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日記:エッチマンと呼ばれたかった
心臓病での入院で不安にかられたわたしの中に、初めて芽生えた「死んでしまう前にこの頭の中にある記憶を何かに書き記さねば」という気持ちから下手な文章を書き始めました。1歳の息子はまだ文字が読めませんが、フリーライターの妻(文系の超人)は読んでくれています。わたしの人生の物語を誰かに知ってもらえる事が、こんなにも不安を和らげる効果をもたらしてくれるなんてそれまで考えたこともありませんでした。
書くことによって自分が今まで出会った人々に意味を持たせることができたと勝手に思う
意味は読んでくれた人々に勝手に託す
迷惑ですみませんが!これには意味はないけど理由はあり、
わたしの、彼らの、何かの、この失敗だらけの人生が、宇宙をよりおもしろい場所に変えられるという可能性を信じたいからです。
それがわたしの心に平安をもたらします。失敗だらけだけど間違っていなかったと思いたいだけです。さて日記を書きますよ
日記
小雨が降っているがあまり寒くはない。じき桜が咲くだろう。うす青い早朝、傘をささずに駅に向かう途中、おしくらまんじゅうのようにはしゃぎ合う男女5、6名の集団がいた。星雲のようだった。よくみると星雲に入れない、微妙にイケテナイ男子が二人まるでブラックホールか白色矮星のような位置にいてうっすら笑みを浮かべていた。目の奥が死んでいた。わたしは
「──あ~あ、エッチマンと呼ばれたかったな~」と思った。
クラスで女子に人気のあるやつはエッチマンと呼ばれていてめちゃめちゃ女子と肩組んだりおんぶしたりしていたからうらやましかった。わたしは背が小さく火星のちっちゃな衛星フォボスのようだった。いや木星の衛星ガニメデのように不気味なジェラシーの雲でずっしりとしていたかもしれない。特に好きな女子がエッチマンにおぶさってキャッキャ回っていたりすると心臓がドムドムといやな音を立てて自分がブラックホール化していくのが分かった。
ある日勇気を出して「たまにはおれもエッチマンになりたい」
と言ったら「絶対ヤダ~」と言われた────
くそっくそっ アアアア思いだしたくねえトラウマを思い出させやがって
駅についたがボーいつの間にか現場にもついた。
【現場内での出来事はひみつがいろいろあるのでリアルタイムでは詳しく話せません】
仕事ストレスがたまった。
家に着いてから妻に
「合コンってやったことある!?」
とたずねたら
「あるよ。大学の時」
との事だった。わたしは合コンをやったことがない。あれ?心臓がドムドムと…
でもなんかこの気持ち新学期みたいね。春ならではなのか知らないけど、不安なようなくすぐったいような気持ちだ。
4月からは息子が保育園に入る。彼はいつも太陽のようにわたしの心をあたたかく照らしてくれている。おかげでわたしはブラックホール化せずに済んだ。
息子が眠ったあと妻に最近ツイッターではじめたダジャレコミュニティーで考えたダジャレを見せた。ダジャレで妻の気を引こうなんてセンスがコオロギ級だが笑ってくれてよかった。
妻が笑ってくれたダジャレ=
しおれ玉になろう 弱酸性しおれ
ところでビオレママに欲情する作業員の話まだしてないよね!あれは2012年…
日記 おわり
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