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*「『クレーヴの奥方』事件 –〈教養〉軽視へ抵抗するフランス」

… 2009年、その事件は発生した。



「最後は金目」の財界の要請による大学改悪計画は、フランスでも進もうとしていた。サルコジ元大統領は「『クレーヴの奥方』なんて読んで何なるんだ」と発言した。

『クレーヴの奥方』とは、17世紀末にラファイエット夫人によって書かれた「恋愛心理小説の祖」といわれるフランスの古典文学である。

無知な大統領による下劣な発言に怒ったフランス人の反応は早かった。



一週間も経たない内に、フランス中の書店には、小説『クレーヴの奥方』が平積みにされ、読書会が催され、「私は『クレーヴの奥方』を読む」(« Je lis La Princesse de Clèves »)とロゴを打った缶バッヂまで作られ、フランス中が無教養な大統領への軽蔑を示した。



フランスの若者たちは、文学や思想を蔑ろにし、文系の学問を軽視する反知性主義に断固たる抵抗の意思を表明したのである。

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