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そういえば哺乳類だった

子どもが1歳を迎える前、無事に卒乳できた。
(正しくは親の都合でやめたので断乳なのかもしれないけど、意外とすんなりやめることができたので卒乳とする)

離乳食は3食十分に食べていたし、食への執着があっさりしているタイプみたいで食事後に授乳しなくても良さそうな雰囲気だったことがあったのをきっかけに
しれっと回数を減らしていき、約1ヶ月かけて1日2〜3回ほどしていた授乳をなくすことに成功した。

この頃にはセルフ寝をしてもらうために泣いても構わずに寝たふりで入眠を見守っていたというのもあり、
最終的には寝ぐずりなのか、抱っこしてほしいからなのか、授乳してほしいから泣いているのかよくわからなかった。
3日ほどはギャン泣きして寝つくまでに30〜60分ほどかかっていたけどそれも落ち着き、寝る前の授乳がなくても寝てくれるようになった。

授乳をやめたら寂しくなるんだろうと思っていたけど、やり切ったと思えるくらいたくさん授乳したので、意外と思い残すことはなかった。 
寂しさよりも、ようやくのお酒解禁にワクワクした。

断乳成功後1週間経っても胸は張っていたけど、ある日「もう…いいのね…」と悟ったように急激に元通りになった。待って、こんな小さかったか???と信じたくないような現実があるけど、まぁとにかく卒乳できた。

約1年の授乳生活、辛……くはなかった。
いや、大変なこともあった。
ただ、慣れてからの後半は楽だった。
というのも私が面倒くさがりなため、ミルク授乳に向いておらず、最後まで母乳で済んだのは本当に助かった。

母乳育児ができるかどうかは、子のポテンシャル×母体のポテンシャルにかかっている。ほぼ運。 
マウントを取る気はないので許して欲しい(誰に?)。

母乳であれ哺乳瓶であれ飲むのが好きな子もいれば、味にうるさいグルメな子もいるし、全然飲まなくて平気な子もいる。

母体の方も、食生活やハーブティーやマッサージではどうにもならないものもある。
現に、私の母乳の出はよかったけれど、産前から何か意識したことや気をつけて摂取したものなどはほぼない。

なので、私は運が良かっただけと思う。

私が感じた母乳育児のメリット

  • 欲しがったらすぐあげられて楽。特に初期は飲んでおなかいっぱいになったら高確率で寝ていたので寝かしつけいらずで楽だった。
    ミルクの調乳、洗浄、除菌の一連の手間が面倒すぎたので、服をめくれば与えられる母乳育児ができたことは面倒くさがりの私には向いていた。

  • すぐに体重が戻った。
    元々産前+8kgほどで抑えていたけど、産後すぐ母乳育児だったお陰か、1ヶ月後にはほぼ戻った。

  • どれだけ食べても太らないので、ボーナス期間だと思ってよく食べた。
    成長期の時よりもものすごくお腹が空いた。人生で一番お米を食べた期間。
    ただし半年過ぎたあたりから食欲も落ち着いたので、身体が授乳に慣れたんだろうと思い調子に乗って食べるのはさすがにやめた。

  • ミルクの節約になった。
    産前産後でもミルクの値段が上がっていたと思う。ミルク、高い……。よく食べていたとはいえ外食も少なかったし食費にはそこまで影響がなかったので、ラッキーなことに節約にはなった。

  • 授乳されている子の様子はカワイイ
    (ミルクを飲んでいるところも可愛かったけどミルク飲ませる機会が少なかったので)

  • 授乳のため席を外したり、2人で授乳室にこもってひと息ついたり、母親だけが対応できるゆえの時間がなんかよかった。

母乳育児のデメリット

  • 着れる服に制限がある。
    ワンピースはまず着れないし、めくりやすい服を意識して着ていた。とはいえ一時的なものだし、何かを買い足したことはほぼない。

  • 授乳ブラしか身につけられない。
    洗い替えが大変だったけどこんな一時的にしかつけない下着にお金をかけたくないという貧乏性のもと、スタメン3着を着回した。

