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10cc --- I'm Not In Love 臆病な男の子の言い訳(歌詞解釈だよ)

10ccの1975年くらいに出した名曲「I'm not in love」の歌詞ですが、曲名からして「恋なんてしてない」という強がりの詩です。

私もそれには賛同していますが、私の解釈はもう少し背景があると思っている。
単なる強がりというよりは、臆病なんじゃないかと。
というか、恐らくすでにフラれることを予想してるから、のめりこみたくない、恋じゃないと言い張ってるのだと思う。

I’m not in love
so don’t forget it
It’s just a silly phase I’m going through
これは恋じゃない
だから忘れるな
ただ少し愚かなフェーズに入ってるだけなんだ

まずここは、自分の心に言い聞かせてるパートですね。
silly phaseは迷ってる期間というか、頭がおかしくなってる時なんだと言ってる。誰でもそういう時ありますよね、わかってて沼に入ってる状態の時って。

And just because
I call you up
Don’t get me wrong
Don’t think you’ve got it made
だから君に電話したからって
誤解しないでよ
確実になったわけじゃない

I’m not in love, no-no
(It’s because)
恋なんてしてない
(なんでかというと…)

you've got it madeで恋愛成就的な意味です。つまり確実になったというような意味なので、恋愛確定と思うな、誤解するなと彼女にくぎを刺している。
また彼女に電話する自分自身にも「誤解するな」と再確認している。

I like to see you
but then again
that doesn’t mean
you mean that much to me
君に会うのは好きだよ
でもね、別に君が俺にとって
特別な存在という訳じゃないんだ

So if I call you
Don’t make a fuss
Don’t tell your friends about the two of us
だから君に電話したからって
騒いだりしないで
その事を友達に話したりしないでほしい

I’m not in love, no-no
(It’s because)
恋なんかしてない
(それはつまり…)

はい、ここが最重要箇所です。
若い時というのは、「あの男子、私に興味あるみたい」とかで盛り上がる女子がいるじゃないですか。
彼女がちょっとでも「彼から電話あったよ」とか友達に言えば、そりゃ噂の的になりかねん。
だから電話しても騒いだり噂にしたりしないでほしいと言ってるわけ。
「僕は友達として電話するのであって、だから緊張することもない」とも自分に言い聞かせているような感じ。

ちなみにまだ電話すらできてないんですよ。If I call youという仮定法なわけで。だから自分自身に言い訳しているということになるのです。

(Be quiet, big boys don’t cry
Big boys don’t cry
Big boys don’t cry…..)
(静かに、大人の男は泣いたりしちゃだめ
大人の男は泣いちゃだめ)

この部分はさらに背景が深掘りできるところです。
大の男は泣いちゃいけないという囁き。これは過去の経験ですね。
恋に破れて泣いたことがあるという経験なのでしょう。本当に涙が頬をつたったか、心が泣いたかはいいとして、とにかく失恋して泣いた経験なのです。
これを今このタイミングで思い出してる。電話しようかと躊躇している時にも、恋ではないんだと言い聞かせている時にも、その背景には「泣いちゃダメ」という囁きで、彼がかつて誰かに夢中になり破れた痛い経験があるし、また、すでに未来に起こり得る失恋を想定しているものと思われます。だから臆病になってるわけ。

I keep your picture upon the wall
It hides a nasty stain that’s lying there
壁には君の写真を貼っている
壁の汚れをただ隠すためだけどね

So don’t you ask me to give it back
I know you know it doesn’t mean that much to me
だから返してなんて言わないでね
君も知っていると思うけど
大した意味はないんだから

I’m not in love, no-no
(It’s because)
恋なんかしてない
(それはつまり…)

Ooh, you’ll wait a long time for me
Ooh, you’ll wait a log time
Ooh, you’ll wait a long time for me
Ooh, you’ll wait a log time
時間がかかりそうだ
きっとすごく待たせる事になるよ

恋にのめりこめない、夢中になれない、一歩が踏み出せないといった状況を彼自身もよくわかっていて、だから時間がかかりそうだ、待たせることになると言ってるわけ。

この部分だと、彼女は彼が好きだけれども、彼は友達以上になりたくない感じに聞こえます。そして上から目線じゃないけれども、期待するな、本気になるまで彼女を待たせるってさ、そんな暇じゃねーよ、と女の立場からは反対意見も出そう。
しかし私が思うに、実際に付き合ってもなくて、彼女はそこまで彼の気持ちに気づいてないというか、割と友達くらいに思っているんではないかと。

じゃあ、なんで待たせるみたいなこと言ってんのかというところですよね。
それは、別に本当に待たせるわけではなく、単に自分が臆病から抜け出すのに時間がかかる、告白するまでに時間がかかるということを言ってるだけ。

だって電話すら躊躇してる男をどうやって待つのですか?待つとか待たないとかの問題ですらない。

こう言ってしまうと冷酷かもしれないけど、恋愛に臆病になっている不器用な男子が自分に言い訳して素直になれないという不甲斐ない状態の詩なのです。
しかし、どこかのタイミングで過去が吹っ切れて一歩を踏み出すのだと信じたいなぁと思う。

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