのだろうな、申し訳ない🙏と思う。
しかしもうその頃には、痛みが最高潮、心臓がバクバクして耐えられず、ギャーッという声が出て泣き叫んでいた私。

予想通り、直後に痛みを止める麻酔の点眼液が一滴目に落とされた。2、3秒後、すうっと遠のく痛み。
その時点で娘の家のティッシュを一箱使い切っていた。

医師「角膜、剥がれてますね」
完全に剥がれたらしい。保護するクリーム状の薬が出されて終了。

辛かったものの、痛みが消えればもう平気。
前後に運ばれた人たちの容態を案じつつ、病院を後にした。

地元に戻り、改めて近くの眼科に行くと、
「角膜はね、朝起きて目を開けた、そのタイミングで剥がれるんですよ。 年を取るとね、よく起きます。
だから目を開ける時は、パチッと開けるんじゃなくて、ゆっくり開けてくださいね。」と注意を受ける。

やってみたけど、そんなことできません。

▪️アロンアルファ
修理が好きだ。プラスチック製品やヘアアクセサリーなどのちょっとした修理が好きで、何かあればまめに直す。
アロンアルファの性能には絶対の信頼をおいていたので、常に家にある。
その日はプラスチックの修理をして、アロンアルファで接着させ、表面に凸凹を残さないように液を拭いとろうとしていた。
メモ帳のツルツルした紙を折って、液を塗った直後にそれでスッと拭き取る。
そうすると液の跡も残らず、綺麗に仕上がる。

いつものようにスッと拭き取った時、液が跳ねた。
その後はスローモーションのように見えた。
危険が迫ると、脳は画像をスローモーションにする。
景色は走馬灯のように見え、記憶を辿り、過去の経験から助かる術を探すためだという。

ま、それにしては時間が短かすぎた。
アロンアルファの一滴は、真っ直ぐ私の右目の真ん中に向かって飛んできて、眼球に張り付いたのだった。

取り敢えず痛みはないので、いつものトラブルほどは慌てず、それでも困ったな、と思いつつ、スマホで検索してみる。
[アロンアルファ 目に入る]
山ほど事例が出てきたのだった。
世の中の人は、こんなにアロンアルファを目に飛ばすのだ!

読んでみると、建設業の方が、接着剤を目に入れてしまうことがあるようで、注意するように書いてある。
対処法は、
[すぐに目を洗い、眼科に行きましょう]
仰せの通りにする。

医師「あなた、いろいろやりますね〜笑
今度はアロンアルファですか〜」
私「目は洗ってから来ました。こんな事初めてです。」
医師「ああ、もう剥がれてますね。良かったね。
剥がれてない時って、剥がすの結構大変なんですよ。」
 ゾッとする😱
医師「剥がれてるけど、剥がれた跡がズタズタに傷ついてるから、目薬付けてね。」
またズタズタ…

▪️今度は網膜
仕事先の方と話していた時のこと。

担当「この前、あなたからアロンアルファの話聞いて、目には気をつけなきゃって思ってたんだよ。石とかもね 笑
で、何日か前に、ちょっと空を見たらね、黒い小さい点々が沢山見えて、びっくりしてすぐ眼科に行ったら、網膜が少し剥がれ始めるって言われてね。」

私「網膜ですか? 一部だけ?」

担当「そう、網膜裂孔。でもね、その病院、レーザーがあるから、それでくっつけてくれて治ったよ。
費用は5万円。」

私「網膜剥離まで行かなくて良かったですね。」
担当「本当だよ〜」

いつも私の怪我や病気ばかり話題にしていたが、この日は教えていただく側だった。

その半年後、ある日ゴミ捨てに出て、青空をふと見上げたら、そこには黒い点々がぎっしり💦
「来た〜! 網膜裂孔!」

あの時教えてもらっていた、レーザーがある眼科に、5万円を握りしめて直行して、事なきを得た。
教えてもらっていた上に、たまたまその日の透き通るような青空を見た為に気づいたのだった。
ちなみに室内の壁を見ても、点々は見えなかったのだから、とにかくラッキーであった。
今も毎日空を見上げて、自己チェックをしている。
ちなみに曇りの日は見えにくいのでご注意を。


⭐︎ さて、冒頭に書いた、『眼科に行ったことのない』人の話である。
私がレーザー処置をした後、定期的に受診していた眼科で、その話を聞いたのだった。

その人たちは、私と同じように網膜にトラブルが起き、しかし普通に過ごす分には、視野が狭まるわけでもなく、見えているので何が起きているか気づかなかったらしい。
流石に目に違和感を感じ、受診した時には網膜剥離となっていた。
男性二人が待合室でショックを受けていた。すぐに総合病院に行くように、と指示されていた。

とても気の毒だった。網膜剥離の手術は退院後も、下を向いて寝ていなくてはならない。大きな負担になる。
もし早期に気づいていれば。

⭐︎ また別の時、もう視力を失うという人の話が聞こえてきた。
緑内障が進み、失明寸前の状態だという。

緑内障は、検査を受ければすぐに判明するが、急激な視力低下などが起きない限り、自覚症状はない。
検診を受けたことがなかった為に、気づかなかったようだ。
緑内障は殆どの場合、手術では治らない。点眼液で症状を止めるだけの処置となる。
早期に気づけば、失明の可能性を止められる。(治らないので、正確に言えば先送り)



知らないよりは知っておいた方が良い。自分の身に起きないかも知らないが、知っているだけで、人の為に役立つかもしれない。
そう思って、できる限り人に私の経験を伝えるようにしている。

痛い思いを数々経験してきたが、病院に行くしか治らない症状を経験してみると、益々病院はありがたい場所となり、医師たちはありがたい存在であり、結果、
[病院が好き]という人間となるのだ。









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