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残業神(時を司る神)・クロノスとは


いろんな人にしている質問がある。
例えば電車が停車する。ドアが開く。そこにラジコンヘリを飛ばして車内に入れる。ラジコンヘリを車内でホバリング(滞空)させたままにする。ドアが閉まる。電車が走りだす。その時ラジコンヘリは、電車に乗っている人からどう見えるか?

答えは2つに分かれる。

絵と説明が下手すぎるので終了します。



…さあ、では、今日も、伝えなければ永遠に失われてしまう物語を記していきたいと思います!

わたし(とんかつ)はAだと思いますが、人(主に建設作業員)にきくとAB半々ぐらいの答えが帰ってきます。説明が下手なせいか?


2003年 ある建設現場


「刺身食うか?」

Nさん(当時48)はマグロをカッターで切りながらわたしに聞いた。カッターはさっき作業で段ボールを切ってたやつだ。
「いらないです。」

Nさんはかなり珍しい離島の出身で、独特の訛りと思考回路を持っていた。ある日、「飲みに行くか。」と珍しく誘われ、珍しい離島の話を聞こうと思って付いていったら池袋の怪しいゾーン(北口)の多国籍パブだった。
「この店の女は誰でも結婚してくれるヨ。」と言ったNさんは飲みながら婚姻届けを書いて、

東ヨーロッパ系の女性とその場で結婚した。

信じられない野郎だった。わたしは見届け人に名前を書かされそうになって逃げた。

そんなNさんは現場では30人の土工を指揮する職長で、原始人並みの度胸と体力で大きなトラブルも起こさず現場を納めていた。(わたしも30人のうちの1人として働いていた。)

しかし時代はコンクリートから人へ(意味不明)。原始人のパワーより諸葛孔明のインテリジェンスが求められるようになってくると、Nさんのやり方は通用しなくなってきた。工事に遅れが出始め、大事な行政の検査で大失敗をしてしまう。遅れを取り戻すために連日残業が続いた。

N「残業ができる者はいないか。」

夕方帰ろうとした時に訊かれても、始めはみんな協力していた。しかし残業しても状況は悪化の一途を辿り建物の引き渡しの納期も怪しくなってきた。

ある日の朝8時の朝礼。

N「残業できる者はいないか。」

作業前から残業が決まっている状況!疲れきった30名は手を上げなかった。
Nさんは原始人のように吼えた。

「残業をやらない者は俺の現場にはいらない!!今すぐ帰れ!」


素直にみんな帰った。

ガヤガヤ

「せめて定時(17時)まで働かせてから帰らせればいいのに」

「あいつ(N)がバカ過ぎるせいでこうなったんだから自業自得だわ」

ガヤガヤ

わたしは(ゼネコンから会社にすげークレーム行ってんだろうな)とちょっと心配だった。


その日の夜、

現場が放火された。




逮捕されたのはNさんではなく、近所に住む人(放火の前科あり)だった。


ーーところで残業神(時を司る神)・クロノスとは何なのだろうか。
わたしには分からないが、わたしの今(2021)までの経験からすると、「残業をやりすぎた現場はエンディングがバグる。」

事実、放火の影響で現場(全焼)は解体になり、基礎解体の最中に遺跡が発掘されちゃったという「特殊・評価C」みたいなエンディングになった。

ちなみにNさんは離婚した…というかNさんは11回の離婚歴をもつ「離婚のプロ(戸籍のプロ)」らしい。完

つづく



   





 

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