Screenshot_2019-12-01___美しい日本__小児マヒの少女を見捨てなかった縄文人__Hiroshi_Matsuura_note

*「小児マヒであるけなくなった少女を見捨てなかった縄文人」

… 縄文人は腹の膨れた妊婦の土偶を作り、生命への畏敬の念があったことを伝えている。

病める者、孤独な者、貧しい者にあたたかい手を差し伸べることは、生殖のメカニズムを教えるよりもっと大切なことだ。

現代の日本人の知性が劣化しているとよく言われる。

そうではない、劣化しているのは知性ではなく感情だ。

◆ 称賛すべき高貴な感情と唾棄すべき下劣な感情

前者は、利害損得を超え、窮状にある人々に手を差し伸べる利他心、田中正造や杉原千畝を鼓舞していた感情で、後者は「桜を見る会」で露呈した「カネさえ儲かれば何をしてもいい」という下劣な感情だ。

北海道の入江貝塚縄文遺跡で見つかった四肢骨麻痺の少女の遺骨を解析した医師たちは、「早い段階で歩行困難になった」という所見を提出した。

歩けなくなった症状は、狩猟採取も火をおこすこともできないのに、当時としては長命に属する二十歳頃まで生きることができた。

これは「村人たちが世話をしなければあり得ない」ことだと医師たちは言う。

縄文人たちは、女の子に〈生産性〉がないから見捨ててしまえなどという卑しい感情は持っていなかった。

まだ医学も思想も発達していなかったが、縄文人たちには生命に対する畏敬の念を持ち、人間のはからいで命を弄んではならないことを知っていた。

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