  • 授乳パッドをつけ忘れると悲惨なことになる。
    「数ヶ月すれば必要じゃなくなるよ」と友人に言われたが、結局最後まで必ずつけていた。

  • お酒が飲めない。 

人前で授乳するわけにはいかないけど、今どき授乳室はわりとたくさんある。
授乳室目当てじゃないと入らなかった施設もそこそこあり、色んな授乳室を利用したのも楽しかった。

授乳ケープは一時買おうか迷ったけど使わなかった。
本当に困ったら羽織りの服で隠すとか、抱っこ紐で隠すとか色々できる。

メリットでもデメリットでもないけど、授乳関連で驚いたのは、年上の女性の「母乳育児か否か」という関心への高さだった。

その心は大した思いではないのだろうけど、
初対面のおばあさんに「おっぱい出てる?!」と聞かれたり、
娘の母乳育児が軌道に乗っていることを嬉しそうにご近所さんに話す母親、
やたらと母乳の出を褒めてくれる義母など、
母乳育児に対するおばさん&おばあさんたちのテンションの高さにはやや引いた。

子どもが育てばどっちでもええやん派、むしろミルクなら夫も同レベルでお世話できるのでそうなってほしかった考えなので、
母乳育児の方が優位、みたいな考え方はもう上の世代で終わりにしていってねと思う。

母乳もミルクもそれなりに大変だし、まずそもそも一日中赤ちゃんの要求に沿ってせっせと授乳をしているということの方が大変で褒めてほしいんだから。

「今日天気いいですね」的なテンションで「母乳?ミルク?」って聞くのはやめて。
せっかくなら「寝れてる?大丈夫?」とかにしてほしい。そして多分ほとんどの人が最初は寝れてないので褒めてほしい。

ついでに、授乳しているから仕方ないんだけど、おっぱいというワードを他人から言われることが増え、それはなんか嫌だった。

下ネタやエロと結びつけたいわけではないし、言う側もそんな気はないんだろうけど、
普段は言わない単語なのに、授乳に関するなら言ってもオッケーみたいになるのが苦手だった。
なので「おっぱいあげてる」とか言わず、いつも「授乳してくる」とか言っていた。
自分のなかの謎の潔癖が出ました。



母乳育児は、前述したように終わってみれば楽だと感じただけで、産後すぐは大変だったことももちろんあった。 

全然上手く飲めない赤ちゃんと、全然上手くあげられない私。強くのけぞる赤ちゃん、げっぷを出すのが下手な私。
夜中に眠くて眠くて授乳するのが辛いな、とか、
びしょびしょになったタオルを何枚も洗濯したりうんざりするようなこともあった。

ただ、自分の人生には縁がなさそうだと思っていたことを経験できたのは、それはそれで面白かった。

乳をくわえる赤ちゃんを見ながら、
「そうか、人間も哺乳類なんだな」としみじみ思った。

パソコンやスマホ、あらゆる家電を使って生活を楽にし、おしゃれをしてメイクをして着飾って、
映画や本やゲームなどの娯楽にいそしんだりと
動物にはできないことをしすぎているので忘れがちだけれど、
結局人間は猿から進化した動物なのだ、ということを強烈に実感した日々だった。

まだあんまり動き回れない赤ちゃんを側でぼーっと見守っているときなんかは、
むかし動物園で見た、我が子たちを見守るチーターの母親や、子猿をおぶったニホンザルたちを思い出した。

哺乳類であることを強く実感することなんてなかったので、そういう意味でも貴重な体験だった。


ちなみに、妊娠発覚から卒乳まで1年半以上禁酒したことになるけど、不思議なことに禁酒自体は全然辛くなく
「このままお酒飲まなくなるかもな」と思ったりもしたけど、
いざビールを飲んでみたら普通にめちゃ美味しくて気を抜くと毎晩飲みたくなるので普通に危ない。


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