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BTS釜山コン体験記② 2時間超えカオスの海。ライブ始まっちまった悲しみに。

ここはどこ?わたしはだれ?
どこへ向かって歩けばよいの?

地下鉄駅と会場を結ぶ通りにいるのは確かだが、ごった返し方がエグ過ぎて、方向感覚を失う。

道の両サイドにはスポンサーブース。プチイベントを開催して景品を配ったりするから、人が群がって列が出来る。

チケットブースへの列かと勘違いする。確認する。ヒュンダイやがな!

なんだろうか。

ハングル大サーカス団と
千日前のちんどん屋が合わさったみたいな。そこへもって
誰やねん、はてなマークのひとたち。

想像だが……募金?メンバー写真を見せて売ってるの?配ってるの?宗教の勧誘?なんか営業の人?

これはあかん。自分に言い聞かせる。

脇目を振るな。競技場だけを目指せ。
そのうち見えてくるはずだ。

チケット交換のお客様はこちらと書かれた大きな看板か、メガホンで「こちらでーす!」
と叫んでくれる天使が。

しかし

進めば進むほど、渾沌が増すのみ。
(案内あったかも知れないが見えなかった)

およよ!と、昭和驚き言葉を発してみるが、意味ない。

焦る。汗が出る。
この日の釜山は秋とは思えない暑さで、ジリジリ西日が激しい。  

ペットボトルをちょい飲み。 
ほんじつ自分はこれ一本の命だ。大切に飲まなければ。戦争映画で彷徨い歩く兵隊の気持ち(比べてはいけないが、浮かんだ)

とにかく正規スタッフだ。
俗にいうスタッフTを着てる人。
群衆の中から血まなこになって捜す。

いた!

だが、そこには世界中のファンが
まるでゾンビのごとく群がっている。

チケットブースは?
トイレはどこ?
当日券ってないの?
グッズはもう売り切れたの?
暑いんだけど自動販売機どこ?
このチケット番号の入り口は?


文法無視のカタコト英語や
母国語の関係でRの舌回し過ぎや
韓国語を覚えたてで通じてないとか

単語ばかりで何語喋っとんの?
(自分はこの類)とか。


世界のゾンビに囲まれる
どのスタッフの顔にも

【疲労困憊です】
【質問してこないで】
【分かりやすい英語で喋って】
【もういやこんなバイト! 助けて!】

そんな文字が踊っていたように思う。

私もスタッフ側の仕事経験があるから
これには同情した。
世界中のファンからの質問攻めってっ。
身の毛もよだつ現場である。

だが同情して怯んでる場合じゃない。時間もずいぶんロスしている。

ゾンビ化した私も質問を繰り返し、ようやくそれらしき列が見つかった。

ところが

途切れたりぐちゃぐちゃしてたりで
どこが最後尾かも分からない。

日本なら【ここが最後尾】看板を持つスタッフがいる。必ずや配備させる。
(これもあったかも知れないが、見えない)

半信半疑のまま並ぶ列がゆるゆると進み
やっと広場みたいな場所へ入った。
チケットブースらしきテントが並んでいる。

この日いちばんのテキパキスタッフが
指示を出す。

『各テント前に、アルファベットが見えますね? あなたの名前の頭文字を目指して、進んでください』

おおっ!なるほど。

世界中の身分証を確認するから、アルファベットで分けているのか。さすが世界をまたにかけるアーティストだ。(新人アーミーなので、ここですでに感動)

BTSのライブに来たんだ。

さっきまでクソミソにグチってたくせに
いっきにワクワク高揚し始めた。
そして無事にチケットと小物セットを貰い腕にリストバンドが巻かれる。 


開演まであと30分。


ちょうどいい。
なんやったら、余裕やん。

会場バックに写真を撮ったりしてから、さて、いちばん近くのスタッフにチケットを見せた。

「右の、あの列に並んでください」

行く。
え?違う?

またスタッフにチケットを見せる。

「それは左廻ってから、向こうの列です」

行く。
え?ここも違う?

聞くスタッフ聞くスタッフ違う方向を言う。

なんやねんっ!!

後から想像するに

屋内に入場していく人たちだけでなく

周辺でもまるでひとつのフェス状態という
現場カオスが起きてたことと

入場まで並ばせる道が
円を描くような形で列が伸びると
最後尾がどっちなのか
スタッフたちにも把握出来てなかったこと

それと
スタッフ配置、時間配分、その他もろもろ。
会場周辺の運営側の設計図
予測の範疇を超えていたのだろう。


「列はあっちなの?」
「さっき、あなたこっちと言ったよね」
「どっちなのよ!」

開演時間が迫り
私たちゾンビも殺気だつ。

最後に聞いたスタッフは
もうかんぜんにゾンビに感染していたのか

「ビュー!(👈)、シャー!(👉)」

身振りと擬音だけだった。

こうなると、私たちゾンビ同士が
互いにリストバンドの色を見せ合い
あっちだこっちだと協力する。

アーミーって凄い。
これぞ世界平和じゃないか。

私は、ひとりの女の子と色が同じだった。

ビュー、シャーと言われた方向は
広場を大きく廻りこまないといけなかった。
その子と小走り。

なんでこないなことに?
体力問題があるから、干支5回まわってるんやから、考えに考えて来たのに

広場を小走りて。 
釜山までランニングしに来たんじゃないんだよぉ。

開演10分前。

女の子は20代くらいで、フィリピンから母親と来たらしい。「誰が好き?」と聞かれて「えへへおばちゃんはね、テテ」と答えたら「私も!」と顔をほころばせた。チケットが当たらなかったお母さんは、会場周辺で音漏れ聞いて待つそうだ。

入場のための列最後尾に着いた。
ペットボトルの水を飲んでホッとする。
あとは中に入るだけだ。

この数分後

突如花火がぶち上がること。

その時点ではたったの1ミリも
予想していない。

              ③へつづく。


                つづく。



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