見出し画像

やる気とモチベーションの違いを掘り下げたらめっちゃ大事なことに気づいた

 突然ですが皆さん、「モチベーション」って言葉、好きですか? 僕は大好きです。「社員のモチベーションを上げたい」「モチベーション向上が売り上げ向上につながるのでは?」「自分のモチベーションを保つ方法」「モチベーションマネジメント」「リンクア●ドモチベーション」……1日に5回くらいはモチベーションという言葉を口にします。

 先日、コーポレートチームのミーティング中に僕が「社員のモチベーション向上に尽力したい」という話をしたら、チームメンバーに突っ込まれました。

メンバー「モチベーションマネジメントって何やるんですか?」
僕「社員のやる気を引き出すことかな」
メンバー「ってことは、モチベーション=やる気、ですか?
僕「……あれ、ちょっと違う気がする」
メンバー「何が違うんでしょうか……?」
僕「……(説明できない!)」

 僕、怖いメンバーの詰めを前に見事閉口。

 なんとなく、「やる気」と「モチベーション」ってちょっと違いますよね。ただ、僕は今までそこの意味をふんわりとしか使い分けておらず、モチベーションマネジメント=社員のやる気を引きだすこと、と何となく思っていました。

 今日のnoteは、モチベーションの定義を知らないままモチベーションという言葉を乱用していた反省を踏まえ、モチベーションマネジメントの本質とはなんたるか考えてみました。

やる気とモチベーションって何だっけ

 というわけで、ひとまず調べました。

スクリーンショット 2019-10-10 15.46.02

 やる気とは、「進んで物事を成し遂げようとする気持ち」。なるほど、確かにそうですよね。やる気があるっていうのは「進んで物事を成し遂げようとする気持ちがある」わけです。ただ、やっぱりモチベーションという言葉とはズレがあるような。

スクリーンショット 2019-10-10 14.42.07

 さらに、こっちも辞書を引きました。モチベーションの意味として、「やる気」というのも確かに含まれているんですね。そこはあっていたようです。ただ、最初に出てくるのは動機を与えること。動機付け。誘因。とのこと。

 では、英語の”motivation”はどういう単語なのか調べてみて、以下のことがわかりました。

1)motivation = motive + action 説
 日本語のサイトでいくつか見つかった解釈です。motive(動かす)とaction(行動)。

2)motivation - motivate - motive  
 -ationという接尾辞は"~する行為、~した状態[結果]、~で処理すること"を示します。大元の単語はmotive(動かす、動機)。

 やはり”やる気”というよりは”動機”や”行動”の方が言葉としては近いようです。

 もちろん、やる気、というのもどうやら間違いではなさそうです。しかしながら、今まで何となく「モチベーションマネジメント=やる気を引き出す」と捉えていた時よりは”動機付け”だとわかっただけで、モチベーションマネジメントの定義や真髄に一歩近づいたような気がします。


「やる気を引き出す」ことの大きな間違い。

 そもそも「最近やる気でないんだよね」と言われたら、なんだかその人そのものが疲れていたり、気力がなかったりするような印象を受けます。一方で、「最近モチベーション上がらないんだよね」というと、その人が置かれた環境に対してやや頑張る理由を見失っているような印象。

 ここまで調べて思いました。モチベーション向上=やる気向上って思ってなにかしようとするの、意味ないんじゃないか!?と。

 そもそも”やる気”というのは、”動機”と”行動”を繋ぐ間の存在なのです。わかりやすいようにダイエットで例えてみます。

動機:太ってしまったのが嫌だ。
行動:ダイエットしよう。食事制限だ!ジム行こう!

 あくまでもやる気というのは、動機に基づいて行動を起こす気力、です。ここの捉え方を間違えるから、ぼんやりとしたモチベーションマネジメントは失敗します。

 本質的に、他者に頑張る動機を提示することはできますが、”やる気を起こさせる”ことはできない、と思った方がいいというのが僕の結論です。やる気というのは、個人の精神的、肉体的コンディションに大きく左右されるものだからです。

 もちろん「リフレッシュ休暇」「美味しいご飯に連れて行く」「ノー残業デー」など、生活や心を満たし整える施策によって個人のコンディションを整えることは可能ですが、そもそもやる気を起こす動機がない状態ではそのやる気も絶対に長続きしません。 

