月刊Synthwave生活 2020年5月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
このnoteにおいては、いつも書いているこのSynthwaveの記事以外にも、昔ちょくちょく書いていた「よく分からない変なマッサージ動画の紹介」というコンテンツもあるのですが、その中の一つ、インドの謎のマッサージ師のAsimさんの動画を紹介した記事が、ときたま思い出したかのようにアクセス数が伸びる事があります。どこからあの記事にたどり着いたのか不明ですが、私が気合を入れて書いた長文の記事よりも、あの記事の方が伸びるので、またちょっとずつマッサージ動画の記事も復活していこうかと考えています。特にインドのAsimさんは、マッサージそのものより顔芸の方が面白いのでお勧めです。

Trevor Something - microwaves

Synthwave界ではベテランの域に入るTrevor Somethingの最新作。以前からデペッシュ・モードの影響の大きい作品を度々作っているTrevorだが、今回は何気に一番デペッシュ・モー度が高い作品かもしれない。「No One Cares」のシンセのリフが最高に素晴らしい。一つの到達点という感じ。あとは「Do It To Me」のヘヴィでローファイなドラムマシンに深くリバーブがかかっている感じとか、印象深い。

Alpha Chrome Yayo - 19th Hole

初期のSynthwaveのような、純粋に80年代のパロディをがっつりやりたい、というような衝動が詰め込められた、なかなかの怪作。80年代の何でもないようなテレビ番組やCMの何でもないようなBGMとか、ただ単に賑やかしの為に作られたような音楽を強引に現代に復活させる試み。ゲーム音楽もしくはMIDI音源的な音色が主体。タイトルとかは、どうもゴルフを題材にしているようだが、私はゴルフの事は一切分からないので割愛…。

Carpenter Brut - BLOOD MACHINES OST

Carpenter Brutによる、「BLOOD MACHINES」という映画のサントラ。予告編しか見ていないが、SFホラー映画の模様。音楽的にはもちろんCatpenter BrutらしいDarksynthサウンド。サントラなので、静と動のメリハリがはっきりしているというか、激しさ一辺倒のDarksynthアルバムとは違って渋い仕上がり。Ogreの「195」に近いかもしれない。

AURAGRAPH - MEMORY TRACER

基本的にはChill系なSynthwaveで、ローファイ・アナログな音色がメインだが、他の同系統のアーティストのようなぼんやりした音像と比べると、いくらか輪郭がはっきりしているような印象。全体的にスペーシーなシーケンスが多めで心地よい作品。

MASTER BOOT RECORD - FLOPPY DISK OVERDRIVE

全編打ち込みによるヘヴィメタルを作り続ける孤高の存在、MASTER BOOT RECORD。今回ももちろんいつもの打ち込みシンセメタルで、全くぶれていない!今回のテーマはフロッピーディスクらしい。しかも全部の曲のタイトルに拡張子が付いている。曲調とテーマが全く噛み合っていないのもいつもの事だが、もはや誰も突っ込めない!

Lord Phobos - Phobos II

TWRPのギタリストによるソロ作品で4曲入りのEP。当然のことながらギターが主役の作品。基本TWRPと同様の路線で手堅く仕上がっている。

Roxi Drive - Electric Heart

The MidnightタイプのポップなSynthwaveで、女性ヴォーカル。王道というか、ベタといえばベタなんだが、でも、完璧。ジャケットのデザインもまた完璧で、マジでブックオフの250円のコーナーにあってもおかしくないくらいに時代感が再現されている。髪型、服、ロゴのフォント、どこをとっても80年代末期の空気が完全再現されているので、これをブックオフに売りに行ったら、店員は思わず250円のコーナーに並べてしまうかもしれない。(褒めているのかけなしているのか分からん文章になってしまった...)

HØRD - Bodies

大体Synthwave、Darksynthの範疇に入るサウンドだと思うが、メンタリティとしてはポストパンクのような気がする。AVANT! Recordsというレーベルから出ているが、多分ポストパンクがメインのところっぽいし。しかし、何とも言えない独特の味わいがある。これもまた、ヘヴィでローファイなドラムマシンにがっつりリバーブをかけたようなリズムが特徴的。

AVANT! Records - Year Of The Mask

上のHØRDが気になったので、このAVANT! Recordsのコンピレーションも聴いてみた。しかしこのタイトル、確かに今年はマスクの年なのかもしれない。ポストパンクと、レトロ系EBMのバンドが収められている。めっちゃClan of Xymoxの影響下にあるバンドが多い気がする。全体的にローファイなサウンドで、「ローファイ風なエフェクトで味付けしてみました」って感じではなく、実際の80年代の低予算・質素な機材で録音した音の空気感を再現を試みているのではないか?というのがポストパンク、レトロ系EBMに共通した印象。