デーブイデーも、シーデーも。/Crane you!(貴様を吊り上げる)
まず、「夢グループ」のポータブル多機能プレーヤーの紹介の映像を是非御覧になって下さい。最高なので何度も観たくなると思います。で、最高なんですけどあんなの(しつれい)誰が買うんだろうとお思いになるでしょうが、もちろんタワークレーンの運転士さんが買うに決まってんだろうが!
タワークレーン、正確にはクライミング式ジブクレーンとはよくでっかい建設現場にあるでっかい柱の上に乗っかってるでっかいクレーンだ。地上から100メートルぐらいの建物になるとだいたい新橋の立ち食いそば・ゆで太郎ぐらいの大きさの運転室にある操縦席に乗り込み操縦するタイプになる。ああ、操縦席・乗り込み。人として生まれて操縦席・乗り込みをしたくない人はいない、憧れの職業!
で、わたし調べですがそのタワークレーンの運転士(オペ)さんは映画マニアの方が多い。揚重と揚重の間や強風など天候の回復待ちで待機時間が長いため、暇つぶしにDVDを観るからだ。CDを聴く人も多い。その通りさあここでポータブル多機能プレーヤーの出番ですよ。
オペさんは早朝現場に来ると弁当と水筒とTSUTAYAの袋を持って颯爽とロングスパンエレベーターに乗り最上階へ向かう。
わたしはある時クレーンのオペさんを最上階に送る際訊ねた。
わたし「TSUTAYAで何借りたんすか?」
オペさん「新ドイツ零年(1991年 仏 ジャン=リュック・ゴダール)。」
わたし「ゴダール好きなんですか。」
オペさん「小津安二郎の方が好きだね。」
ちなみにわたしはロボコップ(1987年 米 ポール・バーホーベン)が好きです。ご安全に!
さて、わたしも一回タワークレーンに乗ってみたくなって、ダメもとでオペさんに訊ねたところ「いいよ。」とのこと。ようし、遊びに行こう!クレーンの中にはうんこが粉になるトイレもあるらしいぞ。うん粉 さあタワークレーンへの秘密の通路を通って、いざ操縦席・乗り込み!
───目の前にそびえるのは、長さ50メートルはあろうかという長い長いハシゴ。オペさんはここを、毎日毎日その手と足で鉄の棒をがっしり交互に掴み延々とよじ登って行くのだ。ツタヤのDVDを背負って。
ちょっと無理──ちょっと実際やってみるとわかるけどハシゴって5m上がっただけでもちょっと疲れます。ちょっと今回やめときました。レバニラとかを食べてからまた来ようと思いました。オペさん曰く、「この仕事やると腕の筋肉がつく」そうです。あと安全帯と安全ブロックはもちろん必ず使います。
と、いうわけで小さくて軽くてリュックに弁当と水筒とデーブイデーと一緒に入れてハシゴ50m上っても大丈夫そうな「夢グループ」のポータブル多機能プレーヤーはタワークレーン操縦席の待機時間にピッタリ!お一人様2台までだそうです。
ところでわたしは、5t未満のクレーンの免許だったら持っていて、ある現場ではクレーンのオペレーターとして働いていたこともあります。5t未満なんかは地上からリモコンで操縦します。真夏の暑い日、生コンをホッパー(ナウシカに出てきたペジテ兵が王蟲をぶら下げるやつ。)に入れてクレーンで吊り上げて生コン打設箇所まで操作して下ろしたらホッパーを開いて生コンをぶちまけてスコップで撒いてコテでならしたらまたクレーンを操作して生コン車まで操作して生コンをホッパーに入れてクレーンを操作してふと、気づいたら現場の土の上でヘルメットかぶったまま上半身裸でブリーフ一丁で横たわっていました(熱中症でキレて発狂した)。すき家ばりのワンオペ。クレーンは人間の何倍もの力があるけど操作するのも、めちゃめちゃ疲れるということを覚えておいて下さい。ていうか
現場に人数が足りないからこうなってしまうのです。しかも給料が安い♡安ぅうい♡
つづく
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