見出し画像

スラッシュ・ジャズの刺客


わたし(とんかつ)はものごころついた時からなぜか11という数字が怖い。11には何か不吉なものを感じませんか…?
3.11…9.11…
今回の入院は11月。正確には10月31日から11月10日までの入院でしたが、

その日数は11日間…!!


そして明日は11月11日!!ギャー!!

バ~イオウハザ~~~ド       ツ~~~


 ★怖いので調べたら11月11日はチンアナゴの日だそうです。

さあ、それでは、話の中には、誰かに伝えないと失われてしまうやつもあるので、今日もそれを記しておきます。

そういえば、頭がおかしくなり「感謝」に取り憑かれたのも11日間でした。(「THE SPIRIT CARRIES ON」参照)

1999年 

夜中にバイオハザードをやると殺し屋が来る

という新しいことわざができるくらい(「わたしは死にたくない①②」参照)のめりこんでいたバイオハザードだったが、バイオハザード3(1999年発売)はなんか買う気が起きなかった。ゲーム雑誌を見ると、「ゾンビの動きを見切ってアクションボタンでポイントゲット!」「ポイントを貯めて最強の隠し武器をゲットしよう!」というような事がかいてあり、

なんかゲームとして楽しませようとすればするほどゾンビがTポイントカードみたいな扱いになってる

のがちょっとな~と思った。ゾンビは理不尽で不気味な存在であるべきだ。わたしは理不尽なゾンビの大群に追いかけられたいだけなんだ!これがきっかけとなってなんかゲーム自体に興味がなくなってきてしまった。むしろ

ゾンビより現実のほうが理不尽にわたしを追いかけ回しに来ていた。


この頃は植木屋(街路樹や庭園の樹木の剪定、植樹)の仕事をしていた。危険で力もかなり使うハードな仕事だった。親方や先輩たちは、昼はコンビニの駐車場を占領し(クソDQN)、夜はキャバクラでわがままに豪遊するタイプの方々(クソ)で正直苦手だったが毎日付き合わされた。先輩の派手な遊び(パチンコ、パチスロ、競馬)に付き合わされると、ハードな仕事で稼いだカネ、あっという間になくなったね(ラップ)。

すっかり生活が音楽から離れてしまい、ギターの弾き方も忘れた。カネがなくなりギターをリサイクルショップに売った。



さて、某所に親方が好きな担々麺屋があり、食事はそこでする事が多かった。

親方(トリケラトプス似)「10人だけど入れる?」
担々麺店主(推定50代)「アア、どうもいつもお世話になってます!いらっしゃいませ!」
親方「担々麺10の餃子20(人前)ね。」

腰の低い店主は、こっちがどんな大人数で行っても喜んで迎え入れてくれ、

「これ、サービスです!」

と言って青菜とイカの炒めものや、玉子とキクラゲの炒めものを出してくれたので、わたしは「サービスよすぎだけど大丈夫なんだろうか。うちら以外の客見たことないし」と思っていた。
味はおいしかった。

ある日、また10人ぐらいで担々麺と餃子を食べていたら、人のよさそうな老夫婦がお店に入ってきた。
しかし店主は、老夫婦を一瞥すると、
「今予約で一杯だから、入れないよ!」
と、サービスのイカ炒めを作りながら不機嫌そうに言った。いつもと180度違う酷い態度だ。
すると親方(トリケラトプス)が、
「大将大丈夫だよ、俺たちもうすぐ行くから」
と言っ(てしまっ)たので店主は「チッどうぞ」と言いながら老夫婦をカウンターに座らせた。

人のよさそうな老夫婦は、「担々麺2つお願いします。」
と言った。

店主は無言だった。

店主は俺たちに「これ、いつもお世話になっておりやすんでサービスです!」と、いつもより愛想のいい声をわざとらしく出しながらイカ炒めを持ってきた。

こいつこんな気持ちわりい性格だったのかと、わたしは嫌な気分になってきた。すると今度はいきなり、

「アー!オイオイオイ何やってんだよオメーよォ!」

店主の怒鳴り声が響いた。

「オメー何勝手にふきん使ってんだよオイオイオイオイ!!」

見ると、老夫婦の婦人が近くにあったふきんでカウンターをふこうとして怒られていた。

「アッ、ごめんなさい ちょっと汚れていたもので…」

「アーアーアーア最悪だなアー何勝手に食器拭くふきんでカウンター拭いてんだよ!オメーらのせいで今日はもう営業中止だよ!!もう店閉めっからジジイ、ババア、出てけ!!」

老夫婦は静かに席を立ち、申し訳なさそうに店を出ていった。

店主「すみませんねぇ~ホントああいう訳わかんねえバカ嫌ですよねぇ~皆さんはゆっくり食べてって下さいね!」


……

わたしは、

あの老夫婦がもし自分の両親だったら、と思った。

わたしの両親はわたしの事を心配しているだろう。「東京で音楽をやる」と言って田舎を出たまま5年音沙汰なし。
「あの子は元気かしら。もうすぐ23歳になるわね。」
「きっと音楽が忙しくて連絡できないんだよ。」「そうね、便りがないのがよい便りと分かってはいるんだけど…」「きっとあいつが中学の時に買ってやったギター使って頑張ってるんだよ。ところでそろそろお昼だね。」

「アラ、あんな所に担々麺屋さんがあるわ。お父さんあそこで食べていかない?」「そうだね。おなかがすいたね。」

 

そしたらあからさまに性格悪い担々麺オヤジに理不尽に罵倒されて店を追い出されて、

そんな店で人生の目標を見失った息子がのうのうと担々麺食っていたとしたら!

ギターはとっくにリサイクルショップに売り飛ばしていたとしたら。

ーーわたしは涙がでてきて、「先出てます。」と言って駐車場のハイエースに戻った。

すると、駐車場から見える中杉通りの向こう側を、あの老夫婦が歩いているのが見えた。
さっき担々麺にあんな酷い扱いをされたことなど微塵も感じさせない。

お互いをいたわるように優しく手を取り合って、寄り添い合って、午後の日だまりの中を歩いていた。

ハイエースの中でわたしは老夫婦に対して、いや、

よくわからない何かの神様に対して、「すみませんでした。本当にすみませんでした。」と泣いて謝った。 完

つづく 




 















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?