病院が好き〜各科別の楽しみ〜内科 番外編〜ドイツのお薬
おかげさまで内科的な大病の経験はない。
しかし免疫力が極端になく、虚弱であるので、風邪と胃腸のトラブルでの通院経験は豊富である。
▪️西洋医学と東洋医学
薬とは毒である。
しかし、その毒が症状に対して有益に効果を発揮するなら、それは薬となる。
西洋薬💊は、症状を抑え込む。直すのではなく、症状を改善するよう、力技で抑え込む。
漢方薬🌱は自らの身体が持つ自己免疫作用を引き出して、症状を改善する。
長年処方され続けた『薬』というものに対して、こんな理解であった。
信頼していた医師は何人かいたが、考え方は様々だ。
⭐︎医師A
熱が出ると速攻で点滴をする。私は終わるまで寝ていられるので大歓迎である。
それに点滴後は、気分的なものだけではなく、実際身体が楽になるので、その後仕事も続けられる。家に帰って家事もできる。
具合が悪かろうがどうだろうが、動くしかないので、そんな身にとっては、大変ありがたい、
その医院では風邪を引いた患者はほぼ全員点滴を受ける。
そして、年々その病院は増設に継ぐ増設が行われて、待合室は拡がり、外観は華やかになる。
飾られている胡蝶蘭も数が増え、3本立ちは5本立ちと大型化する。
その頃にはその医院は【点滴御殿】と呼ばれることとなっていた。
勿論、薬はがっつり出される。5種類は処方される。
⭐︎医師B
風邪をひいたと話す。
医師「そうか〜。いつも忙しそうだもんなぁ。
仕事は休んで、暖かくして、ゆっくり休むんだよ。
点滴? 点滴しても治らないからね。
風邪は養生しないと治らない。
薬は出すけど、養生することだけなんだよ。治す為にはね。」
私がとても信頼しているこの医師は、知的で温厚な人徳者である。
でもね、先生休めないんですよ(T ^ T)、その言葉を呑み込む。
薬は適切と思われる3種類が出される。
▪️ドイツでも風邪引き
ドイツでも風邪は引きまくりだ。
何といっても寒い。
今も寒い。晴れているが15度。日陰に入るととても寒いと想像がつく。
先程ベランダから外を眺めたら、女性が二人、ウールのロングコートと足首までのダウンコートで歩いていた。
そしてあり得ないほど家の中が乾燥している。
日本では経験がないほど鼻水が出るのは、乾燥し過ぎている為に、自然と鼻水が多くなる、という噂だ。
夜、鼻が詰まって呼吸が苦しくなって眠れない、というのも人生初めての経験だ。
▪️ドイツで風邪をひいたら
① ドイツの人々は滅多に病院に行かないという。
まずはドラッグストアでハーブティーを買う。
ハーブティーの棚が10メートルくらいあり、上から下まで全部。
そこには、
“ジャスミンティーは眠り誘う薬〜♪”と昔、杏里様が歌ったような、効能はあるだろうけれども、どちらかと言えば気分的に落ち着くとか、癒される雰囲気の数多くのハーブティーが並ぶ。
カモミールとかレモンとか、ミントとか。
その中に、明らかな風邪の時用のハーブティーが何種類か、威厳を持って並んでいる(ように見える)
見出しの写真の左側二つがそれ。
グリーンのは薬用茶【解熱・鎮痛】、オレンジのは【咳止め・鎮痛効果】とある。
(クマちゃんʕ•ᴥ•ʔが可愛いので買ってみたら、オレンジのは子供用)
それらはお茶ではあるが、中に注意書きがはいっていて一日5袋まで、とある。
お薬だから、制限がある!
ドイツ人はこういったハーブティーとのど飴をまず買うのだ。
②具合がもっと悪くなったら、薬局へ。
Apotheke :アポテーケ に並ぶ。
ここには薬剤師がいて、処方箋が必要な薬や、薬剤師のみが販売できる医薬品を販売する。
特に風邪引きが多い時期など、店内に入れる人を制限するので、寒空の下、外に並ぶ人々をよく見かける。
ここで症状を説明して、症状に合う薬を出してもらう。
歴史あるアポテーケに寄ると、木製の古い棚がずらりと並び、引き出しから薬が出される。
さながら映画の世界のようだ。ハリーポッターに出てくるお店のようで写真に収めたくなる。
③いよいよまずいとなると、やっと病院へ行く。
私も昨年、数ヶ月風邪が治らず、日本から持ってきた薬もそこを付き、諦めて病院へ行くこととなった。
熱、喉、咳、鼻水🤧、症状に合わせて、やっと効く薬が処方される、と期待した。日本と同様の効果が得られると期待しての受診なのだから。
熱があったので、カロナールが出された。そこまでは納得した。
薬局でハタと気づいたのは、処方箋で出されたけど、カロナール以外は、病院に行かなくてもアポテーケに来れば買える薬じゃない?!
