月刊Synthwave生活 2020年10月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
ストリーミングの音楽サービスは、長らくGooglePlayMusicを使っていたんですが、なんか「サービス終了するからYoutubeMusicに移行しろ」という案内が来たので移行してみました。YoutubeMusicの公式が用意しているっぽいプレイリストがいくつかあり、その中には「はじめての○○」と言ったジャンルごとの入門編プレイリストがあるようです。その中の一つ「はじめてのクラウトロック」。なかなかのパワーワードで軽く衝撃をうけました。「はじめての」って書いてあるから、じゃあちょっとクラウトロック入門してみようかな?となるかもしれませんが、プレイリストに並ぶ面々を見て、これはなかなか覚悟が必要だろうと思いました。実際、いまこのプレイリストを聴きながらこの文章を書いていますが、さっきから10分ほどよく分からないドローンだけが聞こえています。

というわけで今月もレビューに行きましょう。

Your Sister Is A Werewolf - Captain Video

何だろうこの名前は。「お前の姉ちゃんウェアウルフ」みたいな感じだろうか。内容の方は、1曲目の出だしから何ともがっつり掴まれるサウンド。なんというかとてもリアルな80年代の質感を感じさせる。とてもデジタルでクリアで、なおかつ色あせたサウンド。

Mega Drive - Sequencer

まだDarksynthという名前が無かった頃からヘヴィでインダストリアル色の強いDarksynthのスタイルを確立していたMega Driveの新作。一言で言って、今回もゴリゴリ。あんまり迷いもなく、自らのサウンドを邁進しているので期待を裏切らない作品。

Hello Meteor - The Turn After a Storm

なかなかハイペースでリリースを重ねるHello Meteor。Chill系のSynthwave、いわゆるHome「Resonance」の系統に属するアーティストだと思うが、この系統はぶっちゃけ誰が作っても同じような音になりがちではあるけど、その中にあっても割と独自性を発揮しているのがこのHello Meteorである。なんともオーガニックなサウンド。(オーガニックという言葉の使い方があっているかどうかよくわからんけど。)

Division Street - Waves

これもChill系でローファイなサウンドだが、センスとバランス感覚が突出している感があって、一聴してこれは良いと思った。ローファイ感は他の同系統のアーティストよりも色濃く、それでいて何とも存在感のある音色のシンセが良い。「Drift」などは、シンプルだが沁みるものがある。ローファイだからこそ沁みてくる感じ。

Electric Dragon - Cataclysm

ジャケットの絵からしていかにもなDarksynth。しかし、この絵はどうなんだろうか・・・。思いっきり日野日出志だ。ちゃんと許可を得ているんだろうか・・・。いちおうBandcampのページにはスペシャルサンクスとして日野日出志の名前が載っているけど。あと途中で出てくるサンプリングの日本語のセリフもなんか妙に怖い。というわけで別の意味でホラーな作品。

NeverMann - GentleMann

特に前情報もなく何となく聴いてみた一枚だが、これはなかなかの当たりだった。80'sファンク、AOR、フュージョン、そしてシティポップなど、その辺のいいとこどりなサウンド。こういうのを上手くまとめるのはなかなかスキルが高いと思う。どの曲もクオリティが高い。

TWRP - Over The Top

TWRPの新作。Synthwaveというか、80年代のポップミュージック全般に精通したAOR系のロックバンドというイメージの彼らだが、彼らも色んなタイプの音楽を作れるスキルの高さを持ち合わせているので、今回も安定してクオリティの高い曲を揃えてきている。

Makeup and Vanity Set - Endless Destiny

非常にデジタルでサイバーな感じの冷たいサウンドのSynthwave。ボコーダー的な声の無感情なボーカル。ポップではなく、かといってダーク過ぎることもないバランス。こういう風に言葉で書くとネガティブなワードばかりになってしまうが、しかしそれがこの作品の表現したい世界にマッチしているんだから仕方ない。Makeup and Vanity SetもBandcampでみるとかなりリリース数の多いアーティストだが、正直全部は追い切れていない・・・。他にもいろんな方向性の作品をこまめにリリースしているようだ。