J2第8節 水戸ホーリーホックvsヴァンフォーレ甲府

大宮、千葉と強敵相手に連勝。
その中で迎える2週間ぶりの水曜日開催のゲーム。
2週間前の試合はヴェルディ相手に完敗。
今節はその時のメンバーが中心になると思われる。
その時の悔しさを晴らすべく水戸へ乗り込む。

一方の水戸は現在15位と順位は高くはないが活きのいい若手が多くいる難敵。
前節新潟には本間到恩のスーパーゴールに屈したが、前々節町田には4-0と大勝。
若手が多いチームだけにハマると危険なチームと言える。

1.君の名は

今節のスタメンはこちら。

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最大の注目は法政大学より来季加入内定している右WB関口正大だろう。
特別指定選手として登録されていることからJリーグの試合でも起用できる。

【JFA・Jリーグ特別指定選手とは】
目的:サッカー選手として最も成長する年代に、種別や連盟の垣根を
           超え、「個人の能力に応じた環境」を提供することを目的と
           する。
概要:全日本大学サッカー連盟、全国高等学校体育連盟サッカー部、
           またはJクラブ以外の大学運営(学校法人)のチームに所属する
           学生選手、もしくは日本クラブユースサッカー連盟の加盟チーム
           の所属選手を対象に、JFAが認定した選手に限り所属チーム登録
           のまま、Jリーグ等の試合に出場可能とする。

恐らく過去に甲府で特別指定選手として出場した選手は中山陸1人。
2018年ルヴァンカップ準々決勝柏レイソル戦2試合に出場。
中でも第1戦では1ゴール1アシストの衝撃デビューは記憶に新しい。
リーグ戦での出場は関口正大が初だろう。

ベンチには関口と同じく法政大学から来季加入内定が決まっており特別指定選手の長谷川元希が入った。

右サイドで積極的に相手DFラインの背後を狙う。
自身のランニング、味方を活かすパス、ポジティブトランジション。
チームに推進力をもたらした。

現状藤田以外にいない右WBに現れた救世主、君の名は関口正大!

2.アグレッシブ

関口に引っ張られるようにヴェルディ戦では発揮できなかったアグレッシブさが出る。
積極的にインターセプトを狙いショートカウンターに繋げていく。
中盤では中村がボールを奪い取っていく。
前線では太田が背後へのランニングやアンカーの脇でボールを引き出し、松田が遠目からでも積極的にシュートを放っていく。

チームとしてもボールを握り、相手の高いDFラインの背後を狙う。
トランジションも速く今シーズン最もアグレッシブな入りをした。

このアグレッシブさが得点を生む。

ゴラッソ!!
GKの手元でブレた素晴らしいゴール。

もちろん決めたシュートは素晴らしい。
しかし、得点までの形が見事であった。

住吉のクリアが奥田に繋がったところをトラップの瞬間山田と山本で挟み込んでボールを奪う。
後ろでボールを動かし攻撃の糸口を探り縦につける。
一度奪われるも中塩の見事な出足で即時奪回で再度攻撃をやり直し、荒木が幅を取りそこへ山本からのフィード。
荒木から太田へと繋ぎ、大外のレーンからハーフスペースへカットインし右足を振り抜き見事なブレ球ミドル。

トランジションで優位に立ち、立ち位置、ボールの動かし方で相手を広げ、素晴らしいシュート。
チームとして作った形を最後は個の力でこじ開けた。

このタイミングで飲水タイムとなる。

しかし飲水タイム明けすぐに追いつかれてしまう。

松崎からの見事なクロスにピットブル。
直前まで小柳の前に立っていたピットブルだったがプルアウェイの動きで関口とのマッチアップとなり上から叩き込んだ。
関口にとっては分が悪いマッチアップとなってしまった。
この場面ボックス内にピットブルと奥田がクロスのタイミングで遅れて入って来た以外に水戸の選手はいなかったことから小柳はそのままピットブルに付いて行っても良かったのではないか?
しかし、関口は直前2日しか練習参加しておらず、小柳も土曜日の千葉戦スタメンフル出場だったことを考えるとほぼぶっつけ本番のような起用だったと考えられることから連携不足は致し方ないと言える。

そして見事なバク転である。

が、しかし!
甲府はすぐに勝ち越し。

キックオフの流れから勝ち越しに成功。
中村の見事なスルーパス。
新潟明訓高校の1年後輩関口の活躍に刺激を受けたか攻守両面で存在感を発揮した中村。
武田、野澤の鉄板コンビに食い込んでいけるか?