うがい薬、咳の薬、もう見た事あるんですけど?!
で、胃の薬は処方されてない?!カロナール飲むのに?
日本では大抵胃の粘膜を保護する薬が出される。あれがない?!
そして、喉の薬も、咳の薬もハーブ由来のシロップだ。
『…効かないな』と予想する。
で、本当に効きゃあしない💢
日本で出されていたような、薬剤師さんが調剤してくれて、セットしてくれるお粉とか錠剤が出てくるのではなく、全部箱入り。引き出しからそれを出すだけ。
また別の診察日、風邪の症状を伝えると、アスピリンが処方された。
日本でもお馴染みのアスピリンだが、これはお湯200ccに溶かして飲むタイプ。身体を温める、ということは分かる。
しかしこれを飲むと強過ぎて胃をやられる。胃にきついだけで、私の症状の風邪には効かない。
翌日から胃痛に苦しむこととなった。
また別の日。久しぶりに胃腸炎が起き、様子をみていたところ、大腸のS字結腸あたりに痛みが残った。
医師に伝えると、
「レモン由来の良いお薬がありますから、出しときますね〜」
私の頭の中は、
『レモン由来? 🍋…効かないな』
レモンを否定するつもりは毛頭ないが効かなかった。
日本から持ってきた正露丸と百草丸のお世話になる。
二日後に治った。
また別の折、旅行中に外食が続くので、胃もたれを起こした。
もう朝食のパンすら食べられないほどの胃もたれで、持参した新三共胃腸薬は飲み尽くした。
諦めてアポテーケに行く。
その街では歴史が最も古く、王族も通ったという店舗だ。
胃もたれの説明を長々する。ドイツ語で説明して、おや?何となく説明不足かもと思い、英語でも更に伝えてみる。
あれだけ言ったのに、胃の粘膜を改善する薬だと持ってこられたのは、またレモン🍋由来のハーブのシロップだった。
「そういうことじゃない!」と伝えたが、これがベストだと。
ドイツ人って、胃もたれしないの?
しないのかもしれない。うん、しないな。
あれだけこってりの肉🥩食べて、塩気の強いソーセージ🌭食べて、沢山ジャガイモ🥔食べて、甘いデザート🍰や濃いコーヒー☕️飲んでも平気なんだもん。
ヤケクソになる。
旅が終わるまで胃のムカムカは続き、家に帰って、日本の胃腸薬を一袋飲んだら、速攻で効きました(T ^ T)
▪️まとめ
日本の医師Bの考え方は、ドイツの薬に通ずる。
具合が悪くなったら、身体を温めて、ゆっくり養生する。それは大事だと理解はする。
ハーブのような古来からの自己免疫力を高めるものを活用して、病気を直す。それもわかる。
年間100日も休みがあり、療養休暇はそれとは別に2週間くらい平気で取れるドイツとは、そもそもお薬も養生も、何もかも考え方が違うのだ。
でもね、ハーブじゃ治らないの。
5ヶ月風邪が治らなくて、咳が止まらないから背中まで痛くなって、夜も眠れなくて辛いの。
寝てるだけってわけにはいかなくて、家事をやらなきゃいけなくて、犬の世話もしなくちゃいけなくて、どうにかしてよ(T ^ T)
と、言いたいわけです。
あのシロップじゃ治らないんだよぉ💦と言いたいわけです。
あれは物語の中の、森に暮らしてお薬を作る魔法使いみたいなおばあさんが作る、茶色の小瓶に入ったおまじないの液体みたいなものです。
結果、日本から遊びに来てくれる人に、
「ベンザブロックの青い箱と黄色い箱頼んでいい?
それから新三共胃腸薬と冷えピタもお願い🙇♀️」
と依頼することになるわけだ。
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