 いくらやる気を引き出そうと思っても、その土台となる”動機”がガタガタではモチベーションマネジメントにはならないのです。

”「おっしゃやるぞ!!」と思わせること” はモチベーションマネジメントではないのです。
”「おっしゃやるぞ!!」と思わせられるような動機に気づかせること”がモチベーションマネジメントです。


5つの欲求とモチベーションの話

マズローの欲求5段階説

(画像は こちら からお借りしました)

 モチベーション=動機付け、とすると、動機になりやすいものはやはり欲求です。ここでかの有名な「マズロー五段階欲求」を持ってきます。

 原則として、低次の欲求を満たせていない人間は高次の欲求に目が向くことは少ないようです。

1)生理的欲求:食事、睡眠、排泄など人間として生きて行くための最低限どの欲求
2)安全欲求:安心できる場所、経済的・精神的安定、事故の防止などを望む欲求
3)社会的欲求:社会や集団に属したいという欲求。孤独を回避し、他者に受け入れられたいという欲求。
4)尊厳欲求:自分の存在が集団や社会の中で尊重され、尊敬されることへの欲求。
4)自己実現欲求:自分の才能や存在を生かして、なりたい自分になり高い目標を達成したいという欲求

 モチベーションを管理したいときは、まず管理対象の欲求がどの次元にあるのかを確認します。仕事のモチベーションを管理する上でこの五段階に当てはめると、こうなります。

1)生理的欲求:この仕事をすれば最低限ちゃんと暮らしていけますよ。(e.g. 給与)

2)安全欲求:この仕事をすれば経済的に安定して保険にはいれたり少しあ安全な家に住めますよ。(e.g. 福利厚生、社会保険)

3)社会的欲求:この仕事をすれば、良い集団と仲間に恵まれその一員になれますよ。(e.g. 質のいい仲間、またその仲間と共有する飲み会やランチなどの時間)

--------------------------------------------------------------------------

4)尊厳欲求:この仕事をすれば、あなたの価値を周りのみんなが認めてくれます。(e.g. レベルの高い仕事、裁量権を与えること、リーダーや上長からの承認、昇進など)

5)自己実現欲求:この仕事をすれば、あなたの才能を最大限生かしなるべき姿に近づくことができますよ。(e.g. 会社の社会的意義への理解、会社が与えうる社会への良い影響)

 こうみて行くと、三段階目までの外的要因は会社のシステムである程度満たすことができそうです。そもそも生理的欲求や安全欲求が満たされていない人を動かすのは、お金や保険などの保証だけで十分と言えます。

 社会的欲求はつまり、「この会社にいるの、居心地が良くて楽しいな」という状態。これは社内のレクリエーション、新入社員の巻き込み、イベントなどによって培うことができそうです。最初の二つの欲求よりは難しいですが、外的な働きかけでなんとかなりそう。

 難しいのが「尊厳の欲求」と「自己実現の欲求」です。ここには大きく会社のビジョンやミッション、社会的意義なども絡んでくるので簡単にはできない。ただ、この高次の欲求に”気づかせること”さえできればモチベーションマネジメントは成功と言えます。

 なんらかの方法で、その人が持つ尊厳の欲求や自己実現の欲求を引き出してああげることがモチベーションマネジメントにつながります。

 いろいろと考えてきましたが、これらの根源的な5つの欲求を満たせるような動機付けを与えることがモチベーションマネジメントなのではないか、と僕は結論づけています。

 僕のツイッターからの引用です。僕のモチベーションの管理の方法はこんな感じですね。僕の場合は、やはり「すごい人や他のコミュニティと会うことで自己実現欲求を刺激する」こと、「生理的欲求や安全をちゃんと満たしてあげること」「集団に所属している上での振る舞いに気を使い、自分もまた集団にいることを自覚すること」がモチベーションになっているようです。

 

本日のまとめ

・モチベーションとはつまり”動機付け”。

やる気は”動機”と”行動”を繋ぐためのもの。やる気を引き出せるのは本人だけなので、モチベーションマネジメント=やる気を引き出すこと、と思っているとスベりそう。

・動機になりやすいのは人間の欲求

低次の欲求は会社のシステムで満たせるが、高次の欲求を簡単に満たすのは難しい

・他者ができるのはせいぜい、その人の内に秘めている「認めて欲しい」「社会的に意義のあることがしたい」「こんな人になりたい」という思いを汲み取り、そこを刺激できるような仕事や環境を用意すること。


以上、本日も僕の勉強に付き合っていただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?