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動物病院での犬と猫の病気:下痢

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動物病院では毎日のように下痢の診察が行われています。病気の話はもちろんですが、ご家族が自宅で愛犬愛猫の下痢を発見したとき実際にどうすればよいのか? そのあたりを詳しくお話ししてい…
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#蛋白漏出性腸症

動物病院での犬と猫の病気:下痢(1) 犬と猫はどちらが下痢しやすい?

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 それでは今回より動物病院で診察されることが多い犬と猫の病気についてお話ししていきます。 まずは動物病院の毎日の診察でもっとも多いと言ってもよい病気、 それは 犬の下痢 です。 私の働いている動物病院の場合をお伝えすると、毎日犬の下痢の診察は何件かは必ずあります。 そして多い日は一日の診察の50%近くが下痢の診察 という場合もあります。 とにかく犬は猫と比べてとてもお腹が崩しやすいんです! 愛犬の下痢のため診察に来

動物病院での犬と猫の病気:下痢(13) 蛋白漏出性腸症

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 慢性膵炎 についてお話をしました。 今回は血液検査でわかる下痢につながる病気の「蛋白漏出性腸症」についてお話をします。 3⃣蛋白漏出性腸症以前にもお話ししましたが、大部分の下痢がここまでの問診、身体検査、便検査により原因の推測ができ、その原因に合わせた治療をすることで下痢は治ってくれます。 そしてここまでの治療で治らなかった下痢に関しての次のステップとしては血液検査を実施することになります。 蛋白漏

動物病院での犬と猫の病気:下痢(14) 蛋白漏出性腸症のつづき

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 蛋白漏出性腸症 についてお話をしました。 「低アルブミン血症」の鑑別診断の結果、やはり蛋白漏出性腸症が一番疑わしい。 そうなった場合は、ご家族に次の段階へのお話をするようになります。 それは 内視鏡による病理組織検査を行うかどうか のお話です。 なぜ病理組織検査を行う必要があるのか? これからその理由を説明したいと思います。 難しい病気の名前なども出てきますが、そのあたりは読み飛ばしてもらっ