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今さら「3月のライオン」---やはり女神が心を照らしてくれるのだ

なぜに私は急にアニメや漫画にハマっているのだろうか?とは思うのだけど、また続いて「3月のライオン」というアニメを見て、おぉこれは!と感心したわけです。

「ちはやふる」となかなかシンクロする物語ですが、「3月」の方がより孤独との戦い、複雑な家族関係が描かれており心が痛い。またアニメしか見ていませんが恐らくマンガとしては名作なのではないかと思います。相当に素晴らしい作品です。

ここでも天才登場
「ちはやふる」同様にこのストーリーでも天才がいます。桐山零くんは15才にしてプロ棋士になったけれども、家族を交通事故で失い、将棋の家の子になったわけ。
やはり天才というのは一般的に子供ができそうなことがうまくできなくて孤立するという表現がされています。

「ちはやふる」でも新やしのぶちゃんがそのパターンで孤独な子供時代を経験しており、またこの「3月」でも桐山くんは孤独な子供だった。しかも彼の場合はその才能によって養父の家の義姉弟からの嫉妬も受けなければならず本当に過酷だったと思う。

義姉・香子への感情
しかしですね、ここが大きな問題で、おそらくっていうか、私的には確実に桐山零くんは香子を好きだったと思うんですよ。香子は激しさと繊細さを併せ持つ女でしかも美しい。孤独をわかっている零くんだからこそ、香子の棋士になれないという挫折、零に対する羨望と憎しみも理解しつつ、また彼女の孤独をもわかるわけ。

また香子も零を憎みながらも信頼していた。恐らく複雑な感情をわかってくれるのは零だけだと知っていたからこそ何度も零のマンションを訪ねていったのだと思う。

零が家を出る時に「引き裂かれる思いで出た」とか、香子の「私から逃げるの?」というセリフ、零の「義姉弟にもなれず、他人にもなれないまま」「(毒をふくんだ言葉でも)聞いていたい」という思いから、二人にはやはり男女としての関係が一回はあったのだと思う。

ひなたへの忠誠
香子への複雑な思いを抱えながら、三日月堂の三姉妹と出会い、心が少しずつ癒されていく。そしてひなたの学校でいじめらていた女の子に手を差し伸べたことで、ひなた自身が標的になってしまうのだけど、それに立ち向かう勇気を目の当たりにして、零は過去の自分が救われたと思うのです。

ここがまた重要ポイント。不器用で孤独な少年に手を差し伸べた女神は少年の心の光なんですよ。零にしても「ちはやふる」の新にしてもそうなんです。新にとっての千早がそうだし、零にとってはひなたちゃんなんですよね。

この心の光は彼らにとって心の支えになるもの。零はこのことでひなたちゃんに忠誠を誓った。助けたかったし守りたかった。

勝負の世界
勝負の世界を描いた漫画で非常に重要なのは、登場人物の背景だと思うのです。「ちはやふる」でもそれぞれの対戦者の過去や現在、読手さんの背景までも描かれていて、そこに至るまでの道のりを描くことで物語に厚みが出てくる。

結果としては勝者と敗者に見えるのだけれども、世界はその二つで成立してるわけではないのです。一番になれないなら、勝てないなら努力しても無駄と言うひなたの学校のいじめっ子や、勝負を諦めている棋士を否定する物語として零のライバル二階堂、先輩の島田の人生がある。
さらに高校に復帰した理由を「逃げなかった記憶がほしい」という部分もここに重なってくるのですよ。

不思議ですが、欲しいものが手に入らなかったとしても努力し挑戦した記憶というものは自信になるんですよね。自信と言うよりも自分を好きになっているという感じかな?
勝負ではないけれど、誰かをとても好きになり奮闘して撃沈したとしても、時間が経つとそんな一生懸命だった自分が可愛く思えるのと同じです。その過程が愛おしいのです。

アニメはシーズン2以上がないからもう制作しないのでしょうかね?
ここから先、零がどのように成長するかをコミックで読んでいきたい。マンガは詳しくないけれど、おそらくこれは名作だと思う。





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