月刊Synthwave生活 2020年9月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
8月はマジで暑い日が続きましたが、暑いだけでなくて天気もめちゃくちゃ良いんですね。朝の出勤途中で空を見ると、雲一つないだけではなく、青さの色味が明らかに120%増量していて、こんな天気のいい日に仕事に行かなくてはいけないというのが非常にもったいない気がするのです。こんな天気の日に仕事をサボったら最高だろなと思いつつ、それをあきらめてお金の為に出勤しないといけないのでいつも歯がゆい気分になります。
そんなわけで今月もSynthwaveな作品を紹介していきましょう。

Let Em Riot - Years Later

NewRetroWaveからのリリース、とてもストレートなシンセポップ路線のSynthwave。前作では割とデペッシュ・モード的な雰囲気の伝統的なエレポップ色が強かったが、今作ではもっと爽やかで疾走感のある曲をプッシュしてきている模様。しかし「Not Enough」とかは前作の雰囲気も残していて、かなり良い曲。

DOOMROAR - Quasar

いわゆるChill系のSynthwaveで、ジャケットの雰囲気といい、だいぶHOMEを意識しているかもしれない作風。静謐でローファイなアナログシンセの音に包まれる感覚が心地良い。

NinjA Cyborg - The Sunny Road

日本のvaporwaveレーベル「Seikomart」からリリースされた、どうやらフランス人のデュオによるらしいSynthwave作品。「忍者サイボーグ」という名前は、普通に考えるとかなり救いようのない名前のような気がするが、まあでもSynthwaveの世界だから別に問題ないだろう。見れば見るほど味わい深いジャケットの画像も完全に狙ってきているイラスト。80年代のアクション映画のサントラを意識したという何ともシリアスな雰囲気のSynthwave。

Various Artists - Summer Heat

ロシアのSynthwaveレーベル「Retrowave Touch Records」から、14曲入りのコンピレーションアルバム。このレーベルは、初期は何ともベタなSynthwaveばかり出す所だという印象が強かったが、最近は段々バラエティが富んできて、事業の拡大していく様子が垣間見える。そんなレーベルの状況を反映しているかのような内容の一枚。個人的にいいと思ったのは、「Sheaf - Once More」。結構意表を突かれた作風。あとはラストを締めくくる「Mick Mclane - Closing Credits」で、とてもチープな音色のみで「贅沢は敵だ」と言わんばかりのサウンドで攻めまくるこの感じはたまらない。

Last Action Hero - Cop Movie

こちらもRetrowave Touch Recordsからのリリース。タイトルといい、ジャケット画像といい、すぐに何を表現したいのかが間違いなく伝わってくる作品。つまり、刑事(デカ)である。この人は、音楽で刑事を表現したいのだ。まあ要するに、刑事ドラマモチーフのSynthwave。しかしこのタイトルもなかなか素晴らしい。「Super Cops」とか「Big Trouble」とか。義務教育で不自然な英語を教えられた私でも、これなら読める。極めつけは「Tonight, I'm Not A Cop」である。「今夜、俺は刑事ではない」。どうしたんだろうか、刑事をクビになったんだろうか…

Radio Wolf and Parallels - Proximity (Music From The Original Motion Picture)

Proximity という映画のサントラとのことだが、サントラと言っても全曲がっつりボーカル入りのメロディックなSynthwave。クオリティは高く、どれも主題歌にできそうな曲を揃えてきている。映画の方はまあ、いつものことながら私は見てないしよく知らない…

Midnight Danger - Chapter 2: Endless Nightmare

80年代のメタルとホラー映画を思わせるようなジャケットの一枚。外人には受けそうな要素ががっつり詰め込まれているが、日本人に受けそうな要素は全然無い、というすがすがしい作品。しかしこの記事を読んでいる諸君にはそんなことは関係ないだろう。音楽性としては、ロック寄りの雰囲気のDarksynth。安定のNewRetroWaveからのリリース。