松田にとっては移籍後初ゴール。
ドゥドゥの怪我もありシャドーの一枠を巡って松田、太田が共に結果を残した。

3.次への糧に

後半から水戸は3枚代え。

流れは水戸へ。
特に山口一真の起用が当たる。
松崎と共に積極的に仕掛けることによりDFラインをズルズルと下げられていく。
一方で2人の背後、平野の両脇にはスペースがあっただけに甲府としては冷静にボールを握りこのスペースを活用したかった。

後半から投入された乾が負傷したことにより村田を投入し、前線の枚数を増やす。

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攻めて攻めて攻めきる布陣。

しかし落ち着いて対応する甲府。

66分にピットブルに代えて中山を投入する。
後半頭の3枚代えといい66分に交代枠を使い切る積極性。

飲水タイムを境により流れは水戸へ。
セカンドボールを回収できず水戸が押し込む時間が続く。
マイクで収められないことが1つの要因ではある。


そして問題のシーンが77分。

試合後秋葉監督は正しく判定して欲しかったとのコメントを残している。

この判定は間違っていたのでしょうか?

「オフサイドポジションから移動した、あるいは、オフサイドポジションに立っていた競技者が相手競技者の進路上にいて相手競技者がボールに向かう動きを妨げた場合、それにより相手競技者がボールをプレーできるか、あるいは、チャレンジできるかどうかに影響を与えていれば、オフサイドの反則となる。その競技者が相手競技者の進 路上にいて(相手競技者をブロックするなど)相手競技者の進行を妨げていた場合、 その反則は第 12 条に基づいて罰せられなければならない。」

これを見る限り
オフサイドポジションに立っていた小柳の進路上にいてボールに向かう動きを妨げた場合、小柳がボールにチャレンジできるかに影響したと考えればオフサイドの判定は正しい判定と言えるのではないか。
しかし、一瞬の出来事でありオフサイド対象者を見間違えた可能性も考えられることから結論は何とも言えない判定となった。

この判定の直後長谷川が投入される。
伊藤監督の大宮のアカデミー時代の教え子となり山田陸とは中学、高校と共にプレーした仲である。
同時に武田を10分後には新井を投入し勝ちきる姿勢を見せる。

しかし…

ここ2試合あまり使われなかった2ライン間に入れられ、仕掛けられてしまった。
起点となった平野の楔のパスのタイミングでこのスペースに3人浮いてる形となっている。
サイドはボールが出てからスライドしても間に合うことから中山陸はもっと絞っていなくてはいけなかった。
また、長谷川のポジションもボールウォッチャーとなっていて外山に遅れをとってしまった。

チームとして勝ちきれなかったことは課題だが若手はこれをいい経験としなくてはいけない。

4.あとがき

ヴェルディ戦から2週間。
チームとしてもあの試合を境に守備への意識も高まり大宮、千葉に連勝。
今節はそのヴェルディ戦のメンバーが中心となったが全く違う試合となった。
開始早々からデビュー戦となった関口の推進力に引っ張られるようにチームもアグレッシブに前への姿勢を高め戦えた。
後半水戸の勢いの前に呑まれてしまい最終的に失点してしまい勝ち点1に終わってしまったが悲観するようなゲームではなかった。
最後守りきるために何が必要となるのか。
このメンバーがこの回答を得た時甲府は昇格候補と呼ばれる立ち位置まで登り詰められるのではないか。

また、特別指定選手2人について試合後の伊藤監督のコメント。

「しっかりとよくやってくれた。関口はスタメンでも遜色がない。長谷川は途中出場で乳酸が溜まるなど難しい状況でいい経験ができた。次に試合に出るチャンスがあると思うのでこれを糧にして欲しい。 」

今後の2人の活躍にも期待したい。

MOM 松崎快
1試合通して質の高いプレーを見せ続けた。
昨年山形で活躍し1年でC大阪に引き抜かれた坂元のようなインパクトを残しそうな雰囲気がある。
この選手も伊藤監督の教え子であり、昨年甲府の練習にも参加していた選手である。
惜しい選手を逃したということになるかもしれない。

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