見出し画像

観戦記⑤

5回目の今回訪れたのは韮崎中央公園陸上競技場。
ヴァンフォーレ甲府の練習場の隣にある陸上競技場となる。
第70回全日本大学サッカー選手権大会2回戦、国士舘大学対鹿屋体育大学の一戦。

1.学校紹介

国士舘大学

☆全日本大学サッカー選手権大会最高成績
優勝 4回(第31回大会、第45回大会、第47回大会、第48回大会)

☆今季成績
関東大学サッカーリーグ 7位
総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選 2回戦敗退

☆プロ内定選手
前川智敬(アスルクラロ沼津内定) 
谷口栄斗(東京ヴェルディ内定)
内田瑞己(カマタマーレ讃岐内定)
梶谷政仁(サガン鳥栖内定)
有田稜(いわきFC内定)

☆主なOB
伊藤彰(前甲府監督)
武岡優斗(元レノファ山口FC)
柏好文(サンフレッチェ広島)
金子昌広(元ツエーゲン金沢)
荒木翔(ヴァンフォーレ甲府)

鹿屋体育大学

☆全日本大学サッカー選手権大会最高成績
ベスト4 2回(第61回大会、第62回大会)

☆今季成績
九州大学サッカーリーグ 優勝
九州大学サッカートーナメント大会 準々決勝敗退

☆プロ内定選手
根本凌(湘南ベルマーレ内定)
五十嵐理人(栃木SC内定)

☆主なOB
田中英雄(FCティアモ枚方)
福田晃斗(アルビレックス新潟)
福森健太(ギラヴァンツ北九州)
松田天馬(京都サンガFC)
樋口雄太(サガン鳥栖)

2.スタメン

国士舘大学

1.飯田 雅浩【青森山田高校】3年
2.前川 智敬【神戸U-18】4年☆
3.谷口 栄斗【東京Vユース】4年☆
16.大石 悠介【山梨学院高校】3年
5.内田 瑞己【平塚学園高校】4年☆
14.布施谷 翔【駿台学園高校】3年
15.綱島 悠斗【東京Vユース】3年
19.布方 吐夢【日大藤沢高校】2年
24.塚越 誠也【日本航空高校】3年
10.棚橋 尭士【横浜FMユース】3年
11.有田 稜【小倉工業高校】4年☆

ベンチ
21.市橋 和弥【町田ユース】3年
6.中村 駿【東福岡高校】4年
25.森田 礼【実践学園高校】2年
7.伊藤 稜馬【静岡学園高校】4年
8.高橋 尚紀【前橋育英高校】3年
18.弓場 堅真【浜松開誠館高校】3年
23.東條 敦輝【鳥取U-18】3年
12.金澤 哲流【流通経済大柏高校】4年
9.梶谷 政仁【正智深谷高校】4年☆

鹿屋体育大学

1.木村 壮宏【鹿島学園高校】4年
3.吉田 真那斗【浜松開誠館高校】2年
4.小屋原 尚希【日本大学藤沢高校】4年
5.宮嵜 海斗【熊本ユース】3年
14.木橋 朋暉【東福岡高校】4年
6.比嘉 将貴【日章学園高校】3年
10.山口 卓己【大分高校】3年
13.城戸 杜【大分U-18】4年
21.水野 智大【刈谷高校】3年
9.根本 凌【上田西高校】4年☆
18.山本 廉【長崎U-18】3年

ベンチ
17.野知 滉平【静岡学園高校】1年
16.梶山 かえで【日大藤沢高校】3年
27.加藤 大晟【浜松開誠館高校】1年
7.永松 恭聖【大分高校】2年
8.植田 恭生【鹿島学園高校】3年
23.原田 海【米子北高校】2年
25.渡辺 怜歩【静岡学園高校】1年
11.五十嵐 理人【前橋育英高校】4年☆
26.廣田 勇心【熊本ユース】1年

☆はJリーグ内定選手

3.試合展開

立ち上がりは鹿屋体育大学が押し込む展開となる。
最初のシュートは3分。
FKのこぼれ球から城戸選手が放つ。
鹿屋体育大学はSBが高い位置で幅を取りながら、中盤のサイドの選手が中央に入り、中盤を厚くしてテンポ良くパスを回していく。
一方の国士舘大学はミスも重なり、ボールを持つことができない。
10分を過ぎた辺りで国士舘大学が続けてCKを獲得するが、決定機までは作れない。
18分に国士舘大学がワンチャンスをものにして先制する。
鹿屋体育大学の中盤でのミスからボールを奪うと有田選手からのパスに抜け出した棚橋選手がペナルティエリアの外から右足を振り抜くと豪快にネットを揺らす。
先制を許した鹿屋体育大学だが、ボールを保持しながら攻め手を探る展開は変わらない。
ボールを持てない国士舘はボランチの塚越選手がDFラインに降りてビルドアップに加わり、ボール保持を企む。
30分にはまたしても国士舘大学がワンチャンスをものにする。
左サイドからのスルーパスに有田選手が抜け出すと飛び出してきた木村選手の脇を抜けるループシュートを放ち、国士舘大学に追加点が入る。
2点のリードを許した鹿屋体育大学だが、ボールを保持する時間は変わらずに長いが徐々に前進できなくなる。
44分に鹿屋体育大学はCKを獲得すると右サイドからのキックに小屋原選手がヘディングシュートを放ち、決定機を作る。
その流れでペナルティエリアでもつれると根本選手が顔を蹴られ、PKを獲得する。
キッカーは根本選手。
飯田選手の逆を突き、鹿屋体育大学が1点を返して前半を終える。
後半になっても鹿屋体育大学がボールを保持し、国士舘大学陣内でプレーする時間が多くなる。
49分に鹿屋体育大学は右サイド深い位置でのFKが直接ポストを叩く場面を作る。
51分には国士舘大学にチャンス。
右サイドを棚橋選手が単独でのドリブル突破からクロスを入れるとファーサイドの布方選手がヘディングで合わせるも枠外へと外れる。
56分に国士舘大学は2トップの関係で棚橋選手のシュートチャンスを作る。
57分には鹿屋体育大学が先に選手交代を行う。
山本選手に代え、栃木SC内定の五十嵐選手を投入する。
この交代により、根本選手を谷口選手とのマッチアップから外す。
根本選手が谷口選手に抑えられていたこともあり、立ち位置を変えることで起点を作りたい狙いもあったのだろう。
ボールは変わらずに持てる鹿屋体育大学だが、国士舘大学も慣れてきたことでビルドアップでのミスが増えだし国士舘大学が押し込む流れとなる。
すると61分に国士舘大学が右サイドからのロングスローに綱島選手が合わせ、再びリードを2点に広げる。
69分に鹿屋体育大学が決定機を作る。
左からのクロスに五十嵐選手が合わせるがポストに阻まれる。
70分に鹿屋体育大学は城戸選手に代えて渡辺選手を投入する。
74分に国士舘大学が中盤でボールを奪うと有田選手のパスから棚橋選手がシュートを放つも枠外へと外れてしまう。
このプレーでボールを奪った際に布施谷選手が負傷してしまい、76分に伊藤選手との交代を余儀なくされる。
2点を追いかける鹿屋体育大学は79分に2人の交代を行う。
比嘉選手と水野選手に代え、梶山選手と廣田選手を投入する。
この交代で3バックに変更する。
80分には国士舘大学は布方選手に代えて高橋選手を投入する。
87分に国士舘大学は棚橋選手が右から持ち込みシュートを放つがクロスバーに阻まれる。
89分には国士舘大学は有田選手に代え、サガン鳥栖内定の梶谷選手を投入する。
90+2分には共に交代を行う。
国士舘大学は前川選手に代えて中村選手、鹿屋体育大学は根本選手に代えて原田選手を投入。
このまま試合は動かず国士舘大学が準々決勝進出を決めた。

4.注目選手

国士舘大学

3.谷口 栄斗
東京ヴェルディで育ったCB。
来季は古巣への出戻りも発表されている。
全てにおいてハイレベルなCBであり、チームを統率するキャプテンシーも備えている。
読みも鋭く、強さも備えどんなFW相手にも対応できる柔軟性も持った選手である。
ヴェルディ出身らしく足元の技術もあり、攻撃の起点にもなれる。
来シーズン東京ヴェルディの中心として活躍しても不思議ではない。

10.棚橋 尭士
高校時代には年代別代表の常連であり、U17W杯にも出場した実力者。
当時のチームメイトの多くはJリーグでプレーしており、谷晃生(湘南ベルマーレ)や菅原由勢(AZ)、久保建英(マジョルカ)と日本代表にも既に選ばれている選手と比べると出遅れているかもしれない。
だが、ここから一気に追い抜いていくだけの才能を持ち併せている。
サイズのある選手ではないが、テクニックレベルは高くライン間で浮く上手さがありスペースが無くても輝ける選手。
ドリブルのリズムは独特で簡単に止められる選手ではなく、テクニックがありドリブルが巧みな選手にありがちな点が取れないタイプでもない。
数字も残せる選手であり、今すぐにでもJリーグで活躍できる能力を持っている。

11.有田 稜
いわきFCへの加入が内定している選手であるが、いわきFCらしくフィジカルを全面に押し出した選手となる。
高さ、強さを武器に前線で起点となれる選手であるが器用さも兼ね備えている。
味方を活かすこともでき、守備においてもハードワークできるだけにストライカーとして結果を出せるかがプロ入り後のステップアップに必要となるだろう。
いわきFCでフィジカルレベルが上がることは間違いないだけに来シーズンはJ3の舞台で得点を量産する姿が見たい。

15.綱島 悠斗
谷口選手同様東京ヴェルディ出身の選手となる。
元々はCBが本職の選手のようだが、現在はボランチを務めている。
冨安健洋(アーセナル)、板倉滉(シャルケ)、伊藤洋輝(シュツットガルト)とサイズのあるCBもボランチもこなせる選手が日本サッカー界に増えてきているが、CBでプレーする選手が多くなっているだけにサイズのあるボランチとしてプレーできると自身の価値も高まるのではないか。
ヴェルディ出身らしく足元の技術に長けているが、ダイナミックさが増すと恐さも身についてくる。
チームのスタイルもあるが、ゴール前に攻め上がって来られると相手としては嫌である。
長崎のカイオ・ジュニオールのような選手になって欲しい。

16.大石 悠介
山梨学院高校時代には宮崎純真(甲府)と共にインターハイ優勝に貢献。
高さ、強さ、速さを兼ね備えた選手であるが、利き足の左足から放たれるキックにも特徴がある選手。
キック力も精度も高く、一発のキックで局面を変えられる。
現代サッカーにおいては評価されるタイプの選手である。
豪快さを兼ね備える選手なだけに繊細さが身につけばプロの世界でも活躍できる選手となるだろう。
来シーズンの活躍でプロ入りを掴み取って欲しい。

鹿屋体育大学

1.木村 壮宏
守備範囲が広く、ビルドアップにも積極的に参加できる現代的なGK。
DFラインの背後をカバーする場面もいくつか見られ、飛び出すタイミングや判断ミスは見られなかった。
ペナルティエリア内でもハイボールの処理は安定感があり、安心して背中を預けられるタイプのGKである。

4.小屋原 尚希
足元の技術が高く、フィードの上手いCBとなる。
左右両足を器用に使いこなし、縦パスやサイドチェンジで攻撃の起点となった。
CBとして身長176cmとサイズが無い選手だが、読みは鋭く体を入れるタイミングも上手くサイズが無くても頭を使い戦える選手である。
キャプテンとしてもDFリーダーとしてもチームを引っ張り、まとめあげていた。
甲府の山本英臣のような選手である。
卒業後もサッカーを続けるかはわからないが、まだまだ見てみたい選手である。

9.根本 凌
上田西高校時代にはチームを選手権ベスト4に導いたストライカー。
湘南ベルマーレ内定選手の片鱗は見せたが、対峙する相手が悪かった。
この試合では谷口選手や大石選手の前にシャットアウトされたが、サイズもあり裏抜けもできる万能型のストライカーとなる。
攻撃の起点となり、周りを活かすことも自らフィニッシャーとなることもできる。
山﨑凌吾(名古屋グランパス)、野田隆之介(京都サンガFC)、町野修斗(湘南ベルマーレ)とサイズがあるが高さや強さ以外で勝負できるストライカーは湘南ベルマーレが好きなタイプの選手ではないだろうか。
来シーズン多くの出場機会に恵まれると予想している。

10.山口 卓己
攻撃を司るプレーメーカー。
攻守に運動量豊富でテンポよくボールを動かし、チームを動かす選手。
身長は165cmと小柄な選手だが、鹿屋体育大学は松田天馬(京都サンガFC)や樋口雄太(サガン鳥栖)、福田晃斗(アルビレックス新潟)と小柄な中盤のテク二シャンをJリーグに排出してきた実績を持っている。
彼らに続き、プロ入りしてもおかしくはない逸材である。
来シーズンの活躍に期待したい。

21.水野 智大
右サイドでプレーした左利きの選手。
サイドに張り、ドリブル突破を仕掛けていくタイプではなく中央に入りライン間やボランチ脇で起点となる働きを見せた。
視野が広く、逆サイドを意識できる選手であり大きな展開も見せることができる。
サイドで起用されていたが、中盤ならどこでもこなせる器用さもありそう。
鹿屋体育大学のサッカーにフィットしている選手であり、最終学年となる来年再び全国の舞台に戻ってきてほしい。

5.あとがき

久しぶりの大学サッカーはレベルも高く、面白い試合であった。
この試合を山梨で開催してくれたことに感謝したい。

国士舘大学はフィジカルレベルも高く、ワンチャンスを仕留められる勝負所もわきまえたチームであった。
このレベルでも関東リーグでは7位とは驚きである。
3年生に逸材も多く、来年の活躍も楽しみなチームではあるが今大会もダークホース的な存在となるのではないか。
大石選手や塚越選手と山梨の高校サッカーで活躍した選手の姿も見られて良かった。
また、OBの荒木翔選手も会場に来ていた。
次は関東王者流通経済大学。
一泡吹かせて欲しい!

鹿屋体育大学のサッカーは個人的に好きなものであった。
Twitterで私の呟きにコメントを頂いたこともあり、応援していたが今後も楽しみにしたいチームだ。
九州の大学サッカーは見る機会も無かったが、全国には良いチームはたくさんあるのだなと感じた。
山梨から鹿児島まで見に行くのは容易ではないが、全国大会出場時には観戦に訪れてみたい。
この試合で4年生は引退となると思うが、お疲れさまでした。
下級生にはこの悔しさを来年以降晴らしてもらえたらと